モビコールの服薬指導

モビコールの服薬指導
今回は2018年11月発売の慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)に使用可能な国内初のポリエチレングリコール製剤であるモビコール配合内用剤(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化カリウム)の服薬指導をまとめました。

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モビコール配合内用剤の特徴

慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)に使用可能な国内初のポリエチレングリコール製剤であり、小児(2 歳以上) 及び成人において使用可能です。

本品 1 包あたりをコップ 1/3 程度(約 60mL)の水に溶解して服用します。

主成分のポリエチレングリコールの浸透圧効果により、消化管内に水分を保持することで、用量依存的に便の排出を促進します。

なお、腸内の電解質バランスを維持し、便中の浸透圧を適正なレベルに保持するため、本剤には塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び塩化カリウムが添加されています。

治療の位置づけ

海外のガイドラインでは、英国の NICE ガイドライン(2010 年)に小児便秘症に対してポリエチレングリコール製剤をファーストラインとして使用することが記載されており、北米小児栄養消化器肝臓学会及び欧州小児栄養消化器肝臓学会のガイドライン(2014 年)でも、小児便秘症治療にポリエチレングリコール製剤を用いることが推奨されているようです。

成人に関しても、世界消化器病学会(WGO)のガイドライン(2010 年)及び米国消化器病学会(AGA)のガイドライン(2013 年)において、ポリエチレングリコール製剤が推奨されています。

本邦では、小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(2013 年)及び慢性便秘症診療ガイドライン(2017 年)に、ポリエチレングリコール製剤の記載があるものの、慢性便秘症に対する保険適応はなく開発が待望されていました。

モビコール配合内用剤(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化カリウム)の概要

服薬指導難度

効能

慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

包装・規格

100包

用法・用量

本剤は、水で溶解して経口投与する。
通 常、 2 歳 以 上 7 歳 未 満 の 幼 児 に は 初 回 用 量 と し て1 回 1 包を 1 日 1 回経口投与する。
以降、症状に応じて適 宜 増 減 し、 1 日 1 ~ 3 回 経 口 投 与、 最 大 投 与 量 は1 日量として 4 包まで( 1 回量として 2 包まで)とする。
ただし、増量は 2 日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1 日量として 1 包までとする。

通 常、 7 歳 以 上12歳 未 満 の 小 児 に は 初 回 用 量 と し て1 回 2 包を 1 日 1 回経口投与する。
以降、症状に応じて適 宜 増 減 し、 1 日 1 ~ 3 回 経 口 投 与、 最 大 投 与 量 は1 日量として 4 包まで( 1 回量として 2 包まで)とする。
ただし、増量は 2 日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1 日量として 1 包までとする。

通常、成人及び12歳以上の小児には初回用量として1 回 2 包を 1 日 1 回経口投与する。
以降、症状に応じて適 宜 増 減 し、 1 日 1 ~ 3 回 経 口 投 与、 最 大 投 与 量 は1 日量として 6 包まで( 1 回量として 4 包まで)とする。

ただし、増量は 2 日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1 日量として 2 包までとする。

〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
本剤投与中は腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので、症状に応じて減量、休薬又は中止を考慮し、本剤を漫然と継続投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。

名前の由来

名称の由来はありません。

指導せん

「モビコール配合内用剤を服用される方へ」という製剤にも付いてくる1枚のタイプの指導せんが有用です。

EAファーマの製薬会社のホームページ上からも印刷可能です。

1 包あたりコップ1/3程度(約60mL)の水に溶解し服用することや水以外のりんごジュースなどに溶かして服用することもできるなど記載されています。

なお、「モビコール配合内用剤を服用される方へ お薬を上手に飲むために」という指導冊子も存在しますが、服薬指導に必要な内容の部分は同じ記載です。

モビコールの作用機序に関してはわかりやすく記載しているので、薬の作用機序を説明したい場合には有用かと思います。

注意点

指導せんには参考として増量、減量の目安が記載がされているため、自己判断で増減されてしまうことが危惧されます。

一応、小さい文字で「医師へ確認した上で服用量を増減するようにしてください」と記載があるものの、見落としがちなので、この部分を忘れずに伝える必要があります。

モビコールの服薬指導で確認すること

①腸疾患の有無【禁忌】

「重症の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、中毒性巨大結腸症等)が確認されている患者又はその疑いがある患者」は病態を悪化させるおそれがあり、禁忌となるため確認します。

重症の炎症性腸疾患の解釈

添付文書の記載では、潰瘍性大腸炎やクローン病であれば程度に関わらず「重症の炎症性腸疾患」に該当するのか、それとも、潰瘍性大腸炎やクローン病の個々の病気のなかでの程度が「重症」である場合に禁忌に該当するのか判断がつきません。

製薬会社に確認したところ、潰瘍性大腸炎やクローン病の個々の病気のなかでの程度が「重症」である場合に禁忌に該当する、つまり重症でない潰瘍性大腸炎やクローン病などは禁忌ではないとのことでした。

なお、重症かどうかは医師の判断となります。

薬剤師の対応

腸疾患の有無を確認し、潰瘍性大腸炎、クローン病などがある場合には、重症度を推察したうえで疑義照会します。

潰瘍性大腸炎、クローン病などの薬の処方医とモビコールの処方医が同じ場合は疑義照会難度は簡単ですが、処方医が異なる場合は難しくなります。

モビコール処方医に疑義照会するか、潰瘍性大腸炎やクローン病などの主治医に確認するかの2択になるかと思います。

モビコール処方医に疑義照会する例文

今回、モビコールをご処方頂いてますが、この患者は潰瘍性大腸炎で治療されていて、モビコールは潰瘍性大腸炎が重症である場合は禁忌に該当してしまうため確認をと思いまして。

この患者が重症かはわからないのですが、公費助成対象であるようなので、重症の可能もあるかと思われます。

潰瘍性大腸炎やクローン病などの主治医に確認する例文

潰瘍性大腸炎でそちらにおかかりの〇〇さんに関してご確認頂きたいことがございまして。

本日、内科で便秘の薬であるモビコールという重症の潰瘍性大腸炎では使えない薬剤が処方されました。

そのため、潰瘍性大腸炎が重症であれば、別の便秘薬に変えるよう内科に依頼しようかと考えているので、この方の潰瘍性大腸炎が重症かどうか教えて頂けますでしょうか?

重症度の推察

重症かどうかは医師の判断になりますが、医療費助成の対象となっているかなどである程度推察できます。

助成対象外であれば軽症の可能性が高いかと思います。ただし、処方箋上は公費になっていないが、申請中という場合もあるかと思うのでこの場合も想定して聴取する必要があります。

また、免疫抑制剤や生物学的製剤の使用などからも重症度が推察できるかと思います。

潰瘍性大腸炎の重症度分類

潰瘍性大腸炎では、排便回数や顕血便、発熱、頻脈、貧血、赤沈の程度より、重症度が「重症」、「中等症」、「軽症」の3つに分けられ、医療費助成の対象となるのは「中等症」以上となります。

クローン病の重症度分類

クローン病 IOIBDスコア
1項目1点とし、2点以上を医療費助成の対象とする。

(1)腹痛
(2)1日6回以上の下痢あるいは粘血便
(3)肛門部病変
(4)瘻孔
(5)その他の合併症(ぶどう膜炎、虹彩炎、口内炎、関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、深部静脈血栓症等)
(6)腹部腫瘤
(7)体重減少
(8) 38℃以上の発熱
(9)腹部圧痛
(10)ヘモグロビン10g/dL以下

②年齢の確認【用法・用量】

2歳以上が対象となるので年齢を確認します。

2歳未満で処方された場合は疑義照会対象となります。

<小児等への投与>
低出生体重児、新生児、乳児、 2 歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

③用法・用量の確認【用法・用量】

用法・用量はかなり複雑であり、年齢により「初回用量」、「最大1回投与量」、「最大1日投与量」、「増量幅」の4項目が異なるため監査の際に注意が必要です。

添付文書上の用法・用量から逸脱している場合は疑義照会対象となります。

モビコールの服薬指導で伝えること

①服用方法の説明【適用上の注意】

1 包あたりコップ1/3程度(約60mL)の水に溶解し服用することを説明します。2包の場合は約120mLに溶かします。

<適用上の注意>
⑴調製方法
本品 1 包あたりコップ1/3程度(約60mL)の水に溶解する。溶解後は速やかに服用すること。

⑵保存時
やむを得ず保存する必要がある場合は、冷蔵庫に保存し、できるかぎり速やかに服用すること。

②味についての説明【指導せん】

味に関して製薬会社に確認したところ、少ししょっぱい味とのことでした。

指導せんに記載がありますが、味が飲みづらい場合は水以外の飲料(冷たい飲料やりんごジュースなど)に溶かして服用することも可能であるため説明します。

指導せんにはりんごジュースと記載がありますが、製薬会社に確認したところ、飲み物であればなんでもよいとのことでした。

③増減は医師に相談すること【指導せん】

指導せんには参考として増量、減量の目安が記載がされているため、自己判断で増減されてしまうことが危惧されます。

一応、小さい文字で「医師へ確認した上で服用量を増減するようにしてください」と記載があるものの、見落としがちなので、この部分を忘れずに伝える必要があります。

指導せんに増減の目安がありますが、あくまで目安であるため増減は増減方法を、医師に確認してから行うよう説明します。

④腹痛や下痢の説明【用法及び用量に関連する使用上の注意】

腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので説明します。

指導せんに「腹痛や下痢などの症状があらわれた場合には減量や休薬・中止を考慮する場合がありますので、医師、薬剤師にご相談ください」記載されています。

一方で前述の「医師へ確認した上で服用量を増減するようにしてください」という記載もあるため、それを踏まえると「便の硬さに応じて増減したり、腹痛により減量したりする場合があるので、その際は医師に相談してください」などと話すのが無難かと思います。

とはいえ、個人的には減量に関しては薬剤師側からも説明したほうがよい気がするので、最寄の医療機関であれば、減量に関しては「効きすぎる場合や腹痛が出る場合は減量してよいが、程度がひどい場合や減量しても続く場合は受診するよう説明する」対応で、増量に関しては受診してもらう対応でよいか医師の意向を確認しておくのがよいかもしれません。

〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
本剤投与中は腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので、症状に応じて減量、休薬又は中止を考慮し、本剤を漫然と継続投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。

⑤皮ふのかゆみ、じんま疹、のどのかゆみ、息苦しさ、どうきなどの説明【指導せん】

指導せんに記載があるため、皮ふのかゆみ、じんま疹、のどのかゆみ、息苦しさ、どうきなどあらわれる場合はすぐに医師に連絡し受診するよう説明します。

この記載は重大な副作用のアナフィラキシーの部分からきているようです。

<指導せん>
まれに以下のような症状があらわれます。その場合にはがまんせず服用を中止し、すぐに医師または薬剤師にご連絡ください
・皮ふのかゆみ、じんま疹、のどのかゆみ、息苦しさ、どうき、など

⑥モビコールを溶かした分の水は水分補給とならないことの説明【指導せん】

これは添付文書には記載がなく、指導せんのみに記載されているため注意が必要な内容です。

モビコールは水に溶いて服用しますが、モビコールを溶いた分の水は吸収されずに便として排出されるため、モビコールを溶かした分の水は水分補給の水としてカウントしないことを説明します。

なお、製薬会社に確認したところ、モビコールに捕まって便となる水分量は決まっているため、別途水分補給用の水を飲む場合は「間隔をあける必要はない」とのことでした。

<指導せん>
モビコールは水に溶かして服用しますが、この時の水はほとんどが体に吸収されずに便となります。
したがって、モビコールを溶かす水以外に適切な量の水分補給をするよう心がけてください

モビコールの服薬指導薬歴例

S)便秘
O)腸疾患なし
A)
服用方法・味について説明。

便の硬さに応じて増減したり、腹痛により減量したりする場合があるので、その際は医師に相談するよう説明。

皮ふのかゆみ、じんま疹、のどのかゆみ、息苦しさ、どうきなどあらわれる場合はすぐに医師に連絡し受診するよう説明。

モビコールを溶かした分の水は水分補給とならないこと説明。

P)状態確認

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