新薬承認情報+効能追加【2025年夏】

新薬承認情報+効能追加【2025年夏】

2025年夏の新薬承認情報+効能追加情報のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

今回は緑内障のセタネオ点眼液、オレキシン受容体拮抗薬のボルズィ錠など調剤する可能性が高そうな薬剤があるので把握しておいたほうがよいかと思います。

また、効能追加についてもリアルダやマグミットの小児用量追加など重要度の高いものは認識しておく必要があります。

スポンサーリンク

①セタネオ点眼液(セペタプロスト)

「緑内障、高眼圧症」を効能とするプロスタグランジン誘導体です。

セペタプロストはプロドラッグであり、点眼後は主に角膜中で速やかに加水分解され、FP受容体及びEP3受容体に対して結合、刺激することで房水流出を促進し、眼圧下降作用を示すと考えられています。

プロスタグランジン系の薬剤としては珍しく添付文書上に「霧視」の記載がされておらず、霧視発現した場合の運転などを避ける旨の記載も現時点ではないようです。

なお、レスキュラも霧視発現時の運転などを避ける旨の記載はありませんが、霧視の副作用の記載はされています。

「セ」ペ「タ」プロスト+「ネオ」(新しい)から命名されています。

②ボルズィ錠2.5mg/5mg/10mg(ボルノレキサント)

「不眠症」を効能とするオレキシン受容体拮抗薬です。

添付文書上の記載はクービビック錠と類似しており、ベルソムラ同様にクラリスロマイシンなどの薬剤が禁忌であり、デエビゴ同様に中程度のCYP3A阻害剤と併用する場合は、低規格の用量(2.5mg)となるので注意が必要です。(ベルソムラの場合は10mgへの減量を「考慮」という記載なので減量は必須ではありません)

また、併用注意にグレープフルーツジュースの記載がある点も他のオレキシン受容体拮抗薬との違いとなります。

ボルズィ(Vorzzz)は、一般名の「ボル」ノレキサント+ZZZ (眠りを表す様子)から命名されています。

<用法及び用量>
通常、成人にはボルノレキサントとして 1 日 1 回 5mg を就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1 日 1 回10mg を超えないこととする

<用法及び用量に関連する注意>
中程度の CYP3A 阻害作用を有する薬剤と併用する場合は、ボルノレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強するおそれがあるため、1 日 1 回 2.5mg とすること。

③ベルスピティ錠2 mg(エトラシモド L-アルギニン)

「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能とするスフィンゴシン 1-リン酸受容体(S1P1,4,5)調節薬です。

類薬としては最近承認されたゼポジアカプセルとなりますが、ゼポジアカプセルはスターターパック包装での漸増が必要であり、特に投与開始後14日以内では1日でも休薬があると初期用量からやり直しになってしまうのに対して、ベルスピティ錠は「2mgを1日1回」という単一用量であるため、この点が大きく異なる点かと思います。

心拍数低下による、失神、浮動性めまい、息切れなどの症状や眼科領域の注意として黄斑浮腫についての注意などはゼポジア同様となります。

「ベル」は、生命(“vie”や“vida”)、「スピ」は、作用機序の「S1P」から命名された。

④キャップバックス筋注シリンジ(21価肺炎球菌結合型
ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)

「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防」を効能とする成人の肺炎球菌感染症予防に特化して設計された肺炎球菌結合型ワクチンです。

侵襲性肺炎球菌感染症の原因と報告された血清型の約80%がカバーされていて従来のワクチンに比べてさらに広く肺炎球菌感染症を予防することが期待されています。

⑤リアルダ錠(メサラジン)【効能追加】

小児用量が追加となりました。また、これに伴い600mgの規格が追加となりました。

従来の1200mg製剤のサイズが横20.7mm 縦9.7mm 厚さ7.6mmと比べ600mg製剤では横17.1mm 縦8.0mm 厚さ2.8mmとやや小さくはなっていますが、それでも大きいので飲めない場合もあるかと思います。

また、従来の1200mgでは8錠シートですが、600mgでは10錠シートとなっています。

過誤に注意

従来は1200mgの単一規格であったため、600mg規格を認識していないと600mg規格の処方が来た際に従来規格である1200mgで調剤してしまうという過誤(新規格処方時に古い規格での誤調剤)が想定されるため注意が必要です。

<用法及び用量>
通常、体重23kg超の小児にはメサラジンとして1日1回40mg/kgを食後経口投与するが、2,400mgを上限とする。

活動期は、通常、体重23kg超の小児にはメサラジンとして1日1回80mg/kgを食後経口投与するが、4,800mgを上限とし、患者の状態により適宜減量する。

<用法及び用量に関連する注意>
小児に対する1 日投与量については、下表を目安とすること。

          活動期  寛解期
・23kg 超35kg 以下  2,400   1,200
・35kg 超50kg 以下  3,600   1,800
・50kg 超       4,800   2,400

⑥マグミット錠・細粒【効能追加】

便秘症の効能において小児用量が追加されました。また、これに伴いマグミット錠の100mg規格が新たに販売となりました。

後発品の製薬会社としては珍しいですが、マグミットの製薬会社が臨床試験を行ったことからの効能追加であるため、他社の酸化マグネシウム製剤は現時点では効能追加となっていないことは認識しておく必要があります。

<用法及び用量>
小児〈緩下剤として使用する場合〉
通常、1歳以上の小児には酸化マグネシウムとして、1日20~80mg/kgを食後の2回に分割経口投与する。

<用法及び用量に関連する注意>
小児は1日40mg/kgを開始用量の目安とし、患者の状態に応じて適宜増減すること。

添付文書には記載がないが最大用量は2000mg

用量幅の上限は80mg/kg(開始用量の目安は1日40mg/kg)となるので25kgで成人量の2000mgに達してしまい、それ以上の体重だと2000mgを超える用量となってしまいます。

添付文書上は1日最大投与量の記載がないので製薬会社に確認したところ、2000mgが上限ということでした。そのため、2000mgを超える処方が来た場合は疑義照会が必要となります。

添付文書に記載がない情報のため、該当する事例に遭遇した際は再度製薬会社に確認したうえで対応するのが良いかと思います。

⑦シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン【効能追加】

「ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2 及び3)」の予防の効能が追加となりました。これは男女ともに効能となります。

また、従来も効能としてはあった「尖圭コンジローマ」が、男性にも使用可能となりました。従来は女性しか使いませんでしたが、今回の効能追加により男性にも使用されるようになりました。

なお、類薬のガーダシルではすでにだいぶ前に同様の改訂がされています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました