今回は商品名(一般名)や規格で間違えやすい内容をまとめました。認識しておかないと、実際に処方が出た際に誤って自店に在庫があるもので調剤してしまう可能性が高く注意が必要です。
ここで取り上げた製剤で今まで認識していなかった製剤に関しては実際に製剤写真をみて、判別しやすいかどうかを確認しておくことをお勧めします。
この手の間違いやすい内容はこの記事ひとつを見れば認識できるように作成しているため、かなりのボリュームとなります(結構大変だったので「いいね」などして応援頂けるとありがたいです)。
また、この記事は今後も順次追記・更新していく予定です。追記した場合は従来の記事同様にフェイスブックとTwitterでアナウンスし、ブログ上部の「お知らせ」にも記載します。
個人的運用となりますが、少なくとも半年に1回は安全管理研修として店舗従業員(薬剤師・事務)に内容を再確認してもらったり、新規に店舗配属される薬剤師には必ず内容を確認してもらおうかと考えています。
下記の8種に分類してまとめています。
1.同一成分の別製剤で間違えやすい製剤(内服)
2.同一成分の別製剤で間違えやすい製剤(外用・注射)
3.別成分で間違えやすい一般名製剤(同一規格が存在しないもの)
4.別成分で間違えやすい一般名製剤(同一規格が存在するもの)
5.別成分で間違えやすい商品名
6.同一製剤で規格・剤形で間違えやすい製剤
7.同じ一般名で異なる製剤
8.麻薬で間違えやすい製剤
- 認識しておく注意点
- 1.同一成分の別製剤で間違えやすい製剤(内服)
- ①「アスベリンシロップ0.5%」と「アスベリンシロップ「調剤用」2%」
- ②【般】「アズレンスルホン酸Na錠2mg」と「アズレンスルホン酸Na2mg・L-グルタミン660mg配合錠」
- ③【般】「アンブロキソール塩酸塩シロップ0.3%」と「アンブロキソール塩酸塩経口液0.3%」と「アンブロキソール塩酸塩経口液0.75%」
- ④【般】「アンブロキソール塩酸塩シロップ用1.5% 」と「アンブロキソール塩酸塩シロップ用3%」
- ⑤「イソバイドシロップ」と「イソバイドシロップ分包○mL」
- ⑥「エストリール錠」と 「エストリール膣錠」
- ⑦【般】「エリスロマイシンステアリン酸塩錠」と「エリスロマイシン錠」
- ⑧「
オキシコンチン錠」と「オキシコンチンTR錠」 - ⑨「クレメジンカプセル」と「クレメジン速崩錠」
- ⑩【般】「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg」と「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩徐放錠6mg」
- ⑪【般】「サラゾスルファピリジン腸溶錠」と「サラゾスルファピリジン錠」
- ⑫「ソリタ-T配合顆粒3号」と「ソリタ-T配合顆粒2号」
- ⑬【般】「テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続) 」と「テオフィリン徐放錠(24時間持続)」
- ⑭【般】「ニフェジピン徐放錠(12時間持続)」と「ニフェジピン徐放錠(24時間持続)」と「ニフェジピン錠」
- ⑮【般】「ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.035配合錠」と「ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.02配合錠」
- ⑯【般】「バルプロ酸Na徐放錠」と「バルプロ酸Na錠」
- ⑰【般】「バルプロ酸Na細粒40%」 と「バルプロ酸Na徐放顆粒40% 」
- ⑱【般】「ビフィズス菌錠12mg」と「ビフィズス菌製剤錠10mg」
- ⑲【般】「フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用5%」
と 「フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用6%」 - ⑳
「マルツエキス」と「マルツエキス分包」 - ㉑【般】
「ラクツロース経口ゼリー40.496%」と「ラクツロース経口ゼリー54.167%」 - ㉒【般】「ガバペンチン錠」と「ガバペンチンエナカルビル錠」
- ㉓「ミニリンメルトOD錠25µg/50µg」と「ミニリンメルトOD錠60µg /120µg/240µg」
- ㉔「L-ケフレックス小児用顆粒」と「L-ケフレックス顆粒」と「ケフレックスシロップ用細粒」と「L-ケフラール顆粒」と「ケフラール細粒小児用」
- ㉕【般】「デュタステリドカプセル:AV」と「デュタステリドカプセル」
- ㉖【般】「タダラフィル錠:ZA」と「タダラフィル錠:AD」と「タダラフィル錠」
- ㉗【般】「沈降炭酸カルシウム錠(高リン血症用)」と「沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤)」
- ㉘【般】「プラミペキソール塩酸塩錠」と「プラミペキソール塩酸塩徐放錠」
- ㉙【般】「タクロリムスカプセル」と「タクロリムス徐放カプセル」
- ㉚【般】「プロカテロール塩酸塩シロップ用0.005%」と「プロカテロール塩酸塩シロップ用0.01%」と「
プロカテロール塩酸塩顆粒0.01%」 - ㉛【般】「ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠・プラセボ錠」と「ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠(プラセボ無)」
- ㉜【般】「メトトレキサート錠1mg/2mg」 と「メトトレキサート錠2.5mg」
- 2.同一成分の別製剤で間違えやすい製剤(外用・注射)
- ①【般】「トリアムシノロンアセトニド口腔用軟膏0.1%」と「トリアムシノロンアセトニド軟膏0.1%」
- ②「シムジア皮下注シリンジ」と「シムジア皮下注オートクリックス」
- ③「ノボラピッド注フレックスタッチ」と「ノボラピッド注フレックスペン」
- ④「ノボラピッド注フレックスタッチ」と「ノボラピッド注ペンフィル」と「ノボラピッド注100単位/mL」
- ⑤「ヒューマログ注ミリオペン」と「ヒューマログミックス25注ミリオペン」と「ヒューマログ注ミリオペンHD
」 - ⑥【般】「ビマトプロスト点眼液」と「ビマトプロスト外用液剤」
- ⑦【般】「ピレノキシン点眼液0.005%」と「
ピレノキシン点眼用0.005% 」 - ⑧「プレドニゾロン軟膏0.5%「マイラン」と「プレドニン眼軟膏」
- ⑨「ヘパリン類似物質外用スプレー「日医工」と「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー 「日医工」 」
- ⑩「ペンニードル」と「ペンニードルプラス」
- ⑪BDマイクロファインプラス「32G×4mm」と「31G×5mm」と「32G×6mm」と「31G×8mm」
- ⑫【般】「ポビドンヨード外用液10%(エタノール非含有)」と「ポビドンヨード外用液10%」と「ポビドンヨード外用液7.5%」と「ポビドンヨード液」
- ⑬「ランタスXR注ソロスター」と「ランタス注ソロスター」と「インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」」と「インスリン グラルギンBS注キット「FFP」」
- ⑭「リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%」と「リンデロン点眼液0.01%」
- ⑮【般】「ロキソプロフェンNaテープ(非温感)」と「ロキソプロフェンNaテープ(温感)」
- ⑯【般】「エピナスチン塩酸塩点眼液0.05%」と「エピナスチン塩酸塩点眼液0.1%」
- ⑰【般】「ケトプロフェンテープ(非温感)」と「ケトプロフェンテープ(温感)」
- ⑱【般】「ジクロフェナクNaゲル」と「ジクロフェナクNaクリーム」
- ⑲「オゼンピック皮下注SD」と「オゼンピック皮下注」
- ⑳【般】「ジクアホソルNa点眼液3%5mL(持続性)」と「ジクアホソルNa点眼液3%5mL(非持続性)」
- ㉑【般】「ジクロフェナクNaテープ15mg(7× 10cm非温感)」と「ジクロフェナクNaテープ75mg(7× 10cm非温感)」と「ジクロフェナクNaテープ30mg(10 ×14cm非温感)」
- 3.別成分で間違えやすい一般名製剤(同一規格が存在しないもの)
- ①【般】「L−アスパラギン酸K錠」と「L−アスパラギン酸Ca錠」
- ②【般】「アモキサピンカプセル」と「アモキシシリンカプセル」
- ③【般】「アロチノロール塩酸塩錠」と「アロプリノール錠」
- ④【般】「アロチノロール塩酸塩錠」と「アテノロール錠」
- ⑤【般】「クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合錠」 と「クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg(鉄として)」
- ⑥【般】「ニソルジピン錠」と「ニルバジピン錠」
- ⑦【般】「ベニジピン塩酸塩錠」と「マニジピン塩酸塩錠」
- ⑧【般】「ラニチジン錠」と「ラフチジン錠」
- ⑨【般】「ラベタロール塩酸塩錠」と「ラベプラゾールNa錠」
- ⑩【般】「ランソプラゾール口腔内崩壊錠」と「ラベプラゾールNa錠」
- ⑪【般】「リトドリン塩酸塩錠」と「ミトドリン塩酸塩錠」
- ⑫【般】「レトロゾール錠2.5mg」と「アナストロゾール錠1mg」
- ⑬【般】「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル軟膏0.064%」と「ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル軟膏0.05%」と「ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12% 」
- 4.別成分で間違えやすい一般名製剤(同一規格が存在するもの)
- ①【般】「一硝酸イソソルビド錠」と「硝酸イソソルビド徐放錠」と「硝酸イソソルビド錠」
- ②【般】「エスタゾラム錠」と「エチゾラム錠」
- ③【般】「エバスチン錠」と「エピナスチン塩酸塩錠」
- ④【般】「ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩錠」と「ジヒドロエルゴトキシンメシル酸塩錠」
- ⑤【般】「スルトプリド塩酸塩錠」と「スルピリド錠」
- ⑥【般】「セフカペンピボキシル塩酸塩錠」と「セフジトレンピポキシル錠」
- ⑦【般】「ニコランジル錠」と「ニセルゴリン錠」
- ⑧【般】「ビソプロロールフマル酸塩錠」と「カルベジロール錠」
- ⑨【般】「ロフラゼプ酸エチル錠」と「ロラゼパム錠」
- ⑩【般】「亜鉛華軟膏」と「亜鉛華単軟膏」
- ⑪【般】「クロベタゾールプロピオン酸エステル」と「クロベタゾン酪酸エステル」
- ⑫【般】「トコフェロールニコチン酸エステルカプセル」と「トコフェロール酢酸エステルカプセル」
- ⑬【般】「デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏」と 「デキサメタゾン軟膏」と「 デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏」と「 デキサメタゾン口腔用軟膏」と「 デキサメタゾン眼軟膏」
- ⑭【般】「フルオシノニド軟膏」と「フルオシノロンアセトニド軟膏」
- 5.別成分で間違えやすい商品名
- ①「エクセラーゼ」と「エクセグラン」
- ②「オルメテック」と「オメプラール」
- ③ 「カムシア配合錠」と「テルチア配合錠」と「テラムロ配合錠」
と「カデチア配合錠」 - ④「ザルティア」と「ザイティガ」
- ⑤
「シダトレン」と「シダキュア」と「ミティキュア」 - ⑥「タリオン」と「タチオン」
- ⑦「ディナゲスト」と「デュファストン」
- ⑧「テオドール」と「テグレトール」
- ⑨「ノイロビタン」と「ノイロトロピン」
- ⑩「ノルバスク」と「ノルバデックス」
- ⑪「ベタニス」と「ベオーバ」
- ⑫「ボノサップパック」 と「ボノピオンパック」
- ⑬「ボンビバ」と「ボノテオ」
- ⑭「リクシアナ」と「リフキシマ」
- ⑮「タプロス点眼液」と「タプコム配合点眼液」
- ⑯「デルモゾール軟膏」と「デルモベート軟膏」
- ⑰「パンデル軟膏/クリーム/ローション」と「パルデス軟膏/クリーム/ローション」
- ⑱「リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%」と「点眼・点鼻用リンデロンA液」
- ⑲「レグナイト錠300mg」と「レグテクト錠333mg」
- ⑳「ルパフィン」と「ルセフィ」
- ㉑「ビオフェルミン配合散」と「ビオフェルミン散剤」
- 6.同一製剤で規格・剤形で間違えやすい製剤
- ①「ザルティア5mg」と「ザルティア2.5mg」
- ②「タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mg」と「タムスロシン塩酸塩OD錠0.1mg」
- ③「デカドロン錠0.5mg」と 「デカドロン錠 4mg」
- ④「ビカルタミド錠「NK」」と「ビカルタミド錠「KN」」
- ⑤「ロペミン細粒0.1%」と「ロペミン小児用細粒0.05%」
- ⑥【般】「アダパレンゲル0.1%」と「アダパレンクリーム0.1%」
- ⑦「イドメシンコーワゾル」と「イドメシンコーワゲル」
- ⑧「MS温/冷湿布20g」と「MS温/冷湿布 40g」
- ⑨「スピリーバーレスピマット2.5μg」と「スピリーバーレスピマット1.25μg」
- ⑩「ドボベット軟膏」と 「ドボベットゲル」
- ⑪フルティフォーム「50エアゾール」と「125エアゾール」、「56吸入用」と「120吸入用」
- ⑫「モーラスパップXR120mg」と「モーラスパップXR240mg」
- ⑬「ルリコンクリーム」と「ルリコン軟膏」
- ⑭「アミティーザカプセル24μ」と「アミティーザカプセル12μg」
- ⑮「テネリア錠20mg」と「テネリア錠40mg」
- ⑯「レクサプロ錠10mg」と「レクサプロ錠20mg」
- ⑰「アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用」と「アラミスト点鼻液27.5μg 120噴霧用」
- ⑱【般】「モメタゾン点鼻液50μg7g」と「モメタゾン点鼻液50μg10g」と「モメタゾン点鼻液50μg13g」と「モメタゾン点鼻液50μg18g」
- ⑲【般】「球形吸着炭カプセル200mg」 と 「球形吸着炭カプセル286mg」
- ⑳「エルサメット配合錠」と「エルサメットS配合錠」
- ㉑「メルカゾール錠5mg」と「メルカゾール錠2.5mg」
- ㉒「コレクチム軟膏0.5%」と「コレクチム軟膏0.25%」
- ㉓「テリルジー100エリプタ」と「テリルジー200エリプタ」
- ㉔【般】「ジエノゲスト錠0.5mg」 と「ジエノゲスト錠1mg」
- ㉕ビベスピエアロスフィア28吸入とビベスピエアロスフィア120 吸入
- ㉖ビレーズトリエアロスフィア56 吸入とビレーズトリエアロスフィア120 吸入
- ㉗「モイゼルト軟膏0.3%」と「モイゼルト軟膏1%」
- 7.同じ一般名で異なる製剤
- 8.麻薬で間違えやすい製剤
- ①【般】
「オキシコドン徐放錠」と「オキシコドン徐放カプセル」と「オキシコドン徐放錠(乱用防止製剤)」と「オキシコドン錠」と「オキシコドン錠(乱用防止製剤)」 - ②【般】「トラマドール 塩酸塩口腔内崩壊錠」と「トラマドール 塩酸塩徐放錠 (12時間持続)」と「トラマドール 塩酸塩徐放錠 (24時間持続)」
- ③【般】「モルヒネ塩酸塩徐放カプセル」と「モルヒネ硫酸塩徐放カプセル(12時間持続)」と「モルヒネ硫酸塩徐放錠(12時間持続)」と「モルヒネ塩酸塩錠」
- ④【般】「ヒドロモルフォン塩酸塩錠」と「ヒドロモルフォン塩酸塩徐放錠」
- ⑤「フェンタニルクエン酸塩舌下錠」と「フェンタニルクエン酸塩バッカル錠」
- ⑥「フェンタニルクエン酸塩テープ(1日用)」と「フェンタニルテープ(1日用)」と「フェンタニルテープ(3日用)」
- ⑦【般】「モルヒネ硫酸塩徐放細粒〇%(12時間持続)」と「モルヒネ硫酸塩徐放細粒〇mg(12時間持続)」
認識しておく注意点
・頭に【般】の文字があるものは一般名として記載しています。一般名は一般名マスタに収録があるものであっても病院のレセコンによっては異なる記載がされることはあるので、類似製剤と判別がつかない処方の場合は疑義照会で確認する必要があることは必ず認識しておく必要があります。
・厚生労働省の一般名処方マスタに収録されている一般名は名称を赤色にしています。
・後発医薬品が存在しない薬剤など、一般名処方マスタにない薬剤は名称を青色にしています。この場合は主に自薬局のレセコンでの一般名を記載しているため、レセコンにより一般名が異なる可能性が高くなります。
・過誤防止策としては錠剤であれば「識別コードの監査」で対応可能です。ただし、入力も調剤もどちらも間違えるとこの監査方法でも防ぐことができません。
一般名処方の大きな欠点
一般名処方の認識しておくべき大きな欠点として同じ成分で「徐放製剤」と「徐放でない製剤」が存在する場合に徐放製剤の一般名に対しては「徐放錠」といった文字が記載されますが「徐放でない製剤」の一般名に対しては単に「錠」といった記載で「普通錠」とは記載されない点が挙げられます。
そのため、一般名が「〇〇徐放錠」の記載であれば、医師の処方意図も徐放錠であることがわかりますが、一方、一般名が「〇〇錠」の記載の場合は「通常であれば徐放でない普通錠に該当するはず」ですが、まれに医師の処方意図が徐放錠の意図であるケースもあります。
これは「徐放」に限らず「腸溶錠」と「腸溶でない錠」など他のパターンにも同様にみられており、処方された用法等からどちらの意図か判別がつかないような際は疑義照会をしてどちらの処方意図なのかを確認したほうがよい場合があることは認識しておく必要があります(特に徐放のほうがメジャーで普通錠のほうがかなりマイナーな製剤の場合など)。
1.同一成分の別製剤で間違えやすい製剤(内服)
製剤がジェネリックである場合は、このような「成分は同一で異なる製剤」はレセコンによっては、入力でジェネリック検索すると剤形違い品として代替候補としてでてきてしまう場合があるため注意が必要です。
例えば「【般】ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.035配合錠」の入力の際、ジェネリック検索するとフリウェルLDだけでなく、別製剤であるはずのフリウェルULDが入力できてしまいますがこれは間違った入力となります。
①「アスベリンシロップ0.5%」と「アスベリンシロップ「調剤用」2%」
通常使われるのはアスベリンシロップ0.5%ですが、4倍濃度が濃い「調剤用」2%製剤が存在します。シロップ「調剤用」は、通常、4倍に希釈し使用します。
誤って納品されることも踏まえて、「アスベリンシロップ0.5%」を調剤する際も現物が「アスベリンシロップ「調剤用」2%」でないことを確認する必要があります。
②【般】「アズレンスルホン酸Na錠2mg」と「アズレンスルホン酸Na2mg・L-グルタミン660mg配合錠」
●【般】アズレンスルホン酸Na錠2mg:アズノール錠2mg
●【般】アズレンスルホン酸Na2mg・L-グルタミン660mg配合錠:マーズレン配合錠1.0ES
アズノール錠の認知度が低いことと、マーズレンが配合錠であり含有量の認識が薄いため、「【般】アズレンスルホン酸Na錠2mg」の処方が来たときに、誤って同じ2mg含有しているマーズレン配合錠1.0ESで調剤してしまう過誤が想定されます。
なお、マーズレン配合錠には規格違いの下記製剤もありますが、アズレンの含有量が異なるため、上記に比べれば間違えにくいかと思います。
●【般】アズレンスルホン酸Na1mg・L-グルタミン330mg配合錠︰マーズレン配合錠0.5ES ●【般】アズレンスルホン酸Na0.75mg・L-グルタミン247.5mg配合錠:マーズレン配合錠 0.375ES
マーズレン顆粒と錠の換算
マーズレン顆粒は1g 中にアズレンスルホン酸ナトリウム水和物(水溶性アズレン)3mg、日局 L-グルタミン 990mg含有します。
そのため、「マーズレンS配合顆粒」0.67gが「マーズレン配合錠 1.0ES」1錠に相当します。
1日服用量として顆粒2gに相当するのが、「マーズレン配合錠 1.0ES錠」3錠、「マーズレン配合錠0.5ES」6錠、「マーズレン配合錠0.375ES」8錠です。
一番含量の多い「マーズレン配合錠 1.0ES錠」を1.0として、有効成分の比率が1/2である錠剤が「マーズレン配合錠 0.5ES錠」、3/8である錠剤が「マーズレン配合錠 0.375ES錠」となっています。
なお、「ES」は速崩性で飲み込み易い(Easy to Swallow)錠剤であることが由来です。
③【般】「アンブロキソール塩酸塩シロップ0.3%」と「アンブロキソール塩酸塩経口液0.3%」と「アンブロキソール塩酸塩経口液0.75%」
●【般】アンブロキソール塩酸塩シロップ0.3%:小児用ムコソルバンシロップ0.3%、アンブロキソール塩酸塩シロップ小児用0.3%「トーワ」など
●【般】アンブロキソール塩酸塩経口液0.3%:アンブロキソール塩酸塩内用液0.3%「日医工」
●【般】アンブロキソール塩酸塩経口液0.75%:ムコソルバン内用液0.75%、アンブロキソール塩酸塩内用液0.75%「タイヨー」など
通常使われるのは【般】「アンブロキソール塩酸塩シロップ0.3%」(小児用ムコソルバンシロップ0.3%)です。
「アンブロキソール塩酸塩経口液0.3%」と「アンブロキソール塩酸塩経口液0.75%」は成人用製剤です。
「シロップ」なのか「経口液(内用液)」なのか意識して識別する必要があります。
特にジェネリックで調剤する場合は、小児用ムコソルバンシロップのジェネリックで入荷したつもりが、誤ってアンブロキソール塩酸塩経内用液で入荷した場合などは発見が困難となるため注意が必要かと思います。
なお、「アンブロキソール塩酸塩内用液0.3%日医工」は1包(5mL)ずつの包装のため、現物は判別しやすいですが「アンブロキソール塩酸塩経内用液0.75%」は500mL瓶なので見分けにくいです。
④【般】「アンブロキソール塩酸塩シロップ用1.5% 」と「アンブロキソール塩酸塩シロップ用3%」
●【般】アンブロキソール塩酸塩シロップ用1.5%:小児用ムコソルバンDS1.5%、アンブロキソール塩酸塩DS小児用1.5%「タカタ」など
●【般】アンブロキソール塩酸塩シロップ用3%:ムコソルバンDS3%、アンブロキソール塩酸塩DS3%「タカタ」など
【般】「アンブロキソール塩酸塩シロップ用1.5% 」は小児用ですが、「アンブロキソール塩酸塩シロップ用3%」は成人用となります。
⑤「イソバイドシロップ」と「イソバイドシロップ分包○mL」
「分包」とつかない場合はボトル製剤です。
分包製剤は下記の3種類存在します。
・イソバイドシロップ分包20mL
・イソバイドシロップ分包23mL
・ イソバイドシロップ分包30mL
⑥「エストリール錠」と 「エストリール膣錠」
・エストリール錠 :100γ/0.5mg/1mg
・エストリール膣錠 :0.5mg
0.5mgの規格が共通するため注意が必要となります。
なお、エストリール錠の100γ(ガンマ)という見慣れない単位は100γ=0.1mgにあたります。
⑦【般】「エリスロマイシンステアリン酸塩錠」と「エリスロマイシン錠」
●【般】エリスロマイシンステアリン酸塩錠:エリスロシン錠100mg /エリスロシン錠200mg
●【般】エリスロマイシン錠:エリスロマイシン錠200mg「サワイ」
「【般】エリスロマイシン錠」の処方で誤ってエリスロシン錠を調剤してしまう過誤や、エリスロシ錠のGEがエリスロマイシン錠「サワイ」だと勘違いして調剤してしまう過誤が想定されます。
一見「エリスロシン錠」のジェネリックが「エリスロマイシン錠「サワイ」」と思いがちですが別製剤です。
エリスロシン錠は腸溶錠ではありませんが、エリスロマイシン錠「サワイ」は「腸溶錠」となっています。
そのため、商品名が不適切であり、本来であれば「エリスロマイシン腸溶錠「サワイ」」と商品名を改めるべきかと思います。
⑧「オキシコンチン錠」と「オキシコンチンTR錠」
●【般】オキシコドン徐放錠:オキシコンチン錠、オキシコドン徐放錠「第一三共」
●【般】オキシコドン徐放錠(乱用防止製剤):オキシコンチンTR錠
TR錠は2017年に発売された乱用防止製剤です。乱用防止でない従来品は販売中止となってます。
なお、TR錠は従来品と異なる点がいくつかあるため注意が必要です。
また、発売当初は違う製剤にもかかわらず、一般名が同じでしたが、現在は上記のように区別されています。
⑨「クレメジンカプセル」と「クレメジン速崩錠」
クレメジンカプセル200mgは今までも販売していましたが、最近クレメジン速崩錠500mgが発売されました。
速崩錠のほうが含有量が多く、カプセルに比べ服用の錠数が少なくてすむため今後は速崩錠が主流になるかと思います。
⑩【般】「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg」と「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩徐放錠6mg」
●【般】d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg:ポララミン錠、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg「武田テバ」
●【般】d-クロルフェニラミンマレイン酸塩徐放錠6mg:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩徐放錠6mg「武田テバ」
ジェネリックのネオマレルミン錠2mgもネオマレルミンTR錠6mgもすでに名称変更により一般名+会社名に変更となっています。
過誤防止のために「mg数」と「徐放」の文字の有無を確認する必要があります。
⑪【般】「サラゾスルファピリジン腸溶錠」と「サラゾスルファピリジン錠」
●【般】サラゾスルファピリジン腸溶錠:アザルフィジンEN、サラゾスルファピリジン腸溶錠「日医工」など:250mg/500mg
●【般】サラゾスルファピリジン錠:サラゾピリン、サラゾスルファピリジン錠「日医工」など:500mg
処方が多いのはアザルフィジンENなど「サラゾスルファピリジン腸溶錠」であり関節リウマチが効能となります。
腸溶錠でないサラゾスルファピリジン錠は潰瘍性大腸炎などが効能であり効能も異なるため注意が必要です。
特にジェネリック製剤では「腸溶錠」の文字しか違わないため、このことをよく認識しておく必要があります。
⑫「ソリタ-T配合顆粒3号」と「ソリタ-T配合顆粒2号」
3号と2号では電解質のバランスが異なります。3号よりも2号の方がORSの組成としては優れています。
ソリタ-T配合顆粒3号はアップルソーダ様の香りで、ソリタ-T配合顆粒2号はオレンジ様の香りとなっています。
⑬【般】「テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続) 」と「テオフィリン徐放錠(24時間持続)」
●【般】テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続):テオドール、テオフィリン徐放錠「サワイ」など
●【般】テオフィリン徐放錠(24時間持続):ユニフィルLA、ユニコン、テオフィリン徐放U錠「トーワ」
【般】「テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続)」と「テオフィリン徐放錠(24時間持続)」の取り違えに注意が必要です。
ユニフィル錠をジェネリック変更しようとして、誤って「テオフィリン徐放錠「サワイ」に変更してしまうミスや、 テオフィリン徐放U錠「トーワ」の処方を誤って「テオフィリン徐放錠「サワイ」に変更してしまうミスが想定されます。
⑭【般】「ニフェジピン徐放錠(12時間持続)」と「ニフェジピン徐放錠(24時間持続)」と「ニフェジピン錠」
●【般】ニフェジピン徐放錠(12時間持続):アダラートL、ニフェジピンL錠「トーワ」など
●【般】ニフェジピン徐放錠(24時間持続):アダラートCR、ニフェジピンCR錠「トーワ」など
●【般】ニフェジピン錠:ニフェジピン錠10mg「ツルハラ」
ニフェジピン徐放錠(12時間持続) と (24時間持続) は認知度が高いですが、 徐放錠でない製剤もマイナーながら存在しています。
なお、 アダラートL は販売中止で2022年3月で経過措置切れ予定です。
⑮【般】「ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.035配合錠」と「ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.02配合錠」
●【般】ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.035配合錠:ルナベルLD、フリウェルLD
●【般】ノルエチステロン・エチニルエストラジオール0.02配合錠:ルナベルULD、フリウェルULD
ルナベルLDとULDの一般名です。 ルナベルLD、ULDともにジェネリックであるフリウェルが発売されたことで、一般名処方もされ始めているため注意が必要です。
LDとULDの違い
ULDのほうが、卵胞ホルモンの含有量が少なく血栓症、乳癌などの重篤な副作用発現がさらに軽減できることが期待されています。
ただしULDは、LDと比較して不正性器出血の発現率が高いことが明らかになっています。
⑯【般】「バルプロ酸Na徐放錠」と「バルプロ酸Na錠」
●【般】バルプロ酸Na徐放錠:デパケンR錠、バルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」、 バルプロ酸ナトリウム徐放錠A「トーワ」 100mg/200mg、セレニカR:200mg/400mg)
●【般】バルプロ酸Na錠:デパケン錠、バルプロ酸Na錠「TCK」など:100mg/200mg
バルプロ酸Na錠をデパケンRのGEと勘違いしてしまうなどのミスが想定されます。
なお、後述しますが「【般】バルプロ酸Na徐放錠」にはデパケンR錠とセレニカRの2種類の製剤が該当してしまうため、規格が共通する場合は疑義照会してどちらの製剤を処方したいのか確認する必要があるため注意が必要です。
⑰【般】「バルプロ酸Na細粒40%」 と「バルプロ酸Na徐放顆粒40% 」
●【般】バルプロ酸Na細粒40%:デパケン細粒40%、バルプロ酸ナトリウム細粒40%「EMEC」
●【般】バルプロ酸Na徐放顆粒40% :セレニカR顆粒40%、バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」、バルプロ酸ナトリウム徐放U顆粒40%「アメル」
単に細粒と顆粒の違いだけではなく、「徐放」の場合は用法が1日1回ですが、徐放でない場合は1日2〜3回となります。
⑱【般】「ビフィズス菌錠12mg」と「ビフィズス菌製剤錠10mg」
●【般】「ビフィズス菌錠12mg」:ビオフェルミン錠剤
●【般】「ビフィズス菌製剤錠10mg」:ラックビー錠
商品名にmg数の記載がなく、含有量が違うという認識が薄く見落としがちであり、注意が必要です。
⑲【般】「フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用5%」と「フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用6%」
●【般】フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用5%:アレグラドライシロップ5%、フェキソフェナジン塩酸塩DS5%「トーワ」●【般】フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用6%:フェキソフェナジン塩酸塩DS6%「トーワ」、フェキソフェナジン塩酸塩DS6%「タカタ」
先発品は5%ですが、ジェネリックには6%製剤が存在するため注意が必要です。
特に「トーワ」は5%と6%どちらも存在しています。
「【般】フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用6%」の処方を誤ってアレグラドライシロップ5%で調剤してしまう過誤が想定されます。
*現在は6%製剤は販売中止で経過措置切れとなっています。
⑳「マルツエキス」と「マルツエキス分包」
処方が多いの圧倒的に「マルツエキス分包」です。
「マルツエキス」の場合は260gの缶入り製剤となり、1回量は付属のさじですくい取ります。
1杯(平らに)は6g、内側の指示線4まで(水平に)は4g、3まで(水平に)は3gです。
*現在は分包でないマルツエキスは販売中止となっています。
㉑【般】「ラクツロース経口ゼリー40.496%」と「ラクツロース経口ゼリー54.167%」
●【般】ラクツロース経口ゼリー40.496%:ラグノスゼリー分包16.05g 、ラクツロース経口ゼリー分包16.05g「サトウ」
●【般】ラクツロース経口ゼリー54.167%:ラグノスNF経口ゼリー分包12g
ラクツロース製剤であり、NFがつかない「ラグノスゼリー」は以前から販売されており、ラグノスNF経口ゼリーは新薬となります。
「ラグノスNF経口ゼリー分包12g」は「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」の効能が加わっており、1包のグラム数も異なっています。
NFがつかない「ラグノスゼリー」は販売中止で2021年3月末に経過措置切れ、他社ジェネリックのラクツロース経口ゼリー分包16.05g「サトウ」も2023年3月末で経過措置切れとなりました。
*現在は40.496%製剤は販売中止で経過措置切れとなっています。
㉒【般】「ガバペンチン錠」と「ガバペンチンエナカルビル錠」
●【般】「ガバペンチン錠」:ガバペン錠 200mg/300mg/400mg
●【般】「ガバペンチンエナカルビル錠」:レグナイト錠 300mg
どちらかというと認知度が高いのはガバペンかと思いますが、 レストレスレッグス症候群の効能の レグナイト錠も存在しています。
一般名処方でガバペンチンエナカルビル錠がきた場合に、ガバペン錠で調剤してしまう過誤が想定されます。
㉓「ミニリンメルトOD錠25µg/50µg」と「ミニリンメルトOD錠60µg /120µg/240µg」
ミニリンメルトOD錠25μg/50μgは「男性における夜間多尿による夜間頻尿」を効能とする新製剤で成人用製剤です。従来のミニリンメルトOD錠60µg /120µg/240µgとは、単なる規格違いではなく、併用禁忌も異なる別製剤です。
必ず認識しておかなければならないことは併用禁忌が従来製剤(60μg,120μg、240μg)と異なり、併用禁忌にチアジド・ループ系利尿薬、ステロイド経口・吸入剤、注腸剤、坐剤などが該当することです。ステロイドの吸入や坐薬なども併用禁忌となる極めて制限が強い薬剤です。
特に併用薬として「ミニリンメルト」と聴取した際に、従来製剤と思い込んで勘違いして併用禁忌を見落としてしまう医療過誤も想定されます。
㉔「L-ケフレックス小児用顆粒」と「L-ケフレックス顆粒」と「ケフレックスシロップ用細粒」と「L-ケフラール顆粒」と「ケフラール細粒小児用」
●【般】セファレキシン顆粒200mg: L-ケフレックス小児用顆粒
●【般】セファレキシン複合顆粒50% :L-ケフレックス顆粒、セファレキシン複合顆粒500mg「トーワ」、セファレキシン顆粒500mg「JG」
●【般】セファレキシンシロップ用 : ケフレックスシロップ用細粒、ラリキシンドライシロップ小児用
●【般】セファクロル顆粒375mg:L-ケフラール顆粒
●【般】セファクロル細粒10% : ケフラール細粒小児用 、セファクロル細粒小児用10%「サワイ」
セファレキシンとセファクロルは別成分です。
現在はどれも基礎的医薬品とされており、一般名マスタにには記載されていませんが、【般】セファレキシン複合顆粒、【般】セファレキシンシロップ用 、【般】セファクロル細粒に関しては、以前は一般名マスタに収載されていたので赤く塗っています。
「L」が付く製剤は胃溶性と腸溶性の 2種類の顆粒を配合することで,血中濃度を長く維持することができる持続性製剤です。バラ製剤は存在せず、SP包装のみの製剤であり、再分包すると腸溶性と胃溶性顆粒がばらついてしまうので原則はSP包装のまま調剤となります。
そのため、処方量もSP包装で払い出せる単位での処方用量となります。
㉕【般】「デュタステリドカプセル:AV」と「デュタステリドカプセル」
●【般】デュタステリドカプセル:AV ⇨アボルブカプセル、デュタステリドカプセルAV「トーワ」:0.5mg
●【般】デュタステリドカプセル ⇨ザガーロカプセル、デュタステリドカプセルZA「トーワ」:0.1mg/0.5mg
アボルブはジェネリックが発売されたため、厚労省の一般名マスタに収載されました。
ただし、「【般】デュタステリドカプセル」の処方をアボルブの意図で出してくることはあるかと思います。用途や自費処方かなどから区別がつく場合が多いかと思いますが、判断に迷う場合は疑義照会して特定したほうがよいかと思います。
ザガーロは「男性における男性型脱毛症」の自費の薬剤です。アボルブカプセルと0.5mgの規格が共通します。ザガーロの一般名は、ジェネリックがなく、自費薬剤でもあるので厚労省の一般名マスタには収載されていないため、レセコンにより異なる可能性が高いです。
個人的には【般】デュタステリドカプセル:ZAのような一般名が適切かと思いますが、うちの薬局のレセコンは単に「【般】デュタステリドカプセル」となっています。
㉖【般】「タダラフィル錠:ZA」と「タダラフィル錠:AD」と「タダラフィル錠」
●【般】タダラフィル錠:ZA⇨ザルティア錠、タダラフィル錠ZA「サワイ」:2.5mg/5mg
●【般】タダラフィル錠:AD⇨アドシルカ錠、タダラフィル錠AD「サワイ」など:20mg
●【般】タダラフィル錠 ⇨シアリス錠、タダラフィル錠CI「サワイ」:5mg/10mg/20mg(5mgはシアリスのみ)
タダラフィル製剤は効能が異なる3つの製剤があるため、過誤に注意が必要となります。
一応、シアリス以外のザルティア、アドシルカ製剤は一般名が一般名マスタに収載されていますが、単に「【般】タダラフィル錠 ○mg」という処方をザルティアやアドシルカの意図で処方してくる場合も可能性としては想定されるので規格や用途、自費処方かなどを踏まえて、特定に迷う場合は疑義照会が必要となります。
シアリスはジェネリックはありますが、おそらく自費薬剤という理由からか厚労省の一般名マスタには収載されていないため、レセコン会社によって一般名が異なってくる可能性が高いかと思います。
なお、私の勤務している薬局のレセコンではシアリスの一般名は「【般】タダラフィル錠」と分かりにくい名称となっています。個人的には「【般】タダラフィル錠:CI」とすべきと思います。
㉗【般】「沈降炭酸カルシウム錠(高リン血症用)」と「沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤)」
【般】沈降炭酸カルシウム錠(高リン血症用): カルタン、沈降炭酸カルシウム錠「三和」:250mg/500mg
【般】沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤): 炭カル錠「ヨシダ」:250mg/500mg
(高リン血症) の効能の製剤と (制酸剤)の効能の製剤の違いです。
㉘【般】「プラミペキソール塩酸塩錠」と「プラミペキソール塩酸塩徐放錠」
●【般】プラミペキソール塩酸塩錠:ビ・シフロール錠、プラミペキソール塩酸塩錠「サワイ」 : 0.125mg/0.5mg
●【般】プラミペキソール塩酸塩徐放錠:ミラペックスLA錠、プラミペキソール塩酸塩LA錠MI「サワイ」など :0.375mg/1.5mg、
徐放錠は1日1回投与が可能な製剤です。
㉙【般】「タクロリムスカプセル」と「タクロリムス徐放カプセル」
【般】タクロリムスカプセル・錠:プログラフカプセル、タクロリムス錠「あゆみ」: 0.5m/1mg/1.5mg/2mg/3mg/5mg(プログラフは0.5m/1mg/5mgのみ)
【般】タクロリムス徐放カプセル:グラセプターカプセル:0.5m/1mg/5mg
徐放製剤であるグラセプターは拒絶反応抑制の効能のみのためにこちらの製剤のほうが遭遇頻度が少ないかと思います。用法は1日1回です。
普通製剤の プログラフでは 拒絶反応の抑制以外にも 関節リウマチ、 潰瘍性大腸炎、 ループス腎炎など他の効能もあるため、在庫(ジェネリックを含む)をしている薬局も多いかと思います。用法は効能により1日1回用法と1日2回の用法に分かれています。なお、拒絶反応抑制の用途では1日2回となります。
特に「【般】タクロリムス徐放カプセル」の処方で誤って自店に在庫があるプログラフカプセルやジェネリックのタクロリムス錠「あゆみ」で調剤してしまう過誤が想定されるので注意して下さい。
また、医師側の処方間違いの例も報告されているため、「【般】タクロリムスカプセル」の処方で、用途が拒絶反応抑制でかつ、1日1回の場合などのように添付文書の用法と異なる場合はグラセプターの意図の可能性あり疑義が必要となります。
㉚【般】「プロカテロール塩酸塩シロップ用0.005%」と「プロカテロール塩酸塩シロップ用0.01%」と「プロカテロール塩酸塩顆粒0.01%」
●【般】プロカテロール塩酸塩シロップ用0.005%:メプチンドライシロップ0.005%
●【般】プロカテロール塩酸塩シロップ用0.01%:プロカテロール塩酸塩DS0.01%「タカタ」(旧名称:エステルチンDS)
●プロカテロール塩酸塩顆粒 0.01% :メプチン顆粒0.01%(販売中止)
「【般】プロカテロール塩酸塩シロップ用0.01%」の処方で、誤って先発品のメプチンドライシロップ0.005%や剤形が異なるメプチン顆粒0.01%を調剤してしまう過誤がおこりやすいので注意が必要です。
0.01%のDS製剤はメプチンドライシロップ0.005%とは規格が違いGE製剤しか存在しません。プロカテロール塩酸塩DS0.01%「タカタ」(旧名称:エステルチンDS)が該当します。
なお、 0.01%の顆粒製剤であるメプチン顆粒0.01%は販売中止で(2023年3月経過措置切れ)です。
㉛【般】「ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠・プラセボ錠」と「ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠(プラセボ無)」
●【般】ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠・プラセボ錠:ヤーズ配合錠、ドロエチ配合錠「あすか」
●【般】ドロスピレノン・エチニルエストラジオー ル配合錠(プラセボ無):ヤーズフレックス配合錠
2017年に発売されたヤーズフレックス配合錠のほうが新しい製剤となります。
ヤーズ配合錠は実薬錠24錠とプラセボ錠4錠が1シートに包装されていますが、ヤーズフレックス配合錠では全て実薬であり、最長 120 日まで連続投与可能となっています。
2022年6月にヤーズ配合錠のジェネリックであるドロエチ配合錠「あすか」が発売となりました。これに伴い一般名マスタにも一般名が収載されましたが、ヤーズフレックス配合錠はまだジェネリックがないため、一般名マスタには収載がありません。
ヤーズ配合錠にはプラセボが含まれるため、一般名に「プラセボ」や「プラセボ有」という文言が入っていればヤーズ配合錠だと判別できます。
一方、ヤーズフレックス配合錠にはプラセボが含有せずにすべて実薬であることから、「プラセボ無」といった文言がはいっていれば、ヤーズフレックス配合錠だと判別できます。
【般】ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠のように、一般名にプラセボの有無の記載がなく判別できない場合は疑義照会が必要です。
なお、自薬局のレセコンもヤーズフレックス配合錠にあたる一般名が「【般】ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠」と判別できない不適切な表記になっています。
ちなみに、一応、薬価単位はヤーズフレックス配合錠は「錠」でヤーズ配合錠は「シート」と異なりますが、留意事項でヤーズ配合錠も1錠薬価で請求することとされているため、処方上の薬価単位での見分けもできません。
㉜【般】「メトトレキサート錠1mg/2mg」 と「メトトレキサート錠2.5mg」
●【般】メトトレキサート錠:メトトレキサート錠「日本臓器」 1mg/2mg
●【般】メトトレキサート錠2.5mg:メソトレキセート錠 2.5mg
【般】メトトレキサート錠1mg/2mgはリウマトレックスのジェネリックであり、関節リウマチや乾癬などが効能です。一方、【般】メトトレキサート錠2.5mgはメソトレキセート錠 2.5mgが該当し白血病などが効能となる別製剤となります。
なお、メトトレキサート錠1mg「日本臓器」は2023年 6 月に2mg 錠を割らずに 1mg 単位で調剤を可能とする目的で「日本臓器」が発売されました。
【般】「メトトレキサート錠1mg」の処方で店舗に在庫している従来の2mgで調剤してしまう過誤が想定されます。
2.同一成分の別製剤で間違えやすい製剤(外用・注射)
①【般】「トリアムシノロンアセトニド口腔用軟膏0.1%」と「トリアムシノロンアセトニド軟膏0.1%」
トリアムシノロンアセトニド口腔用軟膏は商品名としてケナログ口腔用軟膏(現在はケナログは販売中止なのでジェネリックのオルテクサー口腔用軟膏となります)が該当します。
一方、一般名のトリアムシノロンアセトニド軟膏は商品名としてレダコート軟膏が該当します。
処方せんに【般】トリアムシノロンアセトニド軟膏 5gと書かれていると、誤ってオルテクサー口腔用軟膏を調剤してしまいがちなため注意が必要です。
②「シムジア皮下注シリンジ」と「シムジア皮下注オートクリックス」
オートクリックスの方が新しい製剤です。
オートクリックスは指でボタンを押す必要がないよう設計された自動注射器です。
注射開始時と完了時に2回のクリック音によって、全ての薬液が投与されたことを患者さん自身で確認できます。
③「ノボラピッド注フレックスタッチ」と「ノボラピッド注フレックスペン」
フレックスタッチのほうが新しい製剤ですが、まだフレックスペンの処方も多く、混在している状態です。
④「ノボラピッド注フレックスタッチ」と「ノボラピッド注ペンフィル」と「ノボラピッド注100単位/mL」
インスリン製剤はフレックスペンなどの使い捨ての「キット製剤」と薬液のみが使い捨てで、注入器本体は継続して使える「カートリッジ製剤」とインスリン持続注入や院内で使用する「バイアル製剤」の3種類あります。
ノボラピッドに限らず1つの製品名に対してそれぞれが存在するため、これらで取り違えないように注意が必要です。
⑤「ヒューマログ注ミリオペン」と「ヒューマログミックス25注ミリオペン」と「ヒューマログ注ミリオペンHD」
ヒューマログミックス25注ミリオペンは超速効型と中間型を25:75の割合で含有する混合製剤です。「ヒューマログミックス50注ミリオペン」も存在します。
ヒューマログ注ミリオペンHDは2018年7月に発売された国内初0.5 単位刻みの投与量設定が可能な製剤です。
このHDの発売はあまり周知されていないため、「ヒューマログ注ミリオペンHD」の処方の際に、誤って従来製剤を調剤してしまう過誤が想定されます。
⑥【般】「ビマトプロスト点眼液」と「ビマトプロスト外用液剤」
●【般】ビマトプロスト点眼液:ルミガン点眼液0.03%、ビマトプロスト点眼液0.03%「ニットー」など
●【般】ビマトプロスト外用液剤:グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mL
ビマトプロスト製剤に関しては現在「ルミガン点眼液」と「グラッシュビスタ外用液剤」の2種類が存在しており、濃度も共通しています。ルミガンは1本2.5mLですが、グラッシュビスタは1本5mLとなります。
グラッシュビスタ外用液剤は睫毛貧毛症を効能とする薬剤です。片目ごとに、1滴を専用のブラシに滴下して、1日1回就寝前に上まつげの生え際に塗ります。
⑦【般】「ピレノキシン点眼液0.005%」と「ピレノキシン点眼用0.005% 」
●【般】ピレノキシン点眼液0.005%:カリーユニ点眼液
●【般】ピレノキシン点眼用0.005% :カタリンK点眼用、カタリン点眼用
点眼「液」の場合はカリーユニが該当し、薬価単位は「瓶」となり、1瓶5mLです。
一方、点眼「用」の場合はカタリンが該当し、薬価単位が「mL」となり、1本15mLでとなります。
なお、後述しますが、ピレノキシン点眼用は同一の一般名でカタリンとカタリンKどちらも該当してしまうので、どちらを処方したいのか疑義照会が必要です。
⑧「プレドニゾロン軟膏0.5%「マイラン」と「プレドニン眼軟膏」
●【般】プレドニゾロン軟膏0.5%:プレドニゾロン軟膏0.5%「VTRS」
●【般】プレドニゾロン酢酸エステル眼軟膏0.25%:プレドニン眼軟膏:0.25%
プレドニゾロン軟膏「マイラン」はチューブではなく500gのツボ包装のため、詰替えでの調剤となります。
一般名処方の下記の場合が、最もプレドニン眼軟膏と間違えやすいため注意が必要です。
【般】プレドニゾロン軟膏0.5% 5g の処方
特にプレドニン眼軟膏は正式名称に規格の記載がないため注意が必要です。プレドニン眼軟膏は0.25%であることを認識しておく必要があります。
⑨「ヘパリン類似物質外用スプレー「日医工」と「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー 「日医工」 」
「泡状」の文字しか変わらないので、とても間違えやすいので注意が必要です。
特に日本臓器以外の会社は外用スプレーと泡状外用スプレーどちらも販売しているため非常に紛らわしい状況となっています。
なお、あまり認知されていませんが一般名はどちらも「ヘパリン類似物質スプレー」になります。
⑩「ペンニードル」と「ペンニードルプラス」
従来の「ペンニードル」はすでに販売中止となるかと思います。そのためすでに切り替えているかと思います。
⑪BDマイクロファインプラス「32G×4mm」と「31G×5mm」と「32G×6mm」と「31G×8mm」
マイクロファインプラス32G×6mm が一番新しく発売された製剤です。
⑫【般】「ポビドンヨード外用液10%(エタノール非含有)」と「ポビドンヨード外用液10%」と「ポビドンヨード外用液7.5%」と「ポビドンヨード液」
●【般】ポビドンヨード外用液10%(エタノール非含有):
●【般】ポビドンヨード外用液10%:
●【般】ポビドンヨード外用液7.5%:イソジンスクラブ液7.
●【般】ポビドンヨード液:ポビドンヨード液10%
通常、調剤の機会が多いのは【般】ポビドンヨード外用液10%(エタノール非含有)でイソジン液が該当します。一方、(エタノール非含有)の文字がない「【般】ポビドンヨード外用液10%」の場合はエタノールを含有するイソジンフィールド液10%が該当します。
ただし、 エタノールを含有するイソジンフィールド液の処方は珍しいので、実際に【般】ポビドンヨード外用液10%処方が来た場合は、疑義照会でエタノールを含有するイソジンフィールド液か含有しないイソジン液かどちらの処方意図なのかを確認するほうが無難かと思います。
⑬「ランタスXR注ソロスター」と「ランタス注ソロスター」と「インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」」と「インスリン グラルギンBS注キット「FFP」」
● 【般】 インスリン グラルギン(遺伝子組換え): ランタスXR注ソロスター、ランタス注ソロスター、ランタス注カート、ランタス注100単位/mL
● 【般】 インスリン グラルギン(遺伝子組換え)[インスリン グラルギン後続1]: インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」 、インスリン グラルギンBS注カート「リリー」
● 【般】 インスリン グラルギン(遺伝子組換え)[インスリン グラルギン後続2]: インスリン グラルギンBS注キット「FFP」
XRのほうが新しい製剤であり、より持続性があり、低血糖頻度も少ないとされています。
ランタスの一般名は厚労省の一般名マスタには収載されていないためレセコンにより一般名が異なる可能性が高いです。
濃度記載がないなど、別製剤であるXRと区別がつかない場合は疑義照会対象となります。また、キット製剤とカートリッジ製剤、バイアル製剤の区別がつかない場合も疑義照会対象となります。
インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」 と インスリン グラルギンBS注キット「FFP」 はランタス注ソロスターのバイオシミラーです。ジェネリックとは異なるので勘違いしてランタスからの代替調剤やバイオシミラー同士の 代替調剤をしないように注意が必要です。
⑭「リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%」と「リンデロン点眼液0.01%」
処方頻度が高いのは「リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%」ですが、「リンデロン点眼液0.01%」という製剤も存在しています。
⑮【般】「ロキソプロフェンNaテープ(非温感)」と「ロキソプロフェンNaテープ(温感)」
●【般】ロキソプロフェンNaテープ(非温感):ロキソニンテープ
●【般】ロキソプロフェンNaテープ(温感):ロキソプロフェンNaテープ「三友」、ロキソプロフェンナトリウムテープ「タイホウ」
通常はロキソニンテープなどに該当する「非温感」製剤ですが、一部のジェネリックで温感製剤が存在します。
⑯【般】「エピナスチン塩酸塩点眼液0.05%」と「エピナスチン塩酸塩点眼液0.1%」
●【般】エピナスチン塩酸塩点眼液0.05%:アレジオン点眼液0.05%、エピナスチン塩酸塩点眼液0.05%「センジュ」など
●【般】エピナスチン塩酸塩点眼液0.1%:アレジオンLX点眼液0.1%
アレジオンLX点眼液0.1%は従来のアレジオン点眼液0.05%と比べて高濃度化により効果に持続性を持たせた1日2回の点眼剤です。なお、従来製剤のアレジオン点眼液0.05%は1日4回の用法です。
このアレジオンLXが発売されたことで、アレジオン点眼薬の調剤・監査時には毎回調剤ミスでないかを確認する手順が必要となりました。
特に一般名処方の場合は「【般】エピナスチン塩酸塩点眼液0.1%」のように「濃度」の部分でしか識別できない一般名で処方がくるため、「濃度」で識別すると認識しておく必要があります。
なお、レセコンによっては【般】エピナスチン塩酸塩点眼液0.1%(持続性)といったように識別しやすい名称となっている医療機関もあるかと思います。
⑰【般】「ケトプロフェンテープ(非温感)」と「ケトプロフェンテープ(温感)」
●【般】ケトプロフェンテープ(非温感):モーラステープ、ケトプロフェンテープ「日医工」など
●【般】ケトプロフェンテープ(温感):ケトプロフェンテープ「ラクール」
通常はモーラステープなどに該当する「非温感」製剤ですが、一部のジェネリックで温感製剤が存在します。
⑱【般】「ジクロフェナクNaゲル」と「ジクロフェナクNaクリーム」
●ジクロフェナクNaゲル:ボルタレンゲル、ジクロフェナクNaゲル「日本臓器」など
●ジクロフェナクNaクリーム:ジクロフェナクNaクリーム「日本臓器」など
片方だけ販売している製薬会社がほとんどですが日本臓器は両方販売しています。
⑲「オゼンピック皮下注SD」と「オゼンピック皮下注」
●オゼンピック皮下注SD:0.25mg、0.5mg、1.0mg
●オゼンピック皮下注2mg
一見するとSDが付くほうが新しそうな製剤である印象を受けますが、実際はSDのほうが古い製剤です。
新製剤であるSDが付かないオゼンピック皮下注2mgは2022年5月に発売された製剤で、1本でダイヤルにより0.25mg、0.5mg、1.0mgの3つの用量が設定可能で複数回使用できる製剤です。毎回注射針の取り付けが必要で、注入ボタンをおして注射します。
これに対して、従来製剤であるオゼンピック皮下注SDは0.25mg、0.5mg、1.0mgの3規格あり、1回使い切り製剤であり、あらかじめ針が装着されており、皮膚に押し当てると注射されます。
オゼンピック皮下注SDは3規格あるため、もともと規格の過誤に注意が必要な製剤でしたが、今後はこれに加えてSDがつかない「オゼンピック皮下注2mg」との過誤にも注意が必要です。
⑳【般】「ジクアホソルNa点眼液3%5mL(持続性)」と「ジクアホソルNa点眼液3%5mL(非持続性)」
●ジクアホソルNa点眼液3%5mL(持続性):ジクアスLX点眼液
●ジクアホソルNa点眼液3%5mL(非持続性):ジクアス点眼液
LXは「ジクアス点眼液 3%」(1 日 6 回点眼)に粘稠化剤として PVP(ポリビニルピロリドン、別名ポビドン)を添加することで、点眼回数を 1 日 3 回に低減させた製剤です。
㉑【般】「ジクロフェナクNaテープ15mg(7× 10cm非温感)」と「ジクロフェナクNaテープ75mg(7× 10cm非温感)」と「ジクロフェナクNaテープ30mg(10 ×14cm非温感)」
●【般】ジクロフェナクNaテープ15mg(7× 10cm非温感):ボルタレンテープ15mg
●【般】ジクロフェナクNaテープ75mg(7× 10cm非温感):ジクトルテープ75mg
●【般】ジクロフェナクNaテープ30mg(10 ×14cm非温感):ボルタレンテープ30mg
ジクトルは2021年5月に発売された新薬で、ロコアテープと同じように、テープ剤でありながら禁忌項目や相互作用などが内服NSAIDsと同様であるため禁忌の見落としなどに注意が必要です。
「ジクロフェナクNaテープ75mg(7× 10cm非温感)」の一般名処方で来た場合に、誤ってボルタレンテープで調剤してしてしまうという過誤も想定されるので注意が必要です。
3.別成分で間違えやすい一般名製剤(同一規格が存在しないもの)
一般名が類似しているため取り違えが懸念される薬剤です。
同一規格が存在するものとしないもので分けてまとめました。同一規格が存在しない場合は、調剤時に規格まで確認することでミスを防げることに留意しておく必要があります。
それぞれ「一般名(先発品名):規格」という表記で記載しています。
①【般】「L−アスパラギン酸K錠」と「L−アスパラギン酸Ca錠」
●【般】L−アスパラギン酸K錠:アスパラカリウム):300mg
●【般】L−アスパラギン酸Ca錠:アスパラCA):200mg
カリウム製剤は脈に関わるため、リスクが高いかと思います。
②【般】「アモキサピンカプセル」と「アモキシシリンカプセル」
●【般】アモキサピン:アモキサン:25mg/50mg
●【般】アモキシシリン:パセトシン:125mg/250mg
アモキサピンの規格は25mgと50mgがありますが、アモキサピンカプセル25mgとアモキシシリンカプセル250mgの場合が最も名前が類似するので注意が必要かと思います。
③【般】「アロチノロール塩酸塩錠」と「アロプリノール錠」
●【般】アロチノロール塩酸塩錠:アロチノロールDSP:5mg/10mg
●【般】アロプリノール錠:ザイロリック:50mg/100mg
アロチノロールのほうが処方度は高いかと思います。規格は同一規格はありませんが、桁違いで間違える可能性があります。
④【般】「アロチノロール塩酸塩錠」と「アテノロール錠」
●【般】アロチノロール塩酸塩錠:アロチノロールDSP:5mg/10mg
●【般】アテノロール錠:テノーミン:25mg/50mg
⑤【般】「クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合錠」 と「クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg(鉄として)」
●【般】クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合錠:ウラリット配合錠
●【般】クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg(鉄として):フェロミア錠50mg
⑥【般】「ニソルジピン錠」と「ニルバジピン錠」
●【般】ニソルジピン錠:バイミカード:5mg/10mg
●【般】ニルバジピン錠:ニバジール:2mg/4mg
どちらもそれほど処方頻度は高くないかと思いますが、名称がかなり類似しており注意が必要です。規格は異なるので規格も意識して調剤する必要があります。
⑦【般】「ベニジピン塩酸塩錠」と「マニジピン塩酸塩錠」
●【般】ベニジピン塩酸塩錠:コニール:2mg/4mg/8mg
●【般】マニジピン塩酸塩錠:カルスロット:5mg/10mg/20mg
ベニジピンのほうが処方頻度は高いかと思います。
⑧【般】「ラニチジン錠」と「ラフチジン錠」
●【般】ラニチジン錠:ザンタック:75mg/150mg
●【般】ラフチジン錠:プロテカジン:5mg/10mg
名称は似ていますか、規格が明らかに異なります。
⑨【般】「ラベタロール塩酸塩錠」と「ラベプラゾールNa錠」
●【般】ラベタロール塩酸塩錠:トランデート:50mg/100mg
●【般】ラベプラゾールNa錠:パリエット:5mg/10mg/20mg
ラベプラゾールのほうが処方頻度は高いかと思います。
⑩【般】「ランソプラゾール口腔内崩壊錠」と「ラベプラゾールNa錠」
●【般】ランソプラゾール口腔内崩壊錠:タケプロン:15mg/30mg
●【般】ラベプラゾール Na錠:パリエット:5mg/10mg/20mg
⑪【般】「リトドリン塩酸塩錠」と「ミトドリン塩酸塩錠」
●【般】リトドリン塩酸塩錠:ウテメリン:5mg
●【般】ミドドリン塩酸塩錠:メトリジン:2mg
⑫【般】「レトロゾール錠2.5mg」と「アナストロゾール錠1mg」
●【般】「レトロゾール錠2.5mg」:フェマーラ錠2.5mg
●【般】「アナストロゾール錠1mg」:アリミデックス錠1mg
⑬【般】「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル軟膏0.064%」と「ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル軟膏0.05%」と「ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12% 」
●【般】ベタメタゾンジプロピオン酸エステル軟膏0.064%:リンデロンDP
●【般】ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル軟膏0.05%:アンテベート
●【般】ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%:リンデロンV
単に「ベタメタゾン軟膏」という認識では誤った製剤を調剤してしまうため注意が必要です。なお、軟膏に限らず、クリームやローションも同様です。
外用薬は類似する名前が多いため、この組み合わせに限らず注意する必要があります。
また、外用剤は規格を確認する習慣の無い薬剤師が多いですが、とり違いに注意が必要な薬剤で規格を確認することで取り違えを防ぐことができる薬剤に関しては規格も確認する必要があります。
4.別成分で間違えやすい一般名製剤(同一規格が存在するもの)
同一規格が存在する場合はきちんと規格を確認していても取り違える可能性があるため、より注意する必要があります。
①【般】「一硝酸イソソルビド錠」と「硝酸イソソルビド徐放錠」と「硝酸イソソルビド錠」
●【般】一硝酸イソソルビド錠:アイトロール、一硝酸イソソルビド錠「サワイ」など:10mg/20mg
●【般】硝酸イソソルビド徐放錠:フランドル、硝酸イソソルビド徐放錠「サワイ」など:20mg
●【般】硝酸イソソルビド錠:ニトロール:5mg
一硝酸イソソルビドと硝酸イソソルビド徐放錠はどちらも20mgの規格があり特に注意が必要です。
②【般】「エスタゾラム錠」と「エチゾラム錠」
●【般】エスタゾラム錠:ユーロジン:1mg/2mg
●【般】エチゾラム錠:デパス:0.25mg/0.5mg/1mg
規格が共通して存在しているエスタゾラム1mgとエチゾラム1mgが最も間違えやすいかと思います。
③【般】「エバスチン錠」と「エピナスチン塩酸塩錠」
●【般】エバスチン錠:エバステル:5mg/10mg
●【般】エピナスチン:アレジオン:10mg/20mg
規格が共通して存在している10mgが特に注意が必要です。
④【般】「ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩錠」と「ジヒドロエルゴトキシンメシル酸塩錠」
●【般】ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩錠:ジヒデルゴット:1mg
●【般】ジヒドロエルゴトキシンメシル酸塩錠:ヒデルギン:1mg/2mg
⑤【般】「スルトプリド塩酸塩錠」と「スルピリド錠」
●【般】スルトピリド塩酸塩錠:バルネチール:50mg/100mg/200mg
●【般】スルピリド錠:ドグマチール:50mg/100mg/200mg
⑥【般】「セフカペンピボキシル塩酸塩錠」と「セフジトレンピポキシル錠」
●【般】セフカペンピボキシル塩酸塩錠:フロモックス:75mg/100mg
●【般】セフジトレンピポキシル錠:メイアクト:100mg
⑦【般】「ニコランジル錠」と「ニセルゴリン錠」
●【般】ニコランジル錠:シグマート:2.5mg/5mg
●【般】ニセルゴリン錠:サアミオン:5mg
5mgの規格が共通しており特に注意が必要です。
⑧【般】「ビソプロロールフマル酸塩錠」と「カルベジロール錠」
●【般】ビソプロロールフマル酸塩錠:メインテート:0.625mg/2.5mg/5mg
●【般】カルベジロール錠:アーチスト:1.25mg/2.5mg/10mg/20mg
一般名処方でビソプロロールの際に先発品のアーチストを調剤してしまうミスが報告されています。2.5mgの規格が共通しており特に注意が必要です。
⑨【般】「ロフラゼプ酸エチル錠」と「ロラゼパム錠」
●【般】ロフラゼプ酸エチル錠:メイラックス:1mg/2mg
●【般】ロラゼパム錠:ワイパックス:0.5mg/1mg
1mgの規格が共通しており特に注意が必要です。
⑩【般】「亜鉛華軟膏」と「亜鉛華単軟膏」
●【般】亜鉛華軟膏:亜鉛華軟膏「ホエイ」
●【般】亜鉛華単軟膏10%:亜鉛華(10%)単軟膏「ホエイ」、サトウザルベ軟膏10%●【般】亜鉛華単軟膏20%:サトウザルベ軟膏20%
亜鉛華軟膏は20%製剤で、亜鉛華単軟膏は10%と20%の2規格存在しています。
典型的な間違えとして、一般名処方として「亜鉛華単軟膏20%」で処方がきた際に、誤って同じ20%である「亜鉛華軟膏」で調剤してしまうことが想定されます。
*2023年3月でサトウザルベ軟膏は販売中止、経過措置切れとなりました。
⑪【般】「クロベタゾールプロピオン酸エステル」と「クロベタゾン酪酸エステル」
●【般】クロベタゾールプロピオン酸エステル:デルモベート:0.05%
●【般】クロベタゾン酪酸エステル:キンダベート:0.05%
⑫【般】「トコフェロールニコチン酸エステルカプセル」と「トコフェロール酢酸エステルカプセル」
●【般】トコフェロールニコチン酸エステルカプセル:ユベラNカプセル100mg、トコフェロールニコチン酸エステルカプセル100mg「トーワ」/ユベラNソフトカプセル200mg、トコフェロールニコチン酸エステルカプセル200mg「日医工」
● 【般】トコフェロール酢酸エステルカプセル:トコフェロール酢酸エステルカプセル「ファイザー」:100mg
「ニコチン酸エステル」と「酢酸エステル」の違いであり効能も異なっています。 酢酸エステルカプセルの規格は100mgなので、ユベラ錠50mgの規格違いのジェネリックとなります。
⑬【般】「デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏」と 「デキサメタゾン軟膏」と「 デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏」と「 デキサメタゾン口腔用軟膏」と「 デキサメタゾン眼軟膏」
●【般】デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏0.1%:メサデルム軟膏、デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏「日医工」(旧:プロメタゾン軟膏)
●【般】デキサメタゾン軟膏0.1%:デキサメタゾン軟膏「イワキ」(ジェネリックのクリームで0.05%製剤あり)
●【般】デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏 0.12% :ボアラ軟膏
●【般】デキサメタゾン口腔用軟膏0.1%:デキサメタゾン口腔用軟膏0.1%「NK」
●【般】デキサメタゾン眼軟膏0.05%/ 0.1% :サンテゾーン0.05%眼軟膏、デキサメタゾン眼軟膏0.1%「ニットー」0.1%、
デキサメタゾン製剤は種類が多く非常にわかりづらくなっているため注意が必要です。
最もおこりがちなものは「【般】デキサメタゾン軟膏0.1% 」の処方で誤って「メサデルム軟膏」を調剤してしまうミスが懸念されます。
なお、軟膏で例示していますが、製剤によってはクリームやローション製剤も存在します。
⑭【般】「フルオシノニド軟膏」と「フルオシノロンアセトニド軟膏」
●【般】フルオシノニド軟膏0.05%:トプシム軟膏、 フルオシノニド軟膏「テイコク」
●【般】フルオシノロンアセトニド軟膏0.02 5% :フルコート軟膏、フルオシノロンアセトニド軟膏「YD」
トプシムは劇薬です。
5.別成分で間違えやすい商品名
①「エクセラーゼ」と「エクセグラン」
●エクセラーゼ:規格記載なし
●エクセグラン:100mg
②「オルメテック」と「オメプラール」
●オルメテック:5mg/10mg/20mg/40mg
●オメプラール10mg/20mg
③ 「カムシア配合錠」と「テルチア配合錠」と「テラムロ配合錠」と「カデチア配合錠」
それぞれ先発と後発は下記となります。どれも「AP」,「BP」の表記であり混同しやすいため注意が必要です。
●ミカムロ配合錠 →テラムロ配合錠
●ミコンビ配合錠→テルチア配合錠
●エカード配合錠→カデチア配合錠
●ユニシア配合錠→カムシア配合錠
また、配合錠の場合は一般名処方からのAPとBPの取り違えに注意が必要です。
例えば「【般】カンデサルタン・アムロジピン2.5mg」はカムシア配合錠LDが該当しますが、誤ってカムシア配合錠HDで調剤してしまうなどの過誤が懸念されます。
同一成分のため、レセコンによっては「【般】カンデサルタン・アムロジピン2.5mg」を誤った規格であるカムシア配合錠HDで入力できてしまうため注意が必要です。
④「ザルティア」と「ザイティガ」
●ザルティア:2.5mg/5mg 【排尿障害改善剤】
●ザイティガ:250mg 【前立腺癌治療剤】
医師による処方ミスも報告されているため、服薬指導時に疾患名の確認が必要です。なお、ザイティガはプレドニゾロンとの併用が必須となります。
⑤「シダトレン」と「シダキュア」と「ミティキュア」
●シダトレンスギ花粉舌下液:200JAU/mLボトル/2,000JAU/mLボトル/2,000JAU/mLパック
●シダキュアスギ花粉舌下錠:2,000JAU/5,000JAU
●ミティキュアダニ舌下錠:3,300JAU/10,000JAU
シダトレンは「液」でシダキュア、ミティキュアは「錠」です。
また、シダトレンとシダキュアは「スギ花粉」に対してであり、ミティキュアは「ダニ」に対してとなっています。
なお、シダトレンは現在は販売中止となっています。
⑥「タリオン」と「タチオン」
●タリオン:5mg/10mg
●タチオン:50mg/100mg
タチオンの効能は「 薬物中毒、アセトン血性嘔吐症(自家中毒、周期性嘔吐症)、金属中毒、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群」であり処方されるのは稀ですが、名称が類似しているので注意が必要です。
⑦「ディナゲスト」と「デュファストン」
●ディナゲスト:1mg
●デュファストン:5mg
どちらもホルモン系の薬剤であり混同されやすく、取り違えが報告されています。
特にデュファストンは妊娠時に投与可能な薬剤であるのに対し、ディナゲストは妊婦禁忌であるため取り違えた際にリスクが高くなります。
⑧「テオドール」と「テグレトール」
●テオドール:50mg/100mg/200mg
●テグレトール:100mg/200mg
⑨「ノイロビタン」と「ノイロトロピン」
●ノイロビタン:4単位
●ノイロトロピン:規格記載なし
⑩「ノルバスク」と「ノルバデックス」
●ノルバスク:2.5mg/5mg/10mg
●ノルバデックス:10mg/20mg
⑪「ベタニス」と「ベオーバ」
●ベタニス:25mg/50mg
●ベオーバ:50mg
同じ4文字で薬効も同じなため混同しやすい製剤です。
パッケージは異なるので、過誤防止策としては、薬情や薬袋の写真と現物が一致しているかを確認するのがよいかと思います。
⑫「ボノサップパック」 と「ボノピオンパック」
名称とパッケージが類似しているため、間違えやすい製剤です。
過誤防止策としては、投薬時にパッケージを見せて、シートに含有する製剤名を読み上げて説明することで対応できるかと思います。
読み上げた薬剤がクラリスかフラジールかで区別ができます。
⑬「ボンビバ」と「ボノテオ」
●ボンビバ:100mg
●ボノテオ:1mg/50mg
同じ4文字で薬効も同じなため混同しやすい製剤です。
パッケージは異なるので、過誤防止策としては、薬情や薬袋の写真と現物が一致しているかを確認するのがよいかと思います。
⑭「リクシアナ」と「リフキシマ」
●リクシアナ:15mg/30mg/60mg
●リフキシマ:200mg
リフキシマは肝性脳症における高アンモニア血症の改善を効能とする薬剤です。
⑮「タプロス点眼液」と「タプコム配合点眼液」
タプコムはタプロス+チモロールの配合剤です。
どちらも4文字であるため混同しやすいため注意が必要です。
⑯「デルモゾール軟膏」と「デルモベート軟膏」
●デルモゾール軟膏:0.12%
●デルモベート軟膏:0.05%
名前が似ており、一見デルモベートのジェネリックがデルモゾールかと誤解しがちですが、デルモゾールはリンデロンVのジェネリックです。なお、デルモゾールGはリンデロンVGのジェネリックとなります。
⑰「パンデル軟膏/クリーム/ローション」と「パルデス軟膏/クリーム/ローション」
●パンデル:0.1%
●パルデス:0.05%
パルデスはキンダベートのジェネリックです。
*パルデスは現在は販売名変更でクロベタゾン酪酸エステル軟膏/クリーム/ローション「イワキ」となっています。
⑱「リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%」と「点眼・点鼻用リンデロンA液」
点眼・点鼻用リンデロンA液はアミノグリコシド系抗菌薬が含まれているため「耳」の効能はありません。
⑲「レグナイト錠300mg」と「レグテクト錠333mg」
●レグナイト錠:300mg
●レグテクト錠:333mg
レグテクトはアルコール依存症患者における断酒維持の補助を効能とする薬剤です。
⑳「ルパフィン」と「ルセフィ」
●ルパフィン錠:10mg 【アレルギー性疾患治療剤】
●ルセフィ錠:2.5mg/5mg【SGLT2 阻害剤】
㉑「ビオフェルミン配合散」と「ビオフェルミン散剤」
●ラクトミン・糖化菌配合散:ビオフェルミン配合散
●ビフィズス菌散1.2%:ビオフェルミン散剤
ビオフェルミン散剤はビオフェルミン錠剤の剤型追加として2022年12月に発売されました。
従来からある「ラクトミン+糖化菌」が成分であるビオフェルミン配合散との過誤が起こることが容易に想像されます。
存在を認識していないと、「ビオフェルミン散剤」の処方の際に、従来から存在し自店舗に在庫のある「ビオフェルミン配合散」で調剤してしまうという過誤が起こります。
6.同一製剤で規格・剤形で間違えやすい製剤
「スピリーバーレスピマット2.5μg」と「スピリーバーレスピマット1.25μg」のように複数規格ある製剤で、かつ実際処方されるのがほとんど片方の規格である製剤は、処方頻度が低い規格の存在を忘れがちであるため、稀な規格の処方が来た場合に気づかずに過誤をするリスクが高いため注意が必要です。
また、今まで1つの規格だけであったものが、新たな規格を発売する際は、存在を認識しておかないと新規格の処方を従来規格で調剤してしまう過誤となるリスクが高いため注意が必要です。
新たな規格が発売された際は薬局内に周知する必要がありますが、この手の情報は腹立たしいことに製薬会社もあまりアナウンスしてこないので、このことを認識しておかないと気づけない可能性があります。
①「ザルティア5mg」と「ザルティア2.5mg」
通常量は5mg規格ですが、中等度の腎障害のある患者やCYP3A4を強く阻害する薬剤を投与中の患者では1回2.5mgから投与を開始する場合があります。
②「タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mg」と「タムスロシン塩酸塩OD錠0.1mg」
通常は0.2mgですが0.1mgの規格も存在します。
③「デカドロン錠0.5mg」と 「デカドロン錠 4mg」
処方が多いのは0.5mgですが4mgの規格も存在します。間違えたら非常にリスクが大きいため認識しておく必要があります。
④「ビカルタミド錠「NK」」と「ビカルタミド錠「KN」」
「NK」は 日本化薬株式会社 で「KN」は小林化工株式会社 です。
ビカルタミド以外にも、アナストロゾール、レトロゾール、イマチニブなどでは「NK」と「KN」どちらも販売されているため注意が必要です。
*「KN」は小林化工のため現在は販売中止となっているものが多くビカルタミド、イマチニブ、アナストロゾールも中止となっていますが、レトロゾールはまだ販売しています。
⑤「ロペミン細粒0.1%」と「ロペミン小児用細粒0.05%」
ロペミン細粒0.1%は成人用のため、小児に処方された場合は疑義照会対象となります。
⑥【般】「アダパレンゲル0.1%」と「アダパレンクリーム0.1%」
ディフェリンゲルのジェネリックが発売されましたが、一部の会社がアダパレンの「クリーム製剤」を発売しました。
そのため、クリーム製剤の存在を認識しておかないと、一般名として「アダパレンクリーム」の処方が来た際に、誤ってゲル製剤を調剤してしまう過誤が想定されます。
⑦「イドメシンコーワゾル」と「イドメシンコーワゲル」
1文字しか違わないので混同しやすい製剤です。
ゾルはローションタイプの製剤です。1本のグラム数も下記ように異なっています。
イドメシンコーワゲル1% : 35g、70g
イドメシンコーワゾル1% : 30g、45g、90g
⑧「MS温/冷湿布20g」と「MS温/冷湿布 40g」
MS温シップ、MS冷シップは通常処方が多いのは1枚が20g( 1袋100g:20g×5枚)ですが、大きいサイズの1枚が40g製剤( 1袋200g:40g×5枚)が存在しています。
そのため、処方量が200g単位である場合は全量の記載だけではどちらの製剤か判断できないため疑義照会をする必要があります。
⑨「スピリーバーレスピマット2.5μg」と「スピリーバーレスピマット1.25μg」
処方が多いのは2.5μgです。1.25μgの場合は気管支喘息の効能のみで、COPDの効能はありません。
⑩「ドボベット軟膏」と 「ドボベットゲル」
従来では軟膏製剤のみでしたが、2018.6月にゲル製剤が発売されました。
⑪フルティフォーム「50エアゾール」と「125エアゾール」、「56吸入用」と「120吸入用」
フルティフォーム:50エアゾール56吸入用/50エアゾール120吸入用/125エアゾール56吸入用/125エアゾール120吸入用
規格と吸入回数のどちらも間違う可能性があり注意が必要です。
⑫「モーラスパップXR120mg」と「モーラスパップXR240mg」
⑬「ルリコンクリーム」と「ルリコン軟膏」
処方が多いのはクリームであるため、「軟膏」で処方された際に気づかずにクリームで調剤してしまいがちなので注意が必要です。
⑭「アミティーザカプセル24μ」と「アミティーザカプセル12μg」
今までは24μの規格のみ販売していましたが、2018年11月末頃に12μgの規格が発売されました。
新規格の12μg処方時に、気付かずに従来の24μで調剤してしまう過誤が想定されます。
⑮「テネリア錠20mg」と「テネリア錠40mg」
今までは20mgの規格のみ販売していましたが2018年12月頭に40mgの規格が発売されました。
新規格の40mg処方時に、気付かずに従来の20mgで調剤してしまう過誤が想定されます。
⑯「レクサプロ錠10mg」と「レクサプロ錠20mg」
今までは10mgの規格のみの販売でしたが2019年6月に20mgの規格が発売されました。
新規格の20mg処方時に、気付かずに従来の10mgで調剤してしまう過誤が想定されます。
⑰「アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用」と「アラミスト点鼻液27.5μg 120噴霧用」
今までは56噴霧用の規格のみの販売でしたが2019年6月に120噴霧用の規格が発売されました。
120噴霧の処方で従来の56噴霧を調剤してしまう過誤が想定されるので注意が必要です。
⑱【般】「モメタゾン点鼻液50μg7g」と「モメタゾン点鼻液50μg10g」と「モメタゾン点鼻液50μg13g」と「モメタゾン点鼻液50μg18g」
●【般】モメタゾン点鼻液50μg7g:モメタゾン点鼻液50μg「MYL」56噴霧用
●【般】モメタゾン点鼻液50μg10g:ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用 、モメタゾン点鼻液50μg「杏林」56噴霧用、モメタゾン点鼻液50μg「トーワ」56噴霧用、等
●【般】モメタゾン点鼻液50μg13g:モメタゾン点鼻液50μg「MYL」112噴霧用
●【般】モメタゾン点鼻液50μg18g:ナゾネックス点鼻液50μg112噴霧用、モメタゾン点鼻液50μg「杏林」112噴霧用、「タカタ」等モメタゾン点鼻液50μg「トーワ」112噴霧用
「MYL」製剤は使用終了時の残量が少なく設計されているので先発より軽いとのことです。また、その他の特徴として、使用時の振とうや使用の角度制限がないようです。
ジェネリック変更の際の注意点
モメタゾン点鼻液50μg「MYL」は先発品と一般名は異なりますが、製薬会社によると先発処方からの「MYL」製剤への変更は通常のジェネリック変更として扱ってよいとのことでした。
ただし、一般名処方からの「7gと10g間の変更」や、他のジェネリック製剤と「MYL」製剤間の変更は大丈夫とは言えず、レセプトを審査する機関などに可否を確認する必要があるとのことなので、この変更は避けたほうがよいかと思います。
想定される過誤
「【般】モメタゾン点鼻液50μg7g」の処方で「ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用」を調剤してしまったり、「モメタゾン点鼻液50μg「MYL」56噴霧用」の処方で他社GE製品に変更調剤してしまう過誤が想定されるので注意する必要があります。
⑲【般】「球形吸着炭カプセル200mg」 と 「球形吸着炭カプセル286mg」
●【般】「球形吸着炭カプセル200mg」:クレメジンカプセル200mg、球形吸着炭カプセル200mg「マイラン」
●【般】「球形吸着炭カプセル286mg」:球形吸着炭カプセル286mg「日医工」
球形吸着炭カプセルには規格がクレメジンの「200mg」しかないと思いがちですが、1回の服薬個 数が少なくなるよう設計されたジェネリック製剤の 286mg の規格が存在します。
そのため 「【般】球形吸着炭カプセル」のような規格抜けの処方の場合は、規格の疑義照会が必要となります(1回の服用個数から区別はつくかと思いますが)。
重要なのは、規格抜けの処方の場合は、思いこみをせずに他の規格が存在する可能性を考えて添付文書検索などで確認する手順が必要となることです。
⑳「エルサメット配合錠」と「エルサメットS配合錠」
【般】オオウメガサソウエキス0.5mg・ ハコヤナギエキス等配合錠: エビプロスタット配合錠 SG(すでに販売中止)、 エルサメット配合錠、エピカルス配合錠
【般】オオウメガサソウエキス1.0mg・ ハコヤナギエキス等配合錠 : エビプロスタッ ト配合錠DB 、 エルサメットS配合錠、 エピカルスS配合錠
先発品の「エビプロスタット配合錠 SG」 は「含有量が2倍で服薬錠数が少なくですむエビプロスタッ ト配合錠DB」の発売により、すでに販売中止となっています。
先発の「エビプロスタット配合錠 SG」 は販売中止してますが、厄介なことにジェネリック製剤のエルサメット 配合錠などはまだ販売しています。
特に「DB」に相当する名称が「S」という「SG」に相当すると誤解させる過誤を誘発する極めて悪い名称のため注意が必要です。
処方の錠数としては通常6錠分3であれば「エルサメット配合錠」 で、3錠 分3 であれば、エビプロスタッ ト配合錠DBや エルサメットS配合錠です。ただし、適宜増減記載のため、異なる場合もあります。
㉑「メルカゾール錠5mg」と「メルカゾール錠2.5mg」
今までは5mgの規格のみ販売していましたが、 2021年2月に2.5mgの規格が発売されました。
新規格の2.5mg処方時に、気付かずに従来の5mgで調剤してしまう過誤が想定されます。
従来の5mgは黄色ですが、2.5mgのほうはピンク色です。
㉒「コレクチム軟膏0.5%」と「コレクチム軟膏0.25%」
2021年3月の小児の効能追加に伴い、従来の0.5%規格に加えて新たに0.25%規格が追加となりました。成人は0.5%ですが、小児は0.25%だけでなく、 症状に応じて0.5%製剤も使用することができます。
新規規格の0.25%の処方時に、気付かずに従来の0.5%で調剤してしまう過誤が想定されます。
㉓「テリルジー100エリプタ」と「テリルジー200エリプタ」
従来は100エリプタのみでしたが、2021年2月に200エリプタが発売されました。
従来の100エリプタはCOPDも気管支喘息もどちらの効能もありますが、200エリプタでは気管支喘息のみの効能であり、COPDには効能ありません。
新規格の200エリプタの処方時に気づかずに従来の100エリプタで調剤してしまう過誤が想定されます。
また、14吸入と30吸入の違いもあるので注意が必要です。
㉔【般】「ジエノゲスト錠0.5mg」 と「ジエノゲスト錠1mg」
●【般】ジエノゲスト錠:ディナゲスト錠、ジエノゲスト錠「モチダ」 0.5/1mg
0.5mg規格は2020年に追加となった「月経困難症」を効能とする新規格です。ジェネリックは2022年6月に発売されています。
従来のディナゲスト錠は1mg規格であり、効能が「子宮内膜症」、「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」でしたが、0.5mg規格の製剤は「月経困難症」のみを効能としています。
㉕ビベスピエアロスフィア28吸入とビベスピエアロスフィア120 吸入
今までは28吸入のみの規格の販売でしたが、2022年6月に120噴霧用の規格が発売されました。
120吸入の処方で従来の28噴霧を調剤してしまう過誤が想定されるので注意が必要です。
なお、28吸入と120 吸入では操作が異なる部分があり、未使用の吸入器をはじめて使用するときは、吸入準備操作 (「振る→空噴霧」で1セット) を、28吸入製剤では合計で4度、120吸入製剤では合計で2度行うことされています。
なお、120 吸入では製剤に付属する指導せんに再度吸入準備操作が必要になるケースの記載があり、28吸入には記載がありませんが、これは単なる記載不備であり、実際は同様の扱いが必要となります。
また、28吸入を1週間で使い切る場合は洗浄不要ですが、120 吸入は週1回洗浄が必要で洗浄後は2度の吸入準備操作 (「振る→空噴霧」で1セット)が必要となります。
㉖ビレーズトリエアロスフィア56 吸入とビレーズトリエアロスフィア120 吸入
今までは56吸入の規格のみの販売でしたが、2022年6月に120噴霧用の規格が発売されました。また、これに伴いデバイスの外観デザインも変更となっています。
120吸入の処方で従来の56吸入を調剤してしまう過誤が想定されるので注意が必要です。
なお、ビベスピ同様に未使用の吸入器をはじめて使用するときは、吸入準備操作 (「振る→空噴霧」で1セット) を、56吸入製剤では合計で4度、120吸入製剤では合計で2度行うことされています。洗浄も同様です。
㉗「モイゼルト軟膏0.3%」と「モイゼルト軟膏1%」
「アトピー性皮膚炎」を効能するホスホジエステラー ゼ 4(PDE4)阻害剤の外用製剤です。
1%と0.3%の規格があり、成人は1%ですが、小児(2歳以上)は0.3%だけでなく、 症状に応じて1%製剤も使用することができます。
7.同じ一般名で異なる製剤
同一の一般名とは「徐放錠」と「普通錠」などの類似の一般名ではなく、全く同じ一般名に対して異なる製剤が該当してしまう薬剤です。
一般名が同じため、レセコン上でもどちらとも候補として出てきてしまいますが、異なる薬剤であるため疑義照会しないとどちらの製剤を処方したいかがわからない製剤です。
事務による入力も、このことに気づかずに自店にある在庫で入力してしまう可能性が高いため注意が必要です。
①【般】バルプロ酸Na徐放錠
●【般】バルプロ酸Na徐放錠:デパケンR錠、バルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」、 バルプロ酸ナトリウム徐放錠A「トーワ」 100mg/200mg、セレニカR:200mg/400mg)
「デパケンR」と「セレニカR」の2つの製剤が該当します。
デパケンRは1日1~2回の用法ですが、セレニカRはを1日1回の製剤です。また、デパケンRの規格は100mgと200mgですが、セレニカRは200mgと400mgです。
そのため、200mgでなければ規格からどちらの製剤か判別可能です。
局方名について
2019年6月にデパケンR錠に該当する薬剤の局方名が「バルプロ酸ナトリウム徐放錠A」、セレニカRに該当する薬剤の局方名が「バルプロ酸ナトリウム徐放錠B」 として日本薬局方に収載されました。
これを受けて、デパケンRのジェネリックに該当するバルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」は バルプロ酸ナトリウム徐放錠A「トーワ」に販売名変更を行っています。
一般名について
なお、一般名については、2020年1月時点では厚労省の一般名マスタは従来どおり「【般】バルプロ酸Na徐放錠」のままであり、東和薬品もセレニカRの製薬会社も一般名は従来どおり 「【般】バルプロ酸Na徐放錠」 のままとのことでした。
ただし、デパケンRの製薬会社は、局方名が変わったので、一般名も「バルプロ酸ナトリウム徐放錠A 」という話をしていました。ただ、厚労省の一般名マスタの存在を認識していなかったり、「一般名は製薬会社から案内するものなのか?」などとかなり不安感がのこる回答をされました。
②【般】ジフルコルトロン吉草酸エステルクリーム
「ネリゾナクリーム」と「ネリゾナユニバーサルクリーム」の2つの製剤が該当します。
どちらも乳剤性基剤ですが、ネリゾナクリームは「O/W型」であり、ネリゾナユニバーサルクリームは「W/O型」となっています。
③【般】ピレノキシン点眼用0.005%
「カタリンK点眼用0.005%」と「カタリン点眼用0.005%」の2つの製剤が該当します。
「K」は溶解するのが顆粒で、Kがついていないカタリンでは溶解するのが錠剤となっています。
④【般】ヘパリン類似物質スプレー
「ヘパリン類似物質外用スプレー「会社名」」と「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー「会社名」 」の2つの製剤が該当します。
あまり認知されていませんが泡状スプレーの一般名も泡でない通常のスプレーも同じ一般名となっています。
これに関しては前述のものとは異なり、一般名で処方がきた際に、わざわざ泡状を調剤するのはひねくれているので、通常のスプレーを調剤する対応でよいかと思います。
なお、一般名処方で、「泡状」を処方したい意図がある医師は、ヘパリン類似物質外用スプレーの一般名で、コメントとして「泡」と処方されるケースがあります。
また、2018年9月に発売した「ヒルドイドフォーム」は1本100gではなく「92g」となっており、一般名処方で「ヘパリン類似物質外用スプレー 92g」のような用量の場合は「ヒルドイドフォーム」の処方を意図したものとなるかと思います。
8.麻薬で間違えやすい製剤
麻薬は近年、類似名称に注意が必要な新薬が多く発売されており、また一般名処方自体も増えてきているので、別項目でまとめました。なお、麻薬ではありませんががん性疼痛にも使われるトラマドールも記載しています。
「近年」、類似名称に注意が必要な新薬が多く発売されたので、まだジェネリックが存在せず一般名マスタに収載がないため、病院により一般名処方の記載が異なることもより過誤を誘発しやすくなっています。
認識しておかないと過誤につながる可能性があるものが多いので、すべての薬剤師が把握しておいたほうが良いかと思います。
①【般】「オキシコドン徐放錠」と「オキシコドン徐放カプセル」と「オキシコドン徐放錠(乱用防止製剤)」と「オキシコドン錠」と「オキシコドン錠(乱用防止製剤)」
●【般】オキシコドン徐放錠:オキシコンチン錠、オキシコドン徐放錠「第一三共」:5mg/10mg/20mg/40mg
●【般】オキシコドン徐放カプセル:オキシコドン徐放カプセル「テルモ」: 5/10/20/40mg
●【般】オキシコドン徐放錠(乱用防止製剤):オキシコンチンTR錠 、オキシコドン徐放錠NX「第一三共」: 5/10/20/40mg●【般】オキシコドン錠:オキシコドン錠「第一三共」:2.5/5/10/20mg【2023年3月経過措置切れ】
●【般】オキシコドン錠(乱用防止製剤):オキシコドン錠NX「第一三共」:2.5/5/10/20mg
「徐放錠」かそうでないかと、「乱用防止製剤」かそうでないかと、カプセル剤形で5種類の一般名に分類されていましたが、上記の類似名称のうちで乱用防止製剤でないものはカプセル剤以外は販売中止となったので3種類とわかりやすくなりました。
「乱用防止製剤でないオキシコドン徐放錠」である オキシコンチン錠と、これのジェネリックであるオキシコドン徐放錠「第一三共」はすでに販売中止で経過措置も切れていますが、カプセルのオキシコドン徐放カプセル「テルモ」は販売が継続されています。
なお、「徐放でないオキシコドン錠」であるオキシコドン錠「第一三共」 は「オキノーム散」のジェネリックであり、これの乱用防止製剤がオキシコドン錠NX「第一三共」となっています。
NX製剤について
「NX」がつくものは添加物として麻薬拮抗剤のナロキソンを含むことで乱用防止製剤となっています。
このナロキソンは経口投与時にはほとんどが肝初回通過効果による速やかな代謝を受け作用を発現せず、オキシコドンの薬理作用を阻害することはありません。実際に経口投与時の血漿中ナロキソン濃度は定量下限未満となっています。
一方、乱用目的などで注射した場合はナロキソンがオキシコドンの薬理作用に拮抗するようです。
なお、オキシコドン徐放錠NXはジェネリック製剤でありながら、オキシコンチンTR錠 とでは「用法・用量に関連する使用上の注意」と「重要な基本的注意」が一部異なるため注意が必要です。
②【般】「トラマドール 塩酸塩口腔内崩壊錠」と「トラマドール 塩酸塩徐放錠 (12時間持続)」と「トラマドール 塩酸塩徐放錠 (24時間持続)」
●【般】トラマドール 塩酸塩口腔内崩壊錠:トラマールOD錠、トラマドール塩酸塩OD錠「KO」: 25/50
●【般】トラマドール 塩酸塩徐放錠 (12時間持続):ツートラム錠: 50/100/150mg
●【般】トラマドール 塩酸塩徐放錠 (24時間持続):ワントラム錠: 100mg
徐放かそうでないか、徐放の場合でも持続時間の違いで3種類存在しています。
なお、禁忌項目にも違いがあり、徐放製剤の場合は「高度な腎機能障害又は高度な肝機能障害のある患者」が禁忌となっています。
③【般】「モルヒネ塩酸塩徐放カプセル」と「モルヒネ硫酸塩徐放カプセル(12時間持続)」と「モルヒネ硫酸塩徐放錠(12時間持続)」と「モルヒネ塩酸塩錠」
●【般】モルヒネ塩酸塩徐放カプセル:パシーフカプセル 30/60/120mg
●【般】モルヒネ硫酸塩徐放カプセル(12時間持続):MSツワイスロンカプセル 10/30/60mg
●【般】モルヒネ硫酸塩徐放錠(12時間持続):MSコンチン錠 10/30/60mg
●【般】モルヒネ塩酸塩錠:モルヒネ塩酸塩錠「DSP」 10mg
「塩酸塩」と「硫酸塩」という塩の部分の1文字の違いなので認識していないと非常に間違いやすいので注意が必要です。
④【般】「ヒドロモルフォン塩酸塩錠」と「ヒドロモルフォン塩酸塩徐放錠」
●【般】ヒドロモルフォン塩酸塩錠:ナルラピド錠:1/2/4mg
●【般】ヒドロモルフォン塩酸塩徐放錠:ナルサス錠:2/6/12/24mg
ナルサス錠は徐放性製剤のため、1日1回の用法であり、レスキュー用ではありません。ナルラピドは1日4~6回に分割経口する定時投与のほか、レスキューとして臨時投与にも使用できます。
⑤「フェンタニルクエン酸塩舌下錠」と「フェンタニルクエン酸塩バッカル錠」
●【般】フェンタニルクエン酸塩舌下錠:アブストラル舌下錠 100/200/400μg
●【般】フェンタニルクエン酸塩バッカル錠:イーフェンバッカル錠 50/100/200/400/800μg
「舌下錠」と「バッカル錠」の違いです。バッカル錠は「頬と歯茎の間にはさむ」という使い方となります。また、剤形だけでなく投与間隔などにも違いがあります。
⑥「フェンタニルクエン酸塩テープ(1日用)」と「フェンタニルテープ(1日用)」と「フェンタニルテープ(3日用)」
●【般】フェンタニルクエン酸塩テープ(1日用):フェントステープ、フェンタニルクエン酸塩1日用テープ「テイコク」など 0.5/1/2/4/6/8mg
●【般】フェンタニルテープ(1日用):ワンデュロパッチ、フェンタニル1日用テープ「明治」など 0.84/1.7/3.4/5/6.7mg
●【般】フェンタニルテープ(3日用):デュロテップMTパッチ、フェンタニル3日用テープ「明治」など、2.1/4.2/8.4/12.6/16.8mg
●【般】フェンタニルテープ(3日用):ラフェンタテープ 1.38/2.75/5.5/8.25/11mg
非常にわかりにくくなっていますが、幸いにも共通規格がないため、規格に注意すれば過誤を防ぐことができます。
ラフェンタテープはデュロテップMTパッチのジェネリックなので一般名は同一ですが、薬剤の放出機構に差があり含有量(mg)が異なるため、ジェネリック変更はできません。
また、効能も一部異なっており、ラフェンタには「慢性疼痛」の効能がありません。
⑦【般】「モルヒネ硫酸塩徐放細粒〇%(12時間持続)」と「モルヒネ硫酸塩徐放細粒〇mg(12時間持続)」
●【般】モルヒネ硫酸塩徐放細粒〇%(12時間持続):モルペス細粒 2%/6% 薬価単位:g
●【般】モルヒネ硫酸塩徐放細粒〇mg(12時間持続):モルヒネ硫酸塩水和物徐放細粒分包「フジモト」 10mg/30mg 薬価単位:包
「モルペス細粒2%・6%」から「モルヒネ硫酸塩水和物徐放細粒分包10mg・30mg「フジモト」」への名称変更ですが、名称に加えて薬価単位も「g」から「包」に変更となり別製剤としての位置づけとなっています。
そのため、帳簿上も別々に記載が必要となりますし、処方も%処方の古い製剤の一般名で、新製剤のmg製剤を調剤することもできないため注意が必要です。
なお、古い製剤は2024年3月末経過措置切れ予定です。
⑧【般】「コデインリン酸塩散1%」と「コデインリン酸塩散10%」と「コデインリン酸塩原末」
●コデインリン酸塩散 1%:コデインリン酸塩散1%「タケダ」など
●コデインリン酸塩散 10%:コデインリン酸塩散10%「タケダ」 など
●コデインリン酸塩原末:コデインリン酸塩水和物原末「タケダ」 など
10%と原末製剤は麻薬となります。1%の処方を誤ってわざわざ麻薬で調剤することはほとんどないと思いますが、10%処方で誤って1%で調剤してしまう過誤や、原末処方を10%で調剤してしまう過誤が想定されます。
⑨【般】「ジヒドロコデインリン酸塩散1%」と「ジヒドロコデインリン酸塩散10%」と「ジヒドロコデインリン酸塩原末」
● ジヒドロコデインリン酸塩散1% :ジヒドロコデインリン酸塩散1%「タケダ」 など
● ジヒドロコデインリン酸塩散10%:ジヒドロコデインリン酸塩散10%「タケダ」 など
● ジヒドロコデインリン酸塩原末:ジヒドロコデインリン酸塩「タケダ」原末 など
前述のコデインリン酸塩散同様 10%と原末製剤は麻薬となります。
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