今回はイナビル・リレンザにおける乳製品に対して過敏症がある患者に対しての対応をまとめました。
イナビル・リレンザは平成27年の8月頃に慎重投与及び重要な基本的注意の項目が改訂となっています。改訂時に一度記事に取り上げましたが、現在,インフルエンザシーズンとなってきたため、これらの薬品を調剤する機会も増えているため再度薬剤師としての対応を考えてみました。
添付文書改訂の内容
イナビル・リレンザともに平成27年の8月頃に慎重投与及び重要な基本的注意の項目が改訂となりました。改訂により追加された内容は以下の通りです。
慎重投与
「乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者」
重要な基本的注意
「夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があるので投与に際しては十分に注意すること」
薬剤師としての対応
薬剤師としての対応としては患者に対して乳製品アレルギーの有無を聴取することが必要となります。聴取の結果から以下の3通りに分けて対応を考えました。
① 乳製品アレルギーが無しの場合
服薬指導の際に患者に対して乳製品アレルギーが無いことが確認できた場合は薬歴に乳製品アレルギー無しと書き残すことが必要となります。
②乳製品アレルギー有りで過去に使用経験がない場合
この場合は疑義照会をして代替としてタミフルを提案するか、疑義照会はせずに患者に対して注意を促した上で使ってもらうかのどちらかの対応となるかと思います。
なお、タミフルは腎機能に応じて減量が必要な薬剤のため、代替としてタミフルを提案する場合は、あらかじめ腎臓が悪いと言われていないかを患者に確認しておくとよいでしょう。
疑義照会の話し方
疑義照会の際は禁忌ではないことは伝える必要があります。
「禁忌ではないのですが、添付文書に乳製品アレルギーの方でアナフィラキシーを起こしたという報告があり十分に注意すること、と記載されているので念のためご確認をと思いまして。」といったように話をしようかと個人的には考えています。
患者に対しての話し方
疑義照会で変更とならなかった際や疑義照会はせずに患者に対して注意を促す際は「乳製品アレルギーを持つ方の一部にまれに反応してしまうことがあるので、万一吸入後にアレルギー症状や呼吸困難、蕁麻疹など出る際はすぐに受診して下さい」などと説明するとよいかと思います。
③乳製品アレルギー有りで過去に使用経験がある場合
乳製品アレルギーがあるものの、過去にアレルギー症状がなく使用できていることが確認できれば個人的には疑義照会はいらないかと考えています。ただし、その場合でも上述のように患者に対して注意を促すことは必要かと思います。
またこの際に「以前使用したときは乳製品アレルギーに関して確認されなかった」と患者に不信感を与えてしまう懸念があるので、注意を促す際は「最近そういった報告があるので」という一言は添えたほうがよいでしょう。
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