禁忌がある疾患に対する+αの指導

禁忌の指導
今回は服薬指導時において禁忌が多い疾患であることを聴取した際の指導についてまとめました。

通常、服薬指導では処方された薬に対して、患者が禁忌に該当しないことや重要な基本的注意等を説明しますが、今回取り上げるのは潰瘍や前立腺肥大症など禁忌の多い疾患の場合に行う指導となります。

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禁忌がある疾患に対する+αの指導

わかりにくいので例を挙げて説明します。

例えばネキシウムが処方された患者に対する服薬指導で、潰瘍であることを聴取した際に「潰瘍がある場合は使えない薬もあるので他院受診時や市販薬を買う際は自分が潰瘍であることを伝えること」といった今後に対する注意を促す指導です。

この指導を行わないことで他院で禁忌の薬剤が処方されるなど患者が不利益を被ったとしても、禁忌を確認しなかった側の医師・薬剤師の責任であるため、責任を問われる事はないでしょう。

しかし、この指導をおこなうことで他院・他薬剤師・市販薬購入時の禁忌の見落としをある程度防ぐことができるかと考えています。私は前立腺肥大症・緑内障・潰瘍・喘息などの疾患でこういった指導を行っています。

以下で具体的に説明します。

①前立腺肥大症

多くの場合、抗コリン作用を持つ薬剤が禁忌となります。アタラックス等を除く第一世代の抗ヒスタミンや第二世代の抗ヒスタミンのうち「ゼスラン」は禁忌となります。また、ブスコパン、スピリーバ吸入等の薬剤も禁忌となります。

また、抗コリン作用以外の薬剤でもスピロペントなどが禁忌となります。

添付文書の表記により単に前立腺肥大症であれば禁忌であるものと薬剤によっては尿閉のある患者など限定された記載のものもあります。

患者に対しては「前立腺肥大症の場合だと風邪薬や鼻の薬など使えない薬が多いので他院受診時や市販薬購入の際は自身が前立腺肥大症であることを伝えること」等と説明します。

②緑内障

前立腺肥大症同様に多くの場合、抗コリン作用を持つ薬剤が禁忌となります。アタラックス等を除く第一世代の抗ヒスタミンや第二世代の抗ヒスタミンのうち「ゼスラン」・ブスコパン、スピリーバなどの吸入は禁忌となります。

なお、前立腺肥大症と異なり多くの睡眠薬・抗不安薬も禁忌となります(急性狭隅角緑内障の患者)。

添付文書の表記により単に緑内障であれば禁忌である(実際は閉塞隅角緑内障でなければ投与可能な場合が多い)ものと閉塞隅角緑内障の場合に禁忌となるもの、中にはサインバルタのようにコントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者など限定された記載のものもあります。

患者に対しては「緑内障の場合だと風邪薬や鼻の薬など使えない薬が多いので他院受診時や市販薬購入の際は自身が緑内障であることを伝えること」等と説明します。

③喘息

選択性の低いβ遮断薬(点眼も含む)・スルガムなどの一部のNSAIDsやベサコリン等の薬剤も禁忌となります。多くの場合は喘息の既往も禁忌となるので注意が必要です。

患者に対しては「目薬や血圧の薬などの一部に使えない薬があるので他院受診時は自身が喘息であることを伝えること」等と説明します。また、「以前喘息であった場合でも使えない薬があるので、既往でも伝えること」もあわせて指導する必要があります。

④潰瘍

NSAIDsやカロナール等が禁忌となります。また見落としがちですがベサコリン等の薬剤も禁忌となります。

患者に対しては「風邪薬や解熱鎮痛薬で使えない薬が多いので他院受診時や市販薬購入の際は自身が潰瘍であることを伝えること」等と説明します。

⑤てんかん

ザジテンやリーマスなど比較的処方頻度が高い薬剤のほかに、エボザックやサラジェンなどのシェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の薬剤やベサコリンなどの薬剤も禁忌となります。

また、ドラマドール製剤も「治療により十分な管理がされていないてんかん患者」が禁忌となります。

このなかでは、ザジテンが既往も含めててんかんが禁忌となることと、小児でもよく処方されること、市販薬にも含まれる成分であることなどから最も注意が必要かと思います。

患者に対しては「てんかんである場合、一部使えない薬剤があるため、他院受診時や市販薬購入の際は、自身がてんかんであることを伝えること」等と説明します。

また、「以前てんかんであった場合でも使えない薬があるので、既往となっても伝えること」もあわせて指導する必要があります。

服薬指導の考え方・教育
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