オキシコンチン錠とオキシコンチンTR錠の違い

オキシコンチン錠とオキシコンチンTR錠の違い
今回は2017年12月に発売した粉砕・溶解が困難な乱用防止製剤であるオキシコンチンTR錠と、従来製剤であるオキシコンチン錠の違いをまとめました。

TR錠は乱用防止を目的とした製剤であり,その点以外は従来品と同じだと思われがちですが、食後投与の場合は生物学的同等性が認められていない、などいくつか異なる点があり、その部分は添付文書の記載も異なるので注意が必要です。

残念ながら従来品と比べてデメリットのほうが多い印象があります。製薬会社によると従来品は今後販売中止となる見込みのようです。

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従来品と比べたオキシコンチンTR錠のメリット

従来品と比べてオキシコンチンTRが優れる点は下記の2点ですが、従来品と比べて患者のメリットはほとんどありません。

①乱用防止製剤

海外でハンマーで錠剤を砕き、それを水で溶かし注射して乱用するケースがあることから、容易に砕けない硬さを持ち、水を含むとゲル化するよう設計されています。

ただし、通常の患者に対してはメリットではありません。

②ゴーストピルがでない

従来品はゴーストピル(抜け殻)が糞便中に排泄される場合がありますが、TR錠ではこれがありません。

ただし、これも大したメリットではありません。

従来品と比べたオキシコンチンTR錠のデメリット

下記の3点のデメリットがあります。どれも従来品の添付文書には記載がなく、TR錠の添付文書には記載がある内容となります。

①嚥下が困難な患者及び消化管狭窄を伴う疾患を有する場合は使いにくい
②ゲル化するため速やな服用が必要
③食事の影響を受けやすい(食事により血中濃度が増える)

従来品から切り替えの際は忘れずにこれらを確認・伝える必要があります。以下に対応をまとめます。

①嚥下が困難な患者及び消化管狭窄を伴う疾患の有無の確認【重要な基本的注意】

嚥下が困難な患者及び消化管狭窄を伴う疾患を有する患者では、嚥下障害及び消化管閉塞のリスクが高まるため確認します。該当する場合は、念のため疑義照会したほうがよいかもしれません。

嚥下が困難な患者及び消化管狭窄を伴う疾患を有する患者では,嚥下障害及び消化管閉塞のリスクが高まるため,本剤以外の鎮痛薬を使用することを考慮し,やむを得ず本剤を使用する際には,患者の状態を慎重に観察し,副作用の発現に十分注意すること。

②ゲル化するため速やかに服用することの説明【重要な基本的注意】

水を含むとゲル化するため,舐めたり,ぬらしたりせず,口に入れた後は速やかに十分な水でそのまま飲み込むよう患者に指導します。

本剤は乱用防止を目的とした製剤であり,水を含むとゲル化するため,舐めたり,ぬらしたりせず,口に入れた後は速やかに十分な水でそのまま飲み込むよう患者に指導すること。

③食事の影響を受けることの説明【用法・用量に関連する使用上の注意】

TR錠は従来品と比べて食事の影響(食事により血中濃度が増える)を受けやすい製剤となっています。

従来品と比べた際に空腹時投与では生物学的同等性が認められていますが、食後投与ではCmaxが従来品と比べて1.37倍となり、生物学的同等性が認められていないため、食後服用患者で従来品からTR錠に切り替える場合は血中濃度(Cmax)が増大し、副作用がでる可能性があるためこの点を説明します。

なお、副作用としては、眠気、便秘、吐き気は当然ですが、重大な副作用の呼吸抑制(息切れ,呼吸緩慢,不規則な呼吸,呼吸異常等)に関しても伝えたほうがよいかと思います。

また、食事の影響を受けるため、処方された用法を守ることを説明します。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
食事の影響により本剤の Cmax 及び AUC が上昇することから,食後に投与する場合には,患者の状態を慎重に観察し,副作用発現に十分注意すること。
また,食後又は空腹時のいずれか一定の条件下で投与すること。

<食事の影響>
・健康成人 16 例においてオキシコンチン TR 錠 10mg を高脂肪食摂取後に投与したとき,空腹時に比較してオキシコドンの Cmax が73%,AUC が 38%増加した。

・健康成人においてオキシコンチン TR 錠 40mg を高脂肪食摂取後(34 例)に投与したとき,空腹時(28 例)に比較してオキシコドンの Cmax が 60%,AUC が 28%増加した 。

従来品から切り替えの際の薬歴例

S)オキシコンチンからTRに切り替え
O)嚥下困難なし、消化管狭いなどの病気なし
A)
ゲル化するため,舐めたり,ぬらしたりせず,口に入れた後は速やかに十分な水でそのまま飲み込むよう患者に指導。

食事の影響を受けるため、処方された用法を守ることを説明。

【食後服用の場合】
従来品より食事の影響を受けやすく効き目が強くでる可能性があるため眠気、便秘、吐き気など再度注意指示。万一、息切れ,呼吸緩慢,不規則な呼吸,呼吸異常がでる場合はすぐ連絡し受診指示。

P)副作用確認

一般名処方の際の注意点(2019.11追記改訂)

製薬会社によると従来製剤とTR錠製剤は一般名処方の際の一般名が同じであるので「オキシコンチン徐崩錠」のように一般名処方された際は、疑義照会をしてどちらの製剤の処方なのかを確認する必要があるとのことでした。

実際に一般名処方された際は、「患者が今までどちらを使っていたか」や、「薬局の在庫状況」、「今後、従来製剤は販売中止となる見込み」などを踏まえたうえで疑義照会する対応となるかと思います。

発売当初は違う製剤にもかかわらず、一般名が同じでしたが、現在は下記のように区別されているようです。
●【般】オキシコドン徐放錠:オキシコンチン錠
●【般】オキシコドン徐放錠(乱用防止製剤):オキシコンチンTR錠

オキシコンチンTR錠の廃棄方法

医療機関で、麻薬廃棄届などの手続きを経て、実際にオキシコンチンTR錠を廃棄する方法については下記が紹介されています。

薬局内で火を使うわけにはいかないので、現実的なのはガムテープを使う廃棄方法となるかと思います。

例1 錠剤を焼却してください
例2 粘着力の強いガムテープなどで錠剤を包み、錠剤が見えない状態にして、通常の医薬品と同様に廃棄してください。

または、それ以外の回収困難な方法で廃棄してください。

【注意】
・乱用防止を目的とした製剤のため、水性溶媒中(水、エタノール、酸性水溶液)ではゲル状になりますので、溶解による廃棄は行わないでください。

・硬い製剤で破砕は困難なため、ミキサーを使用した廃棄は行わないでください(刃を傷めることがあります)

服薬指導の考え方・教育製剤過誤対策
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