名前不明の貼付薬がある場合の対応

名前不明
今回は患者の併用薬として名前不明の貼付薬がある場合の対応をまとめました。

名前不明の貼付薬がある場合、多くは消炎鎮痛剤であるNSAIDsの貼付である場合が多いかと思いますが、中にはビソノテープやニュープロパッチなどの例があるため、まず薬効を確認する必要があります。

ここでは消炎鎮痛剤であるNSAIDsの貼り薬であることを聴取した場合の対応をまとめていきたいと思います。

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名前不明の貼り薬がある場合の対応

従来では服薬指導時に併用薬が消炎鎮痛剤の貼り薬であることを確認した際は薬剤の名前が不明であっても特に相互作用などはなしと判断して併用可能としていたかと思います。

ところが、最近ロコアテープという内服さながらの血中濃度を示すNSAID外用剤が発売されたことで従来の対応では相互作用や禁忌を見落としてしまうケースが想定されます。

下記の場合では名前不明の痛み止めの貼り薬がロコアテープではないことを具体的に商品名を患者に伝えて確認する必要があります。

① 潰瘍がある場合

ロコアテープは内服NSAID同様に潰瘍禁忌となります。名前不明の消炎鎮痛剤がロコアテープである場合は使用を中止する必要があります。

例えばネキシウムなどのPPIが処方されて潰瘍であることが聴取できた際に名前不明の貼付剤がある場合はロコアテープでないことを確認する必要があります。

②NSAID内服が処方された場合

ロコアテープの添付文書では「ロコアテープ使用時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には必要最小限の使用にとどめ患者の状態に十分注意すること」と記載があります。

そのため、名前不明の貼付剤がロコアテープであった場合はロコアテープの貼付枚数を確認して、内服NSAIDsの投与量・投与日数などを踏まえて疑義照会を検討します。

なお、内服NSAIDsはロコアテープの適応をカバーしていますが、ロコアテープは内服NSAIDsの適応(頭痛、解熱歯痛など)をカバーしていないため個人的にはこの疑義照会では内服NSAIDを削除してもらうよりも、ロコアテープを休止してもらう方向で話したほうがよいかと思います。

③ニューキノロンが処方された場合

ロコアテープは エノキサシン水和物、 ロメバクト・バレオン(ロメフロキサシン)、バクシダール(ノルフロキサシン)、スオード(プルリフロキサシン)と併用禁忌となります。

他のニューキノロンに関しては【重要な基本的注意】には「他のニューキノロンとの併用は避けることが望ましい」とされており併用注意となります。

名前不明の貼付剤がロコアテープであった場合は併用の可否を疑義照会します。対応はキノロンから他の抗生剤に変更になるか、ロコアテープが休止となるか、変更なしで併用となるかのいずれかかと思います。

なお、ロコアテープ休止で休止の間にロコアテープの代わりに内服NSAIDを追加する場合はフェニル酢酸系又はプロピオン酸系は避けて(ボルタレン、ロキソニン、ブルフェンなどは避ける)ハイペンやセレコックスなどの併用注意にキノロンのない薬剤を提案するほうがよいかと思います。

④リチウム・ワーファリン・メトトレキサートが処方された場合【併用注意】

これらの薬剤の作用が増強され副作用がでる可能性があります。

ロコアテープの併用の有無に関わらず、いずれにせよ上記の薬剤の副作用は初回服薬指導時に説明しなければならないため、説明する内容は変わりませんが、ロコアテープ併用により多少副作用が出やすくなる場合があることは説明したほうがよいでしょう。

そもそも併用薬で貼付剤を使っているかどうかの確認方法(2016.12追記)

そもそも貼付剤自体を使っているかどうかの確認方法ですが、貼付剤は点眼薬などと同様に、単に「他に使っている薬ないですか」と併用薬を確認しただけでは患者が申し出ない可能性が高い薬剤です。

そのため、少なくとも上記のようにロコアテープと相互作用のある薬剤(特に併用禁忌の薬剤)などでの服薬指導では通常の併用確認に加えて「貼り薬で何か使っている薬ありますか?」と具体的に聴取する必要があります。

名前不明の貼付薬がロコアテープではないことの確認方法(2016.10追記)

名前不明の貼付薬がロコアテープでないことを確認する方法として、最も確実なのはロコアテープの現物を見せることかと思います。そのため、店舗に在庫がある場合はロコアテープの現物をみせて併用している貼付薬がロコアテープではないことを確認します。

店舗に在庫がない場合は、製薬会社から製剤写真を印刷し見せることで同様の対応ができるかと思います。なお、ロコアテープのパッケージはオレンジ色で表面には赤字で大きく「1日最大2枚まで」と記載されており、比較的印象に残りやすいデザインかと思います。

服薬指導の考え方・教育製剤過誤対策
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