
2025年冬の新薬承認情報+効能追加情報のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。
今回は新規作用機序の抗うつ剤のザズベイカプセルや新規作用機序のドライアイ治療剤のアバレプト懸濁性点眼液は薬剤師として把握しておいたほうがよいかと思います。
また、効能追加としてはケレンディアの慢性心不全の効能追加は必ず認識しておく必要があります。
①ザズベイカプセル30mg(ズラノロン)
「うつ病・うつ状態」を効能とする1日 1回 14日間投与の新規の作用機序を有するアロプレグナノロン様 GABAA受容体機能賦活剤です。抑うつ症状が認められる患者の急性期治療に用いることされ、抑うつ症状が寛解又は回復した患者における再燃・再発の予防を目的とした投与は行わないこととされています。
1日 1回 14日間投与で本剤による治療を再度行う場合には、投与終了から 6週間以上の間隔をあける必要があります。
内因性神経活性ステロイドであるアロプレグナノロンと同様に、ポストシナプス領域内外のγ-アミノ酪酸作動性クロライドイオンチャネル(GABAA)受容体に結合し、γアミノ酪酸(GABA)の作用を増強し、鎮静、抗不安、抗うつ効果を示すとされています。抑制系神経細胞に直接作用すると考えられており、効果発現が早いことが期待されているようです。
食後のほうが吸収がいいため、有効性の観点で食後投与が適切であり、副作用が日中の生活に及ぼす影響を考慮して投与タイミングは「夕食後」とされているため、夕食後以外の用法で処方が出た場合は疑義照会対象となるかと思います。
また、他の抗うつ薬への本剤の上乗せ効果は示されていないため添付文書上「単剤による治療を行うことを検討すること」と記載されていますが「検討すること」と強制力の弱い表現となっているので、併用がダメというわけではない(この部分は製薬会社にも確認済み)ので個人的には併用処方の場合でも疑義照会までは不要と考えています。
<用法・用量>
通常、成人にはズラノロンとして 30mgを1日 1回 14日間夕食後に経口投与する。なお、本剤による治療を再度行う場合には、投与終了から 6週間以上の間隔をあけること。<用法・用量に関連する注意>
・薬物依存を生じるおそれがあるので、用法・用量を遵守するとともに、本剤による治療を再度行う場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。
・本剤を 14日間投与し、抑うつ症状が寛解又は回復した後に再燃・再発が認められ、本剤による治療を再度選択する場合には、必ず本剤投与終了から 6週間以上の間隔をあけること。
本剤による治療を繰り返し行っても再燃・再発する場合には、他の治療法
を検討し、漫然と本剤による治療を繰り返さないこと。
・他の抗うつ薬への本剤の上乗せ効果は示されていないため、他の抗うつ薬で治療中の患者への急性期治療としては、本剤単剤による治療を行うことを検討すること。
<吸収 食事の影響>
健康成人 12例にズラノロン 30mgを高脂肪・高カロリー食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時単回経口投与に比べてCmax、AUCはそれぞれ 4.09倍、2.33倍に増加した。
妊娠禁忌
最近の抗うつ薬としては珍しく妊娠が禁忌となっており、投与中から投与後1週間は避妊する必要があるため、妊娠可能な年齢で処方された場合はこの旨を説明する必要があります。
<生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後 1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること
②イセルティ錠100mg(リンザゴリクスコリン)
「子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善過多月経、下腹痛、腰痛、貧血」を効能とする経口投与可能な非ペプチド性の GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニストです。
<用法及び用量>
通常、成人にはリンザゴリクスとして200mgを1日1回経口投与する。なお、初回投与は月経周期1~5日目に行う。
③アップニークミニ点眼液0.1%(オキシメタゾリン)
「後天性眼瞼下垂」を効能とする外科手術以外の非侵襲的な治療法として、後天性眼瞼下垂を改善する日本初の治療薬です。
α1及びα2受容体のアゴニストとして作用することが報告されており、上眼瞼の挙上に関わる筋組織のうち、ミュラー筋のα受容体に作用して収縮させ、上眼瞼を拳上させることにより、症状を改善する可能性があるとされています。
<用法・用量>
通常、成人には、1回1滴、1日1回点眼する。
④アバレプト懸濁性点眼液0.3%(モツギバトレプ)
「ドライアイ」を効能とする世界初のTRPV1拮抗作用を持つドライアイ治療薬で、TRPV1 を阻害することによりドライアイに伴う自覚症状及び他覚所見を改善すると考えられています。
TRPV1はカプサイシン、熱、炎症性物質、浸透圧等を受容し、活性化する陽イオンチャネルあり、ドライアイ患者では涙液浸透圧の上昇や涙液中炎症性物質の増加がおこりそれらの刺激によって TRPV1 の活性化等が生じることで 角膜の知覚神経の閾値低下が引き起こされるとと考えられています。
自由で生命力に満ちた印象を与えるAVAにTRPV1拮抗薬名の語幹(-VATREP)のアナグラムであるVAREPTを組み合わせ「AVAREPT(アバレプト)」と命名さています。
<用法及び用量>
通常、1回1滴、1日4回点眼する。
温度覚の異常の注意
作用機序上は血漿中薬物濃度依存的に、重度の発熱を含む体温上昇及び熱痛知覚閾値上昇等の温度覚の異常を引き起こす可能性があるとされ、注意喚起として添付文書上にこれらの記載がされています。
ただ、承認時までに実施した臨床試験では、温度覚に関連する副作用は認められたものの、臨床的に問題となる重度あるいは重篤に至る体温上昇及び熱痛知覚閾値上昇等の温度覚の異常は認められていません。
<重要な基本的注意>
TRPV1拮抗薬は、血漿中薬物濃度依存的に、重度の発熱を含む体温上昇及び熱痛知覚閾値上昇等の温度覚の異常を引き起こす可能性がある。特に小児等を含む低体重の患者では、本剤投与時に血漿中モツギバトレプ濃度が上昇する可能性があるので、これらの患者に投与する場合にはリスクとベネフィットを十分に考慮すること。
また、熱痛知覚閾値上昇により、熱源に気づかずに低温熱傷を含む熱傷に至る可能性があるので、熱源によって低温熱傷を含む熱傷が生じることを理解し、温度覚の異常があらわれた場合でも熱源を避けることができる患者であることを確認すること。
⑤ケレンディア錠(フィネレノン)【効能追加】
慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)の効能が追加となりました。ガイドライン上ではすでに薬物治療としてケレンディアが記載されており、効能追加が要望されていたので、これで正式に治療可能となりました。
従来の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の効能とは用法用量に加え、血清カリウム値やeGFRでの用量調整基準も異なっています。そのため、今後はどちらの効能で使用するのか(もしくは両方の用途か)判別する必要があります。
〈用法及び用量(慢性心不全)〉
通常、成人にはフィネレノンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
eGFRが60mL/min/1.73m2以上:
20mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に40mgへ増量する。
eGFRが25mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満:
10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する。
また、慢性心不全のみの禁忌事項として重度の腎機能障害eGFR25mL/min/1.73m2未満)も追記されました。
<禁忌(慢性心不全)>
本剤投与開始時に重度の腎機能障害(eGFR 25mL/min/1.73m2未満)のある患者
⑥デュピクセント皮下注シリンジ/ペン(デュピルマブ)【効能追加】
「6 歳以上 12 歳未満の小児」の効能が追加となりました。なお、 12 歳以上の小児については以前から効能に含まれています。
⑦オプスミット錠10mg【効能追加】
「体重50kg以上の小児」の効能が追加となりました。
また、3カ月以上の小児を効能とする「小児用分散錠」の新規剤形が追加となりました。

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