リアルダの服薬指導

リアルダ
今回は2016年11月に発売した潰瘍性大腸炎治療剤の新薬であるリアルダ錠(メサラジン・フィルムコーティング錠)の服薬指導をまとめました。

リアルダは、メサラジンを親水性基剤及び親油性基剤からなるマトリックス中に分散させた素錠部に、pH 応答性の高分子フィルムをコーティングすることで、メサラジンを標的部位である大腸に送達し、大腸全域へ持続的に放出させる製剤となっています。

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リアルダの特徴

リアルダ錠の特徴は以下の3点です。

1.活動期から寛解期を通じて1日1回投与
2.「活動期」の潰瘍性大腸炎においてはアサコールより優れる。(寛解期に関しては他薬と同等)
3.冷所保存(欠点)

以下で具体的にご説明します。

1.活動期から寛解期を通じて1日1回投与

他のメサラジン製剤と異なり活動期から寛解期を通して「1 日 1 回」の投与が可能となっています。

なお、アサコールは1日3回のみ、ペンタサは寛解維持治療にのみ1日1回投与が可能となっています。

2.「活動期」の潰瘍性大腸炎においてはアサコールより優れる。(寛解期に関しては他薬と同等)

「活動期」の潰瘍性大腸炎において、リアルダ錠 4,800mg/日 (1 日 1 回)投与の アサコール3,600mg/日(1 日 3 回)投与に対する非劣性が検証され、優越性も確認されたため、「活動期」のMAX用量同士ではリアルダが優れることが期待できるかと思います。

なお、リアルダ2,400mg群のペンタサ2,250mg群に対する非劣性は示されなかった(リアルダが劣る可能性がある)ため、「活動期」にはリアルダを添付文書通り4,800mg/日まで使用したほうが効果は期待できそうです。

寛解期の潰瘍性大腸炎においては同等

「寛解期」ではリアルダ錠 2,400mg/日(1 日 1 回)投与のペンタサ2,250mg/日(1 日 3 回)投与に対する非劣性がは示されましたが、優越性は確認していないようなので優れるのはあくまでも「活動期」ということになるかと思います。

3.冷所保存(欠点)

30℃/65%RH プラスチック PTP/アルミ袋 で3 箇月まで安定ですが6 箇月で溶出性が規格上限付近まで上昇しているため冷所保存となっています(15℃であれば18ヶ月安定)。

25℃75%RHで保存形態褐色ガラス瓶(遮光・開放)で3ヵ月規格に適合しているので、患者に渡した後はある程度は室温でも大丈夫そうな印象はありますが、製薬会社は患者に渡した後も冷蔵庫保存をするように求めています。

リアルダの概要

服薬指導難度

効能

潰瘍性大腸炎(重症を除く)

用法・用量

通常、成人にはメサラジンとして1日1回2,400mgを食後経口投与する。活動期は、通常、成人にはメサラジンとして1日1回4,800mgを食後経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。

規格・包装・貯法

1錠1200mgのみの規格となっています。包装は56錠(8錠×7)であり、8錠シートのため取り間違えに注意が必要です。

前述していますが、冷所保存となっています。

分包(一包化)の安定性

前述のガラス瓶開放での安定性をみると一包化調剤できそうな印象がありますが、添付文書上は一包化調剤は避けることと明記されているので、一包化の指示がきた場合は疑義照会対象となります。

吸湿により溶出性に影響を及ぼすことがあるため、服用直前にPTPシートから錠剤を取り出すこと。(本剤をPTPシートから取り出し一包化調剤することは避けること。)

名前の由来

米国では販売名:Lialda、イタリアでは販売名:Mesavacol、欧州・その他各国では販売名:Mezavant / Mezavant XL / Mezavant LP の名称で販売されています。日本では米国販売名に準じ、リアルダ錠とされています。

指導せん

「リアルダ錠を服用されている方へ」という指導用冊子が存在します。

メサラジンによる過敏症状(発熱、腹痛、下痢)の記載はありますが、肝障害、腎障害の症状が記載されていないため内容としては十分ではありません。そのため特に用意しておく必要はないかと思います。

ただし、冷所保存の貯法について旅行の時などの対応(後述)も記載されているので、この点に関しては1回目を通しておくとよいかもしれません。

リアルダの服薬指導で確認すること

①肝機能・腎機能障害の有無【重篤な場合禁忌】

肝機能障害、腎機能障害ともに重篤な場合に禁忌となります。そのため肝臓及び腎臓が悪いと言われていないかを確認します。

リアルダの排泄や代謝が遅延し、腎・肝障害がさらに悪化するおそれがあるため設定されています。

② サリチル酸アレルギーの有無【禁忌】

交叉アレルギーを発現する可能性があるため設定されています。サリチル酸塩により、過敏症を起こした患者は、リアルダでもでも同様な副作用を引き起こすおそれがあります。

患者から聴取する際はサリチル酸といってもわからないと思うので、副作用歴全般を聴取するのが現実的な対応かと思います。

③サラゾスルファピリジン過敏症の有無【重要な基本的注意】

本剤はサラゾスルファピリジンと同じアミノサリチル酸製剤であることから、下記の記載がされているため過敏症の有無を確認します。前述のサリチル酸アレルギーとともに副作用歴全般を聴取します。

該当する場合は腹部の痙攣、腹痛、発熱、重症な頭痛又は発疹のような急性の過敏症の症状があらわれた場合には、投与を中止することを説明します。

サラゾスルファピリジンに対し過敏症の既往歴のある患者に本剤を投与する場合には、慎重に投与すること。腹部の痙攣、腹痛、発熱、重症な頭痛又は発疹のような急性の過敏症の症状があらわれた場合には、投与を中止すること。

④大きい錠剤が飲めるか

錠剤がかなり大きい(長径20.7mm 短径9.7mm 厚さ7.6mm)ので飲めるか確認します。冷所保存で返品も難しいのであまり回転しなさそうであれば、注文する前に患者に飲めるかどうか確認することをおすすめします。

大きさの説明は定規やバルトレックス錠(直径18.5mm 短径7.3mm)をみせるなどの方法で確認するのがよいかと思います。

なお、リアルダの大きさはハーボニー(直径20mm、短径10mm、厚さ6.6mm)とほぼ同じなためハーボニーの指導用冊子である服薬指南書があれば実物大の写真があるため、これを見せるのもよい方法かと思います。

リアルダの服薬指導で伝えること

①腎機能障害の説明【重要な基本的注意】

間質性腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全が報告されているため、投与中は腎機能を検査するなど、患者の状態を十分に観察することと記載されています。

これは海外において本剤服用により間質性腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全の報告があるため設定されています。なお、これらの副作用は国内の臨床試験では認められていません。

添付文書上に具体的な症状の記載がなく、また患者向医薬品ガイドも存在しないようなので、薬のしおりなどを参考にするのがよいかと思います。

尿量減少、むくみ、全身倦怠感など出る際はすぐに受診するように説明します。

②肝機能障害の説明【重要な基本的注意】

肝機能障害、肝炎、黄疸が報告されているため、投与中は AST(GOT)、ALT(GPT)等の肝機能をモニターするなど、患者の状態を十分に観察することと記載されています。

こちらも添付文書上に具体的な症状の記載はないため、薬のしおりなどを参考にするのがよいかと思います。食欲不振、全身倦怠感、黄疸など出る場合はすぐに受診するように説明します。

③過敏症状や潰瘍性大腸炎の悪化の説明【重要な基本的注意】

メサラジンにより過敏症状(発熱、腹痛、下痢、好酸球増多等)が発現することがあり、また、潰瘍性大腸炎が悪化することがあるため、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなどの処置を行うことと記載されています。

過敏症状の発熱、腹痛、下痢は潰瘍性大腸炎自体の症状でもあるため鑑別が困難となってます。発熱,腹痛,下痢がでたり、もとの症状が悪くなるようであれば受診するよう説明します。

④かまずに服用すること【適用上の注意】

放出調節製剤であるため,かまずに服用することされています。また,乳鉢による粉砕は避けることと記載があります。

⑤ゴーストピルの説明【適用上の注意】

便中に錠剤がみられる場合があるため説明します。

⑥冷所保存の説明

冷蔵庫で保管するように説明します。

旅行の時などの対応

指導せんには、旅行の時などはどのように保管すればよいか下記の記載があります。

1週間程度であればそのまま持ち歩いても心配いりません。旅行先で冷蔵庫に保管できる場合は、なるべく冷蔵庫に保管してください。

ただし、お薬を冷蔵庫に保管したままにして、持ち帰るのを忘れないようにご注意ください。

なお、海外旅行など長期間にわたる旅行や、暑い地域への旅行の際は、事前に主治医または薬剤師に相談してください。

リアルダの服薬指導薬歴例

S)潰瘍性大腸炎
O)肝臓・腎機能悪いと言われたことなし、副作用歴なし、錠剤大きいがのめるとのこと

A)万一、尿量減少、むくみ、全身倦怠感、食欲不振、黄疸、発熱、腹痛、下痢、症状悪化など出る場合はすぐに受診するように説明。噛まずに飲むこと、ゴーストピル説明。冷所保存説明、
P)副作用確認

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