今回はリマチル(ブシラミン)錠の服薬指導をまとめました。
リマチルは添付文書に記載がある用量が実際の臨床用量を反映していない薬剤の一つであり、実際は記載より低用量で用いる場合が多いため注意が必要です。
リマチルの概要
現在リウマチの第一選択薬はMTXでありリマチルの使用頻度は少なくなってきましたが、以下の場合などに使用されることがあります。
・早期軽症例あるいはMTX禁忌・慎重投与例に対する第一選択として
・MTXの併用薬として
・寛解・低活動性例の維持療法薬として
服薬指導難度
効能
関節リウマチ
用法・用量
添付文書上は下記のように1日300mgまでですが、一般には1日100mgから開始して、効果不十分であれば1日200mgまでの増量にとどめる場合が多いです。
本剤は消炎鎮痛剤などで十分な効果が得られない場合に使用すること。通常成人、1回ブシラミンとして100mgを1日3回(300mg)食後に経口投与する。
なお、患者の年齢、症状、忍容性、本剤に対する反応等に応じ、また、効果の得られた後には1日量100~300mgの範囲で投与する。1日最大用量は300mgとする。
名前の由来
リウマチの治療を連想させる商標となるように命名されています。
指導せん
副作用の記載がされている指導せんがあるため、用意しておくと役に立つかと思います。
重要な基本的注意に記載がある血液障害・腎障害・肝障害・肺障害などの副作用が記載されています。また、それ以外にも皮膚障害やその他の副作用も記載されています。
なお、製薬会社のHPでも印刷できるため急ぎの場合は利用すると良いかと思います。
リマチルの服薬指導で確認すること
①血液障害・骨髄機能低下の有無【禁忌】
血液障害のある患者及び骨髄機能が低下している患者が禁忌となります。
これはリマチルの副作用として、汎血球減少、無顆粒球症等の重篤な血液障害(骨髄穿刺像から骨髄機能低下を示す症例もみられる)が報告されており、血液障害や骨髄機能の低下している患者に本剤を投与すると血液障害が増悪するおそれがあるので、これらの患者には投与しないこととされています。
②腎障害の有無【禁忌】
腎障害のある患者は禁忌となります。
これはリマチルの副作用として、急性腎不全、ネフローゼ症候群(膜性腎症等)等の重篤な腎障害が報告されており、腎障害のある患者に本剤を投与すると腎障害が増悪するおそれがあるので、これらの患者には投与しないこととされています。
③手術直後でないことの確認【原則禁忌】
手術直後の患者が原則禁忌となります。
手術後の患者は、免疫機能が低下していることが多く、本剤を投与することにより重篤な副作用を起こすおそれがあること、また、本剤と類似の構造及び作用機序を示すペニシラミンにも記載があることから設定されています。
④血液、腎機能、肝機能等の検査の有無【重要な基本的注意】
投与前に血液、腎機能、肝機能等の検査が必要のため、検査をしていない場合は疑義照会対象となります。
また、投与中も「毎月1回血液及び尿検査等の臨床検査を行うこと」とされているため、毎月1回行えないだろう処方日数の場合は患者に次回受診日を確認した上で疑義照会を行います。
なお、毎月1回行えないだろう処方日数とは、受診した日にち(月末か月初か)により変わるので単純に30日という意味ではありません。
月初1日に受診し検査している場合は翌月末に受診し検査すれば毎月1回検査を満たすため、60日ほどの処方も可能ですが、受診が月末の場合は60日処方では翌月に検査ができません。
本剤投与前には必ず血液、腎機能、肝機能等の検査を実施すること。投与中は臨床症状を十分に観察するとともに、毎月1回血液及び尿検査等の臨床検査を行うこと。
なお、臨床検査のうち白血球数、血小板数及び尿蛋白の検査値が下記のいずれかの値を示したときは、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
白血球数………3,000/mm3未満
血小板数……100,000/mm3未満
尿蛋白………持続的又は増加傾向を示す場合
リマチルの服薬指導で伝えること
①咽頭痛、発熱、紫斑、呼吸困難、乾性咳嗽等の説明【重要な基本的注意】
血液障害の初期症状として風邪様症状の咽頭痛、発熱や出血傾向の紫斑、肺障害の初期症状として呼吸困難、乾性咳嗽などがみられた場合には医師に連絡するように説明します。指導せんにも記載があるため指導せんをみせながら説明します。
本剤の投与開始に先立ち、主な副作用、用法・用量等の留意点を患者に説明し、特に咽頭痛、発熱、紫斑、呼吸困難、乾性咳嗽等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指示すること。
②腎障害・肝障害の副作用【重大な副作用】
腎機能、肝機能検査が必要な薬剤であるため、これらの副作用症状を説明します。
尿量が減る、からだがだるい、むくみ、黄疸などでる場合は医師に連絡するように指示します。指導せんにも記載があるため指導せんをみせながら説明します。
③皮膚障害など他の副作用の説明
リマチルの指導せんには前述の副作用のほかに皮膚障害など他の副作用も記載があるので指導せんをみせながら説明します。
④尿検査の際には服用を伝えること【臨床検査結果に及ぼす影響】
尿検査の尿中ケトン体反応が偽陽性となることがあるため、尿検査の際には服用を申し出るように説明します。
ニトロプルシド反応の原理により尿中ケトン体反応が偽陽性を呈することがある。
リマチルの服薬指導薬歴例
S)リウマチ、採血、尿検査あり
O)血液、骨髄疾患なし、腎臓悪いと言われたことなし、手術直後でない。
A)指導せんをわたして万一、咽頭痛、発熱、紫斑、呼吸困難、咳、尿量が減る、からだがだるい、むくみ、黄疸、発疹など出る際はすぐに医師に連絡するように説明。
尿検査の際は服用を伝えることを説明。
P)副作用確認
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