新薬承認情報【2024年春】

新薬承認情報【2024年春】

2024年春の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

ノベルジンに次ぐ低亜鉛血症の薬剤であるジンタス錠やアレジオンの眼瞼クリーム製剤は処方が来る可能性があるので認識しておく必要があるかと思います。

また、薬剤師に直接関係するわけではありませんが、ワクチンが新たに数種類承認されているので知識として知っておいてもよいかもしれません。

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①ジンタス錠(ヒスチジン亜鉛水和物)

「低亜鉛血症」を効能とする「 1 日 1 回投与」の低亜鉛血症治療薬です。この効能はノベルジンに次いで2剤目となり、ノベルジン製剤の1日亜鉛投与量を1日1回で投与でき、服薬アドヒアランスの改善が期待できる薬剤として開発されました。

ヒスチジン亜鉛水和物はヒスチジンとの亜鉛錯体であり、活性本体はノベルジン(酢酸亜鉛水和物)と同じ亜鉛です。

亜鉛(Zinc)と補充(足す)から命名されています。

アレジオン眼瞼クリーム0.5 %(エピナスチン塩酸塩)

「アレルギー性結膜炎」を効能とする「1日1回眼周囲(上下眼瞼)」へ塗布するクリームタイプの製剤でアレルギー性結膜炎治療剤では世界で初めての剤形です。

抗アレルギー点眼薬では1日2 回又は4 回の点眼が必要ですが、この製剤は1日1回、眼瞼皮膚に塗布することでエピナスチンが眼瞼を透過して結膜で持続的に作用します。

小児など点眼動作が難しい患者さんにおいても適用しやすい剤形とされています。

③タイコバック水性懸濁筋注(不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン)

「ダニ媒介性脳炎の予防」を効能とするダニ媒介性脳炎の発症を予防するワクチンです。

ダニ媒介性脳炎ウイルスを保有するマダニに刺咬されることにより感染する疾患で、欧州を中心に流行しており、日本では近年北海道での死亡例を含む5例となりますが、国内におけるダニ媒介性脳炎の実態は十分に把握されておらず、有効な治療法がないためニーズが存在しています。

本剤の承認により、ダニ媒介性脳炎の流行地域への渡航者や、ダニ媒介性脳炎ウイルスに感染する可能性のある地域の居住者の感染を予防することができると期待されています。

なお、マダニといえば一時期「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が話題になりましたが、これの予防の効能ではありません。

④プレベナー20水性懸濁注

小児における肺炎球菌(血清型 1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F 及び 33F)による侵襲性感染症の予防」を効能とする沈降 20 価肺炎球菌結合型ワクチンです。

本剤は、既存の13価ワクチン「プレベナー13」に7種の血清型を加えることにより、さらに広範な血清型による侵襲性肺炎球菌感染症を予防することが期待されています。小児における侵襲性肺炎球菌感染症は依然として少なくなく、本剤に追加した7種血清型の肺炎球菌に起因する割合が高いとされています。

肺炎球菌ワクチンといえば、最近バクニュバンスが小児効能追加となりこの4月から小児の定期接種となりましたが、このプレベナー20の承認により今後また変更がでてくる可能性があります。

⑤アブリスボ筋注用

「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」を効能とするRSウイルスに対する国内初の母子免疫ワクチンです。

妊婦に接種することにより、母体のRSウイルスに対する中和抗体価を高め、それが胎児に移行し、出生時から乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患を予防することが期待されます。

また、上記効能での承認の2か月後に「60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防」の効能も追加となりました。なお、「60歳以上のRSウイルスによる感染症の予防」としてはすでに「アレックスビー筋注用」が発売されています。

⑥ベイフォータス筋注シリンジ

下記効能とする抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤です。「健康な」新生児または乳児の予防を効能とするのは世界初となります。

<効能又は効果>
1.生後初回又は2回目のRSウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制

2.生後初回のRSウイルス感染流行期の1.以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防

新薬DSU等の解説
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