コンサータの服薬指導

コンサータの服薬指導
今回はコンサータの服薬指導をまとめました。コンサータは調剤する際に薬局の登録(調剤責任者によるEラーニングが必要)・処方医の登録・患者登録があるかなどの確認が必要な薬剤です。

現在は薬局登録はコンサータとビバンセがセットになっており、片方の薬剤を調剤したい場合でも両薬剤のEラーニングが必要となっています。 また、調剤責任者以外が扱う場合には注意点を周知しておく必要があり、この点が管理者にとってはネックになってくる部分かと思います。

調剤しないほうの薬剤は記憶に残りにくいので、個人的には薬局登録を薬剤ごとに分けて、実際に調剤が必要になった場合に薬局登録( Eラーニング ) が必要な制度にするべきかと思います。

ちなみに私の薬局ではビバンセではなく、コンサータの調剤をするために薬局登録をしており、ビバンセは従業員伝達用として別記事でまとめています。従業員には「もし、処方がきたらブログのとおりに服薬指導をして」と伝えています。

ビバンセの服薬指導
今回はビバンセの服薬指導をまとめました。ビバンセはコンサータ同様に調剤する際に薬局の登録(調剤責任者によるEラーニングが必要)・処方医の登録・患者登録があるかなどの確認が必要な薬剤です。現在は薬局登録はコンサータとビバンセがセットになっており、片方の薬剤を調剤したい場合でも両薬剤のEラーニングが必要となっています。
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コンサータの概要

服薬指導難度

効能

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

用法・用量

<18歳未満の患者>
通常、18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。
なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。

<18歳以上の患者>
通常、18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。
なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。

名前の由来

特にありません

指導せん

「コンサータ錠を服用される方(18歳未満)とご家族の方へ」と「コンサータ錠を服用される方(18歳以上)の方へ」の年齢別の二種類の指導用冊子が存在しています。

禁忌及び慎重投与の項目をもれなく確認するためには有用ですが、後述の「服薬指導の際に伝えること」の内容は記載がない部分(特に小児用の冊子)があり、この点で「患者向け医薬品ガイド」に劣りますが、「その他の副作用」もある程度記載がある点は優れています。

そのため併せて患者に渡しておくとよいかと思います。

コンサータの調剤前に確認すること

薬局の登録(調剤責任者によるEラーニングが必要)・患者登録・ 処方医の登録があるかなど、そもそも調剤ができるのかを確認をします。

この内容は、かなり複雑なので必ず製薬会社の資料を参照してください。

①薬局の登録があるかの確認(必須)

調剤する際に薬局の登録(調剤責任者によるEラーニングが必要)のため、管理者に薬局の登録があるかを確認します。

登録がない場合は調剤できません。登録は薬剤師・所属施設情報等の提出やEラーニングが必要であり、これらすべての手続きが完了してから、登録完了までは3営業日を予定とされているようです(遅れる場合もある)。そのため、当日中の対応はできず、 Eラーニングなどの時間も踏まえると1週間くらいはかかるかも、という認識でいたほうがよいかと思います。

もし、患者より近日中に薬が必要という希望であれば、ADHD適正流通管理システム事務局にどのくらいの時間で登録できるかを確認のうえ、可否を判断するのがよいかと思います。

②患者の登録(患者カード・身分証)の確認(毎回必須)

患者登録の確認が必要なため、毎回、患者カードと身分証患者本人が持参している必要があるので確認します。

間違いやすい点としては、身分証は運転免許証であれば1つでOKですが、保険証では1つでは身分証とはなりません。

なお、コンサータは患者の登録については一部で経過措置期間があります。2019年11月以前の服用歴(患者申し出では×、疑義照会や薬手帳での確認)がある場合でかつ、医師から患者カードを発行されていない患者の場合は2020年12月31日までは、従来のように医師登録の確認で調剤可能です。

ただし、患者カードが発行された場合は、その時点で経過措置がなくなるので、必ず患者カードと身分証が必要となります。

③処方医師の登録の確認(毎回必須)

ADHD適正流通管理システムにログインし、医師登録の確認と今回処方内容の確認・登録をし、適正利用であることを確認します。

コンサータの服薬指導で確認すること

調剤するのにEラーニングが必要とされる特殊な薬剤であるため、すべての禁忌及び慎重投与項目に該当しないことを確認したほうがよいかと思います。

項目が多岐にわたるため、この確認の際は指導用冊子もしくは患者向医薬品ガイドを用いて患者に禁忌及び慎重投与の部分の記載項目を見せて「どれも該当しないですか」などと確認するのが現実的かと思います。 

①すべての禁忌項目の有無【禁忌】

1.過度の不安、緊張、興奮性のある患者
2.緑内障のある患者
3.甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすことがある。]
4.不整頻拍、狭心症のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
5.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
6.運動性チックのある患者、Tourette症候群又はその既往歴・家族歴のある患者[症状を悪化又は誘発させることがある。]
7.重症うつ病の患者[抑うつ症状が悪化するおそれがある。]
8.褐色細胞腫のある患者[血圧を上昇させるおそれがある。]
9.モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者

②すべての慎重投与項目の有無【慎重投与】

1.てんかん又はその既往歴のある患者
2.高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者
3.脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者
4.精神系疾患(統合失調症、精神病性障害、双極性障害)のある患者
5.薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者
6.心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者
7.高度な消化管狭窄のある患者

③年齢の確認【効能又は効果に関連する使用上の注意】

「6歳未満の幼児における有効性及び安全性は確立していない」とされているため、6歳以上であるかどうかを確認します。

④用法の確認

用法は1日1回朝であるため、昼や夜の処方できた場合は疑義照会対象となります。

コンサータは中枢神経刺激作用を有し、その作用は服用後12時間持続するため、就寝時間等を考慮し午後の服用は避けること、とされています。

⑤心臓の異常の有無【重要な基本的注意】

心臓に異常がある可能性がある場合は投与前に心電図検査が必要なため心臓の異常の有無を聴取します。なお、不整頻拍、狭心症は禁忌となります。

患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。

コンサータの服薬指導で伝えること

指導冊子だけでは不足する内容があります。重大な副作用とその他の副作用は指導要冊子で説明し、他は患者向け医薬品ガイド(必要部分だけ切り取り薬情に貼るなど)を使って説明するのがよいかと思います。

患者向医薬品ガイドに記載のある項目は「☆」印をつけてます。

①すべての重大な副作用☆(指導用冊子使用)

Eラーニングが必要な特殊な薬剤であるため、すべての重大な副作用を伝える対応が無難かと思います。

指導用冊子(もしくは患者向医薬品ガイド)を用いてすべての重大な副作用を説明します。

1.剥脱性皮膚炎
2.狭心症
3.悪性症候群
4.脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)
5.肝不全、肝機能障害

②依存性の説明【重要な基本的注意】

薬をたくさん飲みたいとか、薬がないといられない気持ちになるなど依存の症状があらわれる場合はすぐに医師に連絡するように説明します。

本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ、依存性等を含む本剤のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用法について指導すること。

③体重増加の抑制、成長遅延の説明【重要な基本的注意】

小児に対しては身長や体重の増加が思わしくない時は医師に相談するよう説明します。また、成人に対しては体重減少が著しい場合には医師に相談するよう説明します。

小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない時は投与を中断すること。

また、成人においても体重減少が報告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切な処置を行うこと。

④心拍数(脈拍数)及び血圧の測定【重要な基本的注意】

実際は病院で測定する場合が多いかと思いますが、念のため患者にも心拍数(脈拍数)及び血圧に異常が見られる場合には病院に連絡するように説明するのが良いかと思います。

心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与期間中は、定期的に心拍数(脈拍数)及び血圧を測定すること。

⑤視覚異常の説明【重要な基本的注意】

ものがだぶって見える、眼がかすれるなどが出たら受診するよう説明します。

まれに視覚障害の症状(調節障害、霧視)が報告されている。視覚障害が認められた場合には、眼の検査を実施し、必要に応じて投与を中断又は中止すること。

⑥運転等避けることの説明【重要な基本的注意】

めまい、眠気、視覚障害等が発現するおそれがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作は避けるよう説明します。

⑦攻撃性の注意【重要な基本的注意】

攻撃性の発現や悪化が現れる場合があるため、攻撃性が現れたり、悪化する場合は医師に連絡するよう説明します。

攻撃性はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性の発現や悪化が報告されている。投与中は、攻撃的行動の発現又は悪化について観察すること。

⑧幻覚などの注意【重要な基本的注意】

患者向医薬品ガイドには記載がないため、注意が必要な項目となります。

幻覚や異常に明るく興奮するなど認められる場合は医師に連絡するよう説明するのがよいかと思います。

通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往がない患者において、幻覚等の精神病性又は躁病の症状が報告されている。
このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。

⑨噛まないことの説明【適用上の注意】

徐放性製剤であるため、噛んだり、割ったりしないで水で服用するよう指導します。

患者向け医薬品ガイドには「●どのように飲むか? 」の部分に記載されているので見落としやすい部分です。

⑩ゴーストピルの説明【適用上の注意】

患者向医薬品ガイドに記載がないため注意が必要です。ゴーストピルが排泄される場合があることを説明します。

本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること。

⑪不要となった際は返却すること

添付文書には記載がありませんが指導用冊子などには「服用しなくなったお薬が残った場合には医療機関等に返却してください」と記載されています。

患者向け医薬品ガイドには最後のページに記載があります。

⑫その他の副作用の説明(指導用冊子使用)

この内容は患者向医薬品ガイドには記載がなく、指導用冊子に記載があります。

食欲低下、寝付きが悪い、チック、頭痛、夜中に眼が覚める、腹痛、悪心など記載されているため、これをみせながら説明するのがよいかと思います。

コンサータの服薬指導薬歴例

S)ADHD
O)患者向医薬品ガイドを用いてすべての禁忌及び慎重投与に該当しないことを確認した。心臓異常なし

A)患者向医薬品ガイドを用いてすべての重大な副作用を説明した。
患者向医薬品ガイドを用いて依存性、身長や体重の増加が思わしくない場合、心拍数や血圧の異常、視覚異常、攻撃性、幻覚などが出る場合は医師に連絡する、してよう説明。

食欲低下、寝付きが悪い、チック、頭痛、腹痛、悪心など出る場合は医師に連絡するよう指導用冊子を用いて説明した。

運転等避けること説明。噛まないこと、ゴーストピル、不要となった際は返却すること説明。
P)副作用確認

薬剤別服薬指導
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