同じ一般名で異なる製剤が存在する薬剤

同じ一般名で異なる製剤が存在する薬剤
今回は同じ一般名処方で、異なる製剤が存在する薬剤をまとめました。

これらの一般名処方の場合は、複数の異なる製剤が該当することとなるため、原則疑義照会しどちらの処方意図なのかを確認する必要があります。

この内容は、下記の「薬剤名称ミスのまとめ」でも記載していますが、「同じ一般名で異なる製剤が存在する薬剤」に関してはとても重要な内容なので該当部分だけを今回転載しています。

薬剤名称類似ミスのまとめ
今回は商品名(一般名)や規格で間違えやすい内容をまとめました。ここで取り上げた製剤で今まで認識していなかった製剤に関しては実際に製剤写真をみて、判別しやすいかどうかを確認しておくことをお勧めします。
スポンサーリンク

同じ一般名で異なる製剤

同一の一般名とは「徐放錠」と「普通錠」などの類似の一般名ではなく、全く同じ一般名に対して異なる製剤が該当してしまう薬剤です。

一般名が同じため、レセコン上でもどちらとも候補として出てきてしまいますが、異なる薬剤であるため疑義照会しないとどちらの製剤を処方したいかがわからない製剤です。

事務による入力も、このことに気づかずに自店にある在庫で入力してしまう可能性が高いため注意が必要です。

なお、下記のなかで「バルプロ酸Na」に関しては「徐放錠」と「普通錠」という類似一般名も存在するため併せて注意が必要です(後述)。

①バルプロ酸Na徐放錠

「デパケンR」と「セレニカR」の2つの製剤が該当します。

デパケンRは1日1~2回の用法ですが、セレニカRはを1日1回の製剤です。また、デパケンRの規格は100mgと200mgですが、セレニカRは200mgと400mgです。

そのため、200mgでなければ規格からどちらの製剤か判別可能です。

②ジフルコルトロン吉草酸エステルクリーム

「ネリゾナクリーム」と「ネリゾナユニバーサルクリーム」の2つの製剤が該当します。

どちらも乳剤性基剤ですが、ネリゾナクリームは「O/W型」であり、ネリゾナユニバーサルクリームは「W/O型」となっています。

ネリゾナクリームとネリゾナユニバーサルクリームの違いと一般名処方の注意点
以前の記事で、「一般名処方のトリアムシノロンアセトニド軟膏はケナログではない」ということを話題にしましたが、今回はネリゾナのクリーム製剤にあたる一般名処方である「ジフルコルトロン吉草酸エステルクリーム」に関して注意が必要なことと、ネリゾナク...

③ヘパリン類似物質外用スプレー

ヘパリン類似物質外用スプレーとヘパリン類似物質外用泡状スプレーの2つの製剤が該当します。

あまり認知されていませんが泡状スプレーの一般名も泡でない通常のスプレーも同じ一般名となっています。

これに関しては前述のものとは異なり、一般名で処方がきた際に、わざわざ泡状を調剤するのはひねくれているので、通常のスプレーを調剤する対応でよいかと思います。

なお、一般名処方で、「泡状」を処方したい意図がある医師は、ヘパリン類似物質外用スプレーの一般名で、コメントとして「泡」と処方されるケースがあります。

また、2018年9月に発売となる「ヒルドイドフォーム」は1本100gではなく「92g」となっており、一般名処方で「ヘパリン類似物質外用スプレー 92g」のような用量の場合は「ヒルドイドフォーム」の処方を意図したものとなるかと思います。

類似一般名で異なる製剤

類似一般名(成分は同一)で異なる製剤の品目は入力間違えや取り違え、勘違いしてジェネリック変更しないように十分注意が必要です。

特にレセコンによっては、入力でジェネリック拡張検索すると代替候補としてあがってしまうため、この点も注意が必要です。

なお、このうちオキシコンチンとバルプロ酸Naに関しては前述の「同じ一般名で異なる製剤」にも該当するので特に注意が必要です。

①「オキシコドン徐放錠」と「オキシコドン錠」

・オキシコドン徐放錠(オキシコンチン錠、オキシコドン徐放錠「第一三共」/オキシコンチンTR錠):5mg/10mg/20mg/40mg
・オキシコドン錠(オキシコドン錠「第一三共」):2.5m/5mg/10mg/20mg

麻薬にもかかわらず、過誤を誘発する最悪といってもよい名称となっています。

徐放でないオキシコドン錠は「オキノーム散」のジェネリックとなっています。

②「バルプロ酸Na徐放錠」と「バルプロ酸Na錠」

・バルプロ酸Na徐放錠(デパケンR錠、バルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」100mg/200mg  セレニカR:200mg/400mg)
・バルプロ酸Na錠(デパケン錠、バルプロ酸Na錠「TCK」):100mg/200mg

③「サラゾスルファピリジン腸溶錠」と「サラゾスルファピリジン錠」

・サラゾスルファピリジン腸溶錠(アザルフィジンEN、サラゾスルファピリジン腸溶錠「日医工」:250mg/500mg
・サラゾスルファピリジン錠(サラゾピリン、サラゾスルファピリジン錠「日医工」:500mg

処方が多いのはアザルフィジンENなど「サラゾスルファピリジン腸溶錠」であり関節リウマチが効能となります。

腸溶錠でないサラゾスルファピリジン錠は潰瘍性大腸炎などが効能であり効能も異なるため注意が必要です。

特にジェネリック製剤では「腸溶錠」の文字しか違わないため、このことをよく認識しておく必要があります。

④「テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続)」と 「テオフィリン徐放錠(24時間持続)」

・テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続):テオドール、テオフィリン徐放錠「サワイ」
・テオフィリン徐放錠(24時間持続):ユニフィルLA、ユニコン、テオフィリン徐放U錠「トーワ」

ユニフィル錠をジェネリック変更しようとして、誤って「テオフィリン徐放錠「サワイ」などに変更してしまうミスが想定されます。

⑤「ニフェジピン徐放錠(12時間持続)」と「ニフェジピン徐放錠(24時間持続)」

・「ニフェジピン徐放錠(12時間持続)」:アダラートL
・「ニフェジピン徐放錠(24時間持続)」:アダラートCR

服薬指導の考え方・教育過誤対策
スポンサーリンク
Suzukiをフォローする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
関連記事
薬局薬剤師ブログ 服薬指導の覚書

コメント

タイトルとURLをコピーしました