今回は2016年11月の医療安全情報「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)について」の対応をまとめました。今月の医薬品・医療機器等安全性情報でも紹介されています。
これらの内容は2007年にも通知されていますが、年数がたったこともあり、新たに通知されました。これを機会に薬剤師としての対応を考えました。
通知の概要と要点
この通知ではメトトレキサート製剤については,休薬期間(薬を飲まない期間)が必要な特殊な服用方法の内服薬であり,医療従事者が本剤を調剤・配薬・服薬指導等する際には,次の3つの注意点を理解することが重要とされています。
1.薬剤交付時又は配薬時には,必ず,服薬日時欄の記入をすること。
2.長年,メトトレキサート製剤を服用されている患者さんでも,服用方法を正しく理解していない 可能性があるため,患者さんの理解度に応じて,服用方法について繰り返しの指導を行うこと。
3.残薬の誤服用を防ぐため,服薬状況や残薬確認を行うこと。
万一、患者の誤服用により患者に健康被害が生じた際に、薬歴上にこれらを行った記録がない場合は責任を問われる可能性があります。そのため薬局の管理薬剤師は少なくともこれらを従業員に対して周知しておくことが必要かと思います。
以下で各項目に対する薬剤師としての対応と考え方をまとめました。あくまで個人的なものですが参考になればと思います。
1.薬剤交付時又は配薬時には,必ず,服薬日時欄の記入をすること
「必ず,服薬日時欄の記入をすること」とされているため、原則記載をします。薬歴への記載方法と薬剤のパッケージへの記載方法に分けて考えます。
薬歴への記載方法
薬歴に「MTX日付、曜日、朝夕記載」や「MTX日付、曜日のみ記載 朝夕は患者要望により不要」などと記載し、また今回記載分を下記のように薬歴に記録します。
2/21火(1-1)2/22水(1-0)
2/28火(1-1)3/1水(1-0)
また、記載自体不要の場合は必ず「MTX日付記載の必要性説明するが拒否」などと「記載をしていない理由」を明記しておくことが必要かと思います。
薬剤パッケージへの記載方法
薬剤のパッケージへの記載及び確認は記載ミス防止の観点からは1人よりも、2人の薬剤師が関与するのがよいかと思います。
まず、投薬前に調剤者が調剤時に前回薬歴から今回服用分が何日開始となるかを確認した上で、患者にその日付からで間違えないかを聞きに行きパッケージに記載します。
監査投薬者はその記載に間違いがないか確認し、投薬時に再度患者とともに確認し、薬歴に上述したように記載します。
2.長年,メトトレキサート製剤を服用されている患者さんでも,服用方法を正しく理解していない可能性があるため,患者さんの理解度に応じて,服用方法について繰り返しの指導を行うこと
定期的に服用方法を再度説明し薬歴に「MTXの服用方法再度説明」と記載します。
3.残薬の誤服用を防ぐため,服薬状況や残薬確認を行うこと
間違えなく飲めているかと残薬状況を確認し、薬歴に「MTX前回飲み間違えなし残薬なし」、「前回飲み忘れ1回分あり残薬1錠」などと残します。なお、残薬があった場合の対応は処方箋の下部のチェックボックスの指示に指定があれば従います。
個人的には残薬の誤服用を防ぐため,残薬は廃棄してもらったほうがよいかと考えています。
薬歴記載例
S)体調変わりなし
O)MTX日付、曜日、朝夕記載、前回飲み間違えなし残薬なし
2/21火(1-1)2/22水(1-0)
2/28火(1-1)3/1水(1-0)
A)MTXの服用方法再度説明
参考)
医薬品医療機器総合機構 PMDA 医療安全情報 No.49 2016年11月
https://www.pmda.go.jp/files/000214827.pdf
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