今回は主に脱毛症で使うことの多いフロジン外用液の服薬指導をまとめました。
このような特段注意すべきことがなさそうな薬剤でも、指導しなければならない項目もあるため、初めて服薬指導する際は添付文書を見ることを怠らないようにする必要があります。
フロジン外用液の概要
服薬指導難度
効能及び用法
1.脱毛症における脱毛防止ならびに発毛促進
2.乾性脂漏
1日2~3回適量を患部に塗布,あるいは被髪部全体にふりかけ,軽くマッサージする。
3.尋常性白斑
1日3~4回適量を患部に塗布する。
名前の由来
フロジンの名前は「不老人」に由来し、その語呂に合せてフロジン(FUROZIN)と命名されています。
指導せん
「フロジン外用液をご使用になる患者さんへ」という指導せんがあります。
説明が必要な内容が網羅されているので有用です。
この指導せんは印刷専用であり、取り寄せはできません。製薬会社のホームページから印刷します。
ステロイド外用薬との併用時の順番
フロジンは脱毛に使う場合はステロイド外用と併用で使われることも多いかと思います。
インターネットで調べると一部の医療従事者のブログではフロジンを先に使い、ステロイドは後としている記述がありましたが、フロジンの製薬会社に確認したところ、脱毛にステロイド外用と併用する場合の順番は特に決まってはいないとのことでした。
白斑に使う場合に併用した際はフロジンを先に、ステロイドを後に使った症例はあったとのことです。
また、フロジンはアルコールを含むので乾きやすいとのことでした。
実際の対応
医師から順番を指定されていないようであれば、それほど順番にこだわらなくてもよさそうです。
実際の説明としては、医師から順番の指定がない場合は、特に明確な決まりはないことを伝えた上で、医師によってはフロジンを先に使う先生もいるので、フロジンを先に使う順番で説明する対応でよいかと思います。
特にステロイドの剤形が軟膏やクリームである場合は、個人的にも先に乾きやすいフロジンから使ったほうがよい気がします。
フロジン外用液の服薬指導で確認すること
①用途の確認【用法】
フロジンは効能により用法が異なるため、用途を確認して用法が適切か確認します。
用途と用法が添付文書と異なる場合は疑義照会対象となります。
フロジン外用液の服薬指導で伝えること
①発汗や震え、吐き気の説明【重要な基本的注意】指導せんに記載あり
「塗布直後に全身発汗,それに伴う悪寒,戦慄,嘔気,嘔吐等があらわれることがあるので,異常が認められた場合には使用を中止し,水等で洗い流すこと」と記載されています。
そのため、異常な発汗、吐き気、寒気、ふるえなどがでる場合は洗い流すように説明します。
これはコリン様作用の局所血管拡張作用などにより、その副作用として、発汗、顔面紅潮、心悸亢進、嘔気、嘔吐、また、痙攣等が現れる可能性があるために設定されています。
②目に入らないように注意【適用上の注意】指導せんに記載あり
「眼に入るとしみるので,眼に入れないように注意すること。誤って眼に入ったときは,ただちに清浄な水で洗眼すること」と記載されています。
これはアルコール性外用液の共通の注意事項として設定されています。
③湯上がりすぐに使わないこと【その他の注意】指導せんに記載あり
「湯あがりのあと等に使用すると副作用が強くあらわれる傾向がある。なお,副作用があらわれたときは,使用部位を水等で洗い流すこと」と記載されています。
添付文書には上述の記載だけであり、結局、湯上がりに使わないほうがいいのか明記されておらず、どう指導すればよいか判断がつきませんがインタビューフォームには下記の記載があります。
これを踏まえると、湯上がりなどのほてりがある状態では発汗や熱感が出やすくなるので、ほてりが引いてから使用するように説明するほうが良いかと思います。
「アセチルコリン様作用により湯あがり、洗髪直後などに使用すると、汗腺の機能亢進による発汗と血流増加作用による熱感が強くあらわれる傾向があり、このような場合には適度な時間間隔をおいて、ほてりを無くした後使用するよう留意する必要がある。」
④塗布後にマッサージ(脱毛症及び乾性脂漏の場合)指導せんに記載あり
フロジン外用液は効能により用法が異なる薬剤となります。
脱毛症及び乾性脂漏の場合は用法に「軽くマッサージする」と記載されています。
尋常性白斑の場合はこの文言がありません。また1日の使用回数も異なっています。
⑤局所発汗、発赤又はそう痒感の説明【その他の副作用】指導せんに記載あり
指導せんに下記の記載があるため説明します。発赤又はそう痒感などは、その他の副作用の「過敏症」の部分からの記載かと思います。
<指導せん>
フロジン外用液を使用した後に、局所発汗、発赤又はそう痒感などがあらわれ、その症状が30 分以上継続したり増強する場合は、使用を中止し、医師又は薬剤師にご相談ください。
<その他の副作用>
過敏症(0.1~5%未満)一過性の発赤,そう痒感等があらわれることがある。
フロジン外用液の薬歴例
S)脱毛症
A)使用後にマッサージするように説明。湯上がりすぐの使用を避けるよう説明。目に入らないように注意指示。
万一、発汗、吐き気、寒気、ふるえなど出る際は洗い流すよう指示。発赤又はそう痒感などがひどい場合や続く際は受診指示。
P)副作用確認
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