ネイリンの服薬指導

ネイリンの服薬指導
今回は2018年の8月発売予定の経口爪白癬治療剤の新薬であるネイリンカプセル(ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物)の服薬指導をまとめました。

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ネイリン(ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物の特徴

ネイリンの特徴は下記となるかと思います。

1.約 20 年ぶりに承認された経口爪白癬治療剤
2. ラブコナゾールのプロドラッグであるホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物である。
3. 用法・用量は 1 日 1 回 1 カプセルを 12 週間経口投与で、食事に関係なく服用できる。

ネイリンの概要

服薬指導難度

効能

〈適応菌種〉
皮膚糸状菌(トリコフィトン属)

〈適応症〉
爪白癬

〈効能・効果に関連する使用上の注意〉
直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること

包装・規格

ネイリンカプセル 100mg 84カプセル(PTP 14カプセル×6)

1 日 1 回 1 カプセルの用量であるため1箱(84カプセル)で12週間分となります。

用法・用量

通常、成人には1日1回1カプセル(ラブコナゾールとして100mg)を12週間経口投与する。

〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
投与終了後は、爪の伸長期間を考慮して経過観察を行うこと。
なお、本剤は、新しい爪が伸びてこない限り一旦変色した爪所見を回復させるものではない。

外用爪白癬治療薬との併用は可能か

製薬会社が公開しているネイリンのQ&Aでは外用爪白癬治療薬との併用に関して下記の記載がされています。

併用はされる可能性がありますが、保険で通るかは明確ではないようです。

外用爪白癬治療薬と併用する可能性は考えられますが、ネイリンと併用時の有効性・安全性を検討した報告はなく不明です。

ネイリンの国内第Ⅲ相臨床試験では、ネイリンカプセル100mgを12週間投与した時点での完全治癒率は1.0%ですが、投与開始48週後には59.4%まで上昇します。

治療には爪の生え変わりの期間が必要となりますので、他剤での治療については改善傾向を確認の上ご判断ください。
保険の判断については、地区の審査機関にご確認ください。

名前の由来

爪(NAIL)に薬物が入る(IN)ことから NAILIN と命名されています。

指導せん

「ネイリンを服用される患者さんへ」という指導せんがあります。

下記の記載があるので、服薬指導時に使うと有用かと思います。インターネット上(ネイリン Navi)からも印刷可能です。

・肝障害の副作用(全身倦怠感、吐き気、かゆみ、黄疸、発熱、食欲不振、発疹)
・妊婦は服用できない
・妊娠する可能性がある女性は服用開始から服用終了後3ヵ月間は避妊すること

ネイリンの服薬指導で確認すること

①妊娠の有無【禁忌】

あまり妊娠可能な年齢で使う例は少ないかもしれませんが、「妊婦又は妊娠している可能性のある患者」が禁忌であるため確認します。

②ワーファリンの併用の有無【併用注意・重要な基本的注意】

一般に、アゾール系抗真菌剤とワーファリンとの併用はINR上昇が報告されているため、併用注意となっており、【重要な基本的注意】の項目にも記載があるため、ワーファリンの併用の有無を確認します。

併用している場合は疑義照会したほうがよいかと思います。

代替としては外用爪白癬治療薬の使用がないようであれば、クレナフィン爪外用液やルコナック爪外用液がよいかと思います。

<重要な基本的注意>
アゾール系抗真菌剤とワルファリンとの併用において、ワルファリンの作用が増強し、著しいINR上昇を来した症例が報告されている。

本剤投与開始にあたっては、あらかじめワルファリン服用の有無を確認し、ワルファリンと併用する場合は、プロトロンビン時間測定及びトロンボテストの回数を増やすなど慎重に投与すること。

③リポバスの併用の有無【併用注意】

併用注意であり、併用によりリポバスのAUCが2〜4倍になるため疑義照会対象となります。

ネイリンの服薬指導で伝えること

①肝機能障害の副作用の説明【重要な基本的注意・重大な副作用】

「重要な基本的注意」に肝機能障害に関する記載があるため説明します。

添付文書には具体的な症状の記載がありませんが、指導せんには記載されています。

指導せんを使い、「全身倦怠感、吐き気、かゆみ、黄疸(白目・皮膚が黄色くなる、尿が濃い)、発熱、食欲不振、発疹」などが出たらすぐに受診するように説明します。

<重要な基本的注意>
本剤の投与により肝機能障害があらわれることがあるので、肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。

②避妊の説明【妊婦、産婦、授乳婦等への投与】

なぜか【重要な基本的注意】でなく、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項目に記載されているので非常に見落としがちですが、避妊が必要であるため説明します。

妊娠する可能性のある人は、この薬を使用している間および使用を中止してから少なくとも3ヵ月間は避妊するよう説明します。

指導せんにもこの内容は記載されているので、使うとよいかと思います。

<妊婦等への投与>
妊娠可能な婦人に対しては、本剤投与中及び投与終了後3ヵ月間は適切な避妊を行うよう指導すること。

[動物実験では、ラット又はウサギにおいて、臨床曝露量(ラブコナゾールとして)を下回る曝露量から胚・胎児に骨格形成への影響(骨格変異、骨化遅延、骨化不全等)、出生児に水晶体混濁、外表異常(短尾、鎖肛等)及び生存率の低下が、ラットにおいて臨床曝露量を上回る曝露量で奇形(口蓋裂、小眼球症等)が認められている。
また、ラットにおいて胎盤通過が報告されている。」

ネイリンの服薬指導薬歴例

S)爪白癬
O)併用なし、妊娠なし
A)
からだがだるい、白目・皮膚が黄色くなる、吐き気、食欲不振、かゆみ、尿の色が濃くなるなどの場合はすぐ受診するよう説明。

使用している間および使用を中止してから少なくとも3ヵ月間は避妊するよう説明。【妊娠可能な婦人の場合】

P)副作用確認

新薬皮膚
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