ボンビバの服薬指導

ボンビバ
今回は2016年4月に発売されたビスホスホネート系の新薬であるボンビバ錠の服薬指導をまとめました。他のビスホスホネート製剤と異なり服用後60分飲食まで空ける必要があるという特徴があります。

なお、新薬のため1年間は1回1錠までが限度となります。

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ボンビバの概要

服薬指導難度

効能

骨粗鬆症

用法

100mgを1カ月に1回、起床時に十分量(約180mL)の水とともに経口投与する。なお、服用後少なくとも60分は横にならず、飲食(水を除く)及び他の薬剤の経口摂取を避けること

名前の由来

ボンビバの名前は“good life”という言葉をラテン語にしたものに由来しています。

ボンビバ錠の服薬指導で確認すること

①食道通過障害の有無【禁忌】

食道狭窄又はアカラシア(食道弛緩不能症)等の食道通過を遅延させる障害のある場合は禁忌となります。

そのため、「食道が狭い、ものを飲み込みにくい」などの食道の病気や障害がないことを確認します。なお、単に「嚥下困難」という場合は慎重投与となります。

ただし、薬局側で嚥下困難の原因が禁忌による疾患でないことを確認することはできないので、嚥下困難があることを聴取し、かつ医師に伝えていない場合は疑義照会したほうがよいかと思います。

②寝たきりでないことの確認【禁忌】

服用時に立位又は坐位を60分以上保てない患者は禁忌となります。

これは立位又は坐位が保てない場合は薬が食道に滞留したり、胃内に到達しても食道へ逆流するおそれがあり、食道炎や食道潰瘍及び胃潰瘍などの上部消化管障害発現のリスクが高まるため設定されています。

初回服用時だけでなく、今後寝たきりの状態になった際には禁忌に該当してしまうため注意が必要です。

③妊娠の有無【禁忌】

妊娠は禁忌となります。これは動物実験において、低カルシウム血症による分娩障害の結果と考えられる母動物の死亡等が認められていることから設定されています。

通常の骨粗鬆症であれば、妊娠可能な年代に使うことはほとんどありませんが、ステロイドによる骨粗鬆症の治療や予防では妊娠可能な年齢に処方される可能性があります。

その際は妊娠希望の有無を確認し、妊娠希望がある場合でかつ医師に伝えていない場合は疑義照会をしたほうがよいかと思います。

医師によってはボナロンなどの妊娠が禁忌でないビスホスホネート製剤に変更や、どちらかというとビスホスホネート以外の薬剤に変更する場合のほうが多いかもしれません。

④抜歯などの予定の有無

服用後は歯の侵襲的な処置は顎骨壊死のリスクとなるため避けたほうがよいため、抜歯などの予定がないことを確認します。

なお、初回の服薬指導で、近いうちに抜歯などの予定があることを聴取した場合は疑義照会して投与開始日をずらすことを検討したほうがよいかと思います。

⑤併用薬として食前の薬の有無

ボンビバ服用後60分は他の薬剤の服用を避ける必要があります。

そのため、併用薬として漢方などの食前の薬がある場合はボンビバ服用の日だけ食後にずらせるかどうかを検討します。

ボンビバの服薬指導で伝えること

①服用方法の説明【用法】

以下の内容を説明します。

・1カ月に1回であること
・起床時に十分量(約180mL)の水で服用すること
・服用後60分は横にならず、水以外の飲食や他の薬剤の摂取を避けること
・本剤をかんだり、口中で溶かしたりしないこと

②飲み忘れの対応【用法】

服用を忘れた場合は気づいた日の翌日に1錠服用し、以後、その服用を基点として1カ月間隔で服用すること。

③上部消化管障害の副作用【重要な基本的注意】

【重要な基本的注意】に以下の記載があります。

上部消化管に関する副作用が報告されているので、観察を十分に行い、副作用の徴候又は症状(嚥下困難、嚥下痛又は胸骨下痛の発現、胸やけの発現・悪化等)に注意し、患者に対して、これらの症状があらわれた場合は、本剤の服用を中止して診察を受けるよう指導すること

このため、患者に「飲み込みにくい、飲む込むときの痛み、胸の痛み、胸やけなどでる場合は受診するように説明します。

④顎骨壊死の副作用【重要な基本的注意】

添付文書上には以下の記載があります。

・口腔内を清潔に保つこと
・歯科受診時に本剤の使用を伝えること
・歯や顎に異常が認められた場合は歯科に受診すること

なお、添付文書上は顎骨壊死の具体的な症状の記載はありませんが、患者向医薬品ガイドには「あごの痛み、歯のゆるみ、歯ぐきの腫れ」などが記載されています。

⑤外耳道骨壊死の説明【重要な基本的注意】

耳漏、耳痛等の症状が続く場合には耳鼻咽喉科を受診するように説明します。

⑥大腿骨転子下等の骨折の副作用【重要な基本的注意】

重要な基本的注意に以下の記載があります。

ビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。

これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数カ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、このような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと

そのため、太ももや太ももの付け根に痛みを感じる場合は受診するように説明します。

ボンビバの薬歴例

S)骨粗しょう症
O)併用なし。食道通過障害なし。抜歯などの予定なし。妊娠なし

A)
服用方法説明。服用後60分は横にならず、飲食など避けること指示。噛まないで服用指示。服用忘れの際は翌日服用指示。口腔内を清潔に保ち、歯科受診時に本剤の使用を伝えること説明。

飲み込みにくい、飲む込むときの痛み、胸の痛み、胸やけ、あごの痛み、歯のゆるみ、耳漏、耳痛、太ももや太ももの付け根に痛みを感じる場合は受診すること説明。
P)副作用確認

新薬薬剤別服薬指導
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