今回は2015年12月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。また、今回は11月に効能追加となった薬剤も数が少ないので一緒に掲載します。
【2015年12月】DSU掲載品目
①シベノール等(シベンゾリン)【併用禁忌追加】
ゴーシェ病の治療剤であるサデルガ(エリグルスタット)が併用禁忌に追加となりました。
従来より併用禁忌であるものも含めてシベノールの併用禁忌は5種類となります。併用禁忌を整理すると薬効としては以下の5点であることがわかります。
①勃起不全治療剤
レビトラ(バルデナフィル)
②抗菌薬
アベロックス(モキシフロキサシン)
③乳癌治療剤
フェアストン(トレミフェン)
④多発性硬化症治療剤
イムセラ・ジレニア等(フィンゴリモド)
⑤ゴーシェ病治療剤
サデルガ(エリグルスタット)
薬剤師としての対応としては上記の併用禁忌に該当しないかを確認する必要がありまはす。
これは併用薬の名前が明らかである場合はもちろんですが、患者に名前のわからない併用薬がある際には何の疾患に使っている薬かを聴取し併用禁忌でないかを確認する必要あるということです。
シベノールの場合は名前不明の併用薬が「勃起不全治療剤、抗真菌薬、乳癌治療剤、多発性硬化症治療剤、ゴーシェ病治療剤」でないかを聴取し、これらの薬効に該当する場合は詳細を確認して併用禁忌の薬剤でないかを否定しなければなりません。
なお、ゴーシェ病は世界でも患者数が1万人にも満たない非常に稀な先天性脂質代謝異常症です。糖脂質を分解するライソゾームの酵素が生まれつき少ないために、糖脂質が体内の細胞に蓄積し、肝脾腫、貧血、出血傾向、骨疾患などの症状を引き起こすとされています。
②プロノン等(プロパフェノン)【併用禁忌追加】
C型肝炎治療剤であるスンベプラ(アスナプレビル)が併用禁忌に追加となりました。
従来より併用禁忌であるものも含めてプロノンの併用禁忌は4種類となります。併用禁忌を整理すると薬効としては以下の3点であることがわかります。
① HIV感染症
ノービア(リトナビル)
②過活動膀胱
ベタニス(ミラベグロン)
③C型肝炎治療剤
テラビック(テラプレビル)、スンベプラ(アスナプレビル)
名前不明の併用薬がある場合は「HIV感染症、過活動膀胱、C型肝炎治療剤」でないかを確認する必要があります。このなかでもベタニスは処方頻度が多い薬剤のため遭遇頻度が高く特に注意が必要でしょう。
③クラリス等(クラリスロマイシン)【併用注意追加】
併用注意にセロクエル(クエチアピン)が追加となりました。セロクエルの血中濃度上昇の可能性があるため、薬剤師の対応としては患者に対してセロクエルの副作用を再度説明するなどの対応となるかと思います。
セロクエルの重要な基本的注意として説明することと明記されたいる主な副作用の症状はめまい、眠気、高血糖症状(口渇、多飲、多尿)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦など)などが挙げられます。
なお、セロクエルの服薬指導に関しては以前まとめた記事があるのでご参考下さい。
効能・効果追加品目【平成27年11月分】
①レクサプロ錠(エスシタロプラム)
社会不安障害の効能・効果が追加となりました。用法・用量に関してはうつ病と同様となっているようです。
社会不安障害の効能を持つ薬剤はレクサプロの他にデプロメールやルボックス等のフルボキサミンとパキシル(パロキセチン)の普通錠が存在しています。なお、パキシルCRには社会不安障害の効能はないことには注意が必要です。
②ゼローダ錠(カペシタビン)
胃癌の効能・効果が追加となりました。
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