ガスターの服薬指導

ガスターの服薬指導
今回はH2受容体拮抗剤であるガスター(ファモチジン)の服薬指導をまとめました。ガスターはタミフルやバルトレックスなどと同様に腎機能により減量が必要な薬剤であるため、患者に対して腎臓が悪いと言われていないかを聴取する必要のある薬剤です。

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ガスターの概要

服薬指導難度
 

効能及び用法・用量

ガスターの用法・用量は適応とする効能により異なっており2つに分けられています。

胃・十二指腸・吻合部潰瘍や上部消化管出血、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群に対しては1回20mgを 1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)。また、あまり目にする機会はありませんが1回40mgを1日1回就寝前という投与法もあります。

一方、急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善の場合は1回10mgを1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)。または1回20mgを1日1回(就寝前)投与することもできます。

名前の由来

ガスターの名前はGastric Ulcerを治療するなどの意味から命名されています。また、D錠はOrally Disintegrating Tablet(口腔内崩壊錠)を意味しています。

ガスターの服薬指導で確認すること

①併用薬の確認

胃内pHが上昇により吸収が低下する併用薬の有無を確認します。

イトリゾールカプセルやイレッサなどのチロシンキナーゼ阻害薬などの一部の薬剤はガスターによる胃酸分泌抑制により胃内pHが上昇することで吸収が低下することが知られています。

ガスター側の添付文書には併用注意の項目にイトリゾールしか記載がないため、ガスター側の添付文書だけ見ていると見落としてしまうという点に注意が必要です。

②腎障害の確認

ガスターは腎機能に応じて減量が必要な薬剤であるため、患者に対して「腎臓が悪いと言われていないか」を聴取します。

腎臓が悪いと言われている場合は血清クレアチニンの値、身長、体重を聞き取り、年齢を確認してクレアチニンクリアランス(計算サイトを使うと簡単です)を計算し、その結果から下記の減量基準(添付文書より抜粋)をもとに減量します。
ガスターと腎機能

血清クレアチニンの値がわからない場合

問題は患者が腎機能が悪いと言われているものの、血清クレアチニンなどの値が分からない場合でしょう。この場合はプロテカジン(ラフチジン)やPPIなどに代替が可能な場合は疑義照会して変更を相談します。

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は腎排泄性ではなく、腎機能低下例でも減量の必要はないと考えられています。

プロテカジンに関しても主に肝臓で代謝を受け、ほとんどが代謝物として胆汁中へ排泄されるため腎機能低下例でも減量の必要はないと考えられています。ただしプロテカジンは透析の場合は減量することがあるため、透析までいっていないことは確認する必要があります。

なお、H2受容体拮抗剤からPPIへの変更は多くの例で可能と考えられますが、代替がきかない場合、つまりPPIではいけないケースとしてはヘリコバクター・ピロリの除菌判定の尿素呼気試験などを予定している場合(PPIでは結果が偽陰性になる可能性がある)や慢性蕁麻疹に対してH2受容体をブロックするために使う場合などが想定できます。

このような場合はPPIではなくプロテカジンを代替として選択するとよいでしょう。

ガスターの服薬指導で説明すること

①OD錠の説明【適用上の注意】(D錠の場合)

水無しでも唾液のみで服用可能であることを説明します。また、水無しで飲む場合は寝たままの状態では服用しないことを説明します。

ガスターの薬歴例

S)胃痛
O)併用なし。腎障害なし
A)OD錠説明。水無しで飲む場合は寝たままの状態では服用しないことを説明。
P)効果確認

消化器薬剤別服薬指導
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