今回は運転など危険な作業に関する制限のある薬剤に対する対応をまとめました。あくまで個人的な考えとなりますが参考になればと思います。
運転など危険な作業に関する制限のある薬剤を服用した患者が事故を起こした場合に、薬剤師が適切に説明していなかった場合は最悪、訴えられてしまうことも考えられるため注意が必要です。
実際に必要な対応としては、少なくとも下記の3点全てを実施することかと思います。
1.薬情への記載
2.口頭での説明
3.薬歴への記載
以下で具体的に説明します。
1.薬情への記載
現在のレセコンでは、薬情への出力用の文章が整備されており、運転など危険な作業に関する制限の文章もかなり添付文書に忠実に用意されており、比較的容易に薬情に反映できるかと思います。
適切に説明しているにも関わらず、万一患者から、訴えられてしまった際に、薬情にこれらの記載があることは薬剤師側にかなり有利になるかと考えられます。
なお、薬情に記載があるので口頭での説明や薬歴への記載をしなくてよい、という意味ではないのでご注意ください。
2.口頭での説明
「注意」か「避ける」か
薬情を見せながら運転など危険な作業に関する制限を説明します。
添付文書の運転など危険な作業に関する制限の記載としては、大まかには運転など危険な作業を「注意する」か「避ける」かに分けられ、後者のほうが制限が厳しくなります。
「避ける」薬剤を、誤って「注意する」といった説明をしないようにする必要があります。
運転など危険な作業に関する制限の理由
制限の理由として、眠気や眼の調節障害などであれば比較的説明しやすいかと思いますが、バルトレックスやクラビットなどの薬剤のように意識障害などが理由となる場合は、そのまま説明すると患者に過度の不安感を与えてしまう可能性があります。
このような場合にどのように説明するかは個々の薬剤師が考える必要がありますが、私は「まれに眠気や異常にボーッとすることがあるので」などと話ながら、薬情の該当部分を説明しています。(薬情には、「もうろうとする」といった記載となっています)。
睡眠薬の場合
睡眠薬の場合は服用当日だけでなく、翌朝以後の運転も制限されるため、「翌日にも効果が持ち越すことがあるので」などと口頭でもその旨を説明します。
3.薬歴への記載
薬情や口頭での説明だけでは不十分であり、口頭で説明した場合は薬歴に記載しておかなければ説明したとみなされないと考えられます。
前述同様に「避ける」薬剤を、誤って「注意する」といった記載をしないようにする必要があります。
調剤する頻度が多い運転など危険な作業に関する制限のある薬剤例
参考までに調剤薬局で調剤する頻度が比較的多いと考えられる運転など危険な作業に関する制限のある薬効群を抜粋しました。大まかなまとめなので、同一薬効群の中に、制限が無い薬剤が存在するものもあります。
・咳止め、吐き気止め、鎮痙薬(ブスコパンなど)、抗ヒスタミン薬、偏頭痛薬、
・降圧薬、糖尿病薬、前立腺肥大症薬、過活動膀胱薬
・メンタル薬、睡眠薬、パーキンソン薬
・ヘルペス薬、ジスロマック、クラビット、セレコックス、ボルタレン
・緑内障点眼
運転など危険な作業に関する制限を受け入れられない場合の対応
「避ける」とされる薬の場合には薬局側からこれを「注意すれば運転などしてよい」とは言えないため、もし患者が運転など危険な作業に関する制限を受け入れられない場合は、代替がある場合は疑義照会するのがよいかと思います。
代替としては同効薬で、制限が弱い「運転など注意」とされる薬剤や、そもそも運転の制限のない薬剤となります。
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