2024年3月分 DSUのまとめ+効能追加情報

2024年3月分 DSUのまとめ+効能追加情報

2024年3月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はリベルサルで奇数調剤が可能となったことやゼビアックスと過酸化ベンゾイルとの重ね塗りによる変色、ジャディアンスの効能追加などが重要な内容となります。

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①VEGF 又は VEGF 受容体の阻害作用を有する薬剤(オフェブ、インライタ、スーテントなど)

VEGF/VEGFR 阻害剤の重大な副作用に「動脈解離」が追加されました。

もともと動脈解離のリスクがあると知られていたアバスチン(ベバシズマブ)と比較して、動脈解離の発現リスクが同程度以上に高い傾向が認められ、動脈解離が VEGF/VEGFR 阻害剤に共通のリスクであると考えられたことから追加となりました。

<重大な副作用>
動脈解離(頻度不明)
大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある 。

②トピナ(トピラマート)【特定の背景を有する患者に関する注意 妊婦】

「特定の背景を有する患者に関する注意の妊婦の項目」に既に従来より注意喚起されている奇形に関する注意に加えて、出生した児における神経発達症(自閉スペクトラム症、知的発達症、注意欠如・多動症)の発症の可能性について追記されました。

<妊婦>
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

妊娠中に本剤を使用する場合、又は本剤を使用中に妊娠した場合は、本剤投与により出生した児に生じるリスクについて患者に十分説明すること。以下のことが報告されている。

妊娠中に本剤を投与された患者より出生した児は、神経発達症(自閉スペクトラム症、知的発達症、注意欠如・多動症)の発症に関連する可能性があることが、海外で実施された観察研究において報告されている。

また、妊娠する可能性のある女性や妊娠中に使用する場合に出生した児に生じるリスクについて患者に十分説明することも追記されました。

 <生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤投与により出生した児に生じるリスクについて患者に十分説明すること。

薬剤師の対応

従来から行っている薬剤師も多いかと思いますが、今回の改訂で現在妊娠していなくとも妊娠する可能性のある女性に対しても説明する旨が追加されたので、該当する年齢の患者に対しては「妊娠する場合には医師により薬剤を変更する場合もあるので、妊娠を希望する場合には事前に医師に申し出ること」を説明しておくのがよいかと思います。

③イトラコナゾール【重大な副作用】

重大な副作用に偽アルドステロン症が追加となりました。

<重大な副作用>
偽アルドステロン症(頻度不明)
低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等があらわれることがある。

④コララン錠(イバブラジン)【生殖能を有する者】

「生殖能を有する者」に記載されている避妊が必要な期間が従来では「本剤投与中及び投与終了後一定期間」といった期間の目安が不明瞭だった記載が、下記のように具体的な期間が明記されました。

<生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後 3日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

⑤リベルサス、オゼンピック

「重要な基本的注意」に下記3点が追記されました。

<重要な基本的注意>
・急激な血糖コントロールの改善に伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪があらわれることがあるので、注意すること。

・下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。

・本剤はセマグルチド(遺伝子組換え)を含有しているため、ウゴービ等他のセマグルチド(遺伝子組換)含有製剤と併用しないこと。

 リベルサス錠で奇数調剤が可能となった【適用上の注意】

リベルサス錠では適用上の注意の PTP シートのミシン目以外の切り離しの注意に「やむを得ず切り離す場合には、PTP シートのポケット部分を破損しないようにすること。」が追記されました。

製薬会社に確認したところ、奇数処方の際の切り離しはこのやむを得ない場合に該当するため今後は奇数処方でも調剤可能となります。ただし、患者側が切るのは依然として不可であるため、従来通り患者にはミシン目以外では切らないように説明する必要があり、また調剤時に切り離したシートから服用するように伝えるようにとの見解でした。

<適用上の注意>
本剤は吸湿性が強く、PTP シートで防湿しているため、原則としてミシン目以外の場所で切り離さないこと。やむを得ず切り離す場合には、PTP シートのポケット部分を破損しないようにすること。

⑥ゼビアックスローション/油性クリーム【薬剤使用時の注意】

「薬剤使用時の注意」に過酸化ベンゾイル製剤(ベピオ、エピデュオゲルなど)との重ね塗りにより変色する注意が追記されました。ちなみに何年か前に日経DIクイズにも載っていた内容です。

<薬剤使用時の注意>
本剤は過酸化ベンゾイル製剤と重ねて塗布すると黄色に変色することがあるため、皮膚や衣服等への着色に注意すること。

添付文書の文言だと皮膚や衣服等への着色に注意すれば同時使用OKという印象も受けますが、改訂の知らせやインタビューフォームには併用する場合は混合又は重ね塗りを避け、夜に過酸化ベンゾイル製剤、朝にゼビアックスと使い分けるなど、洗顔により塗布していた製剤を除去後にもう一方の製剤を塗布するよう記載されているため同時使用の処方が出たら疑義照会したほうがよいかと思います。

なお、ベピオ側の添付文書には今のところ記載がありません。

<インタビューフォーム>
本剤の製造販売承認後に塗布部位が黄色に変色したとの副作用報告が集積され、いずれの症例も
過酸化ベンゾイル製剤が併用されていた。また、社内試験においても本剤と過酸化ベンゾイル製剤を混合すると黄色に変色することが確認されている。

副作用報告は過酸化ベンゾイル製剤との重ね塗りによる本剤の変色によるものと考えられたため、皮膚や衣服等への着色について注意喚起した。

本剤と過酸化ベンゾイル製剤を併用する場合は、混合又は重ね塗りを避け、夜に過酸化ベンゾイル製剤、朝に本剤と使い分けるなど塗布していた製剤を洗顔で除去後にもう一方の製剤を塗布すること。

⑦ダラシンカプセル(クリンダマイシン)【適用上の注意】

従来から「適用上の注意」に食道に停留、崩壊すると、食道潰瘍を起こすことがある旨が記載されていましたが、今回の改訂で「多めの水で服用」、「服用後30分は横にならない」などの具体的注意が追加となりました。

今後服薬指導の際には患者に対して伝える必要があります。

<適用上の注意 薬剤交付時の注意>
多め(コップ一杯程度)の水又は牛乳で服用させ、就寝直前の服用を避け、服用後30分は横にならないよう指導すること。食道に停留し、崩壊すると、まれに食道炎や食道潰瘍を起こすことがある

⑧エンレスト錠(サクビトリルバルサルタン)【小児用量追加・生殖能を有する者】

慢性心不全の効能で「小児用量」が追加となりました。また、これに伴い「エンレスト粒状錠小児用」の剤形が追加となりました。

なお、この粒状錠はPTPシートの中にカプセル型容器が入っており、服用時にカプセルを開けてその中に入っている小さな粒状錠を全量服用します。(12.5mgには4錠、31.25mgには10錠入っています)

誤ってカプセル型容器ごと服用しないように注意が必要とされています。

まだ処方単位は決まっていないようですが、「錠」ではないはずなので「カプセル」か「個」あたりになるのかなと個人的には思います。

また、「生殖能を有する者」に記載されている避妊が必要な期間が従来では「本剤投与中及び投与終了後一定期間」といった期間の目安が不明瞭だった記載が、「本剤投与中及び最終投与後1週間」という具体的な期間が明記されました。

⑨メトジェクト皮下注(メトトレキサート)【剤形追加】

メトジェクト皮下注の剤形に従来の「シリンジ」に加え、新たに「ペン」の剤形が追加されました。

⑩ジャディアンス【効能追加】

「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」の効能が追加となりました。これにより、ジャディアンスの効能は2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病の3種類となりました。

指導冊子も改訂されたので取り寄せておくことをおすすめします。特に脱水予防のための水分摂取の項目内容が効能により異なるので、誤った説明をしないように注意が必要です。

⑪ゾコーバ錠【通常承認】

これまでの緊急承認扱いでしたが、通常承認されました。これにより病院側での文書による患者からの同意取得の手続きが不要となりました。

DSU等の解説
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