
2025年秋の新薬承認情報+効能追加情報のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。
今回は新規のコレステロール血症の治療薬のネクセトール錠や片頭痛発作の急性期治療と発症抑制の両方の適応を有するナルティークOD錠、アドレナリンの点鼻薬であるネフィー点鼻液など調剤する可能性が高そうな薬剤が多いので把握しておく必要があります。
また、効能追加についてもゾフルーザの10kg未満の小児用量追加は認識しておく必要があります。
①ネクセトール錠180 mg(ベムペド酸)
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を効能とするATPクエン酸リアーゼ阻害剤です。
肝臓中のクエン酸を分解する酵素であるATPクエン酸リアーゼ に作用することでコレステロール合成を阻害する新規の作用機序を有する薬剤です。
HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又は禁忌や副作用などでHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない患者に使用することとされており、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない場合を除き、HMG-CoA還元酵素阻害剤と併用することされています。
そのため、通常はスタチンで効果が不十分な場合にプラスして使用されるケースが主となりそうですが、副作用や禁忌でスタチンが使えない場合は単剤使用でも使用可能です。
逆に言えば、「スタチンが使用できない理由がない患者」に単剤使用で処方された場合は疑義照会対象となりそうです。
単一規格、単一用法用量のため、その点はシンプルで使いやすい印象です。ただし、新規作用機序の薬剤なので個人的には使用は慎重になったほうがよい気がします。
ちなみに命名の由来は「Next Level Tolerability」からきているようです。
<効能又は効果に関連する注意>
HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又は以下に示すHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない患者に使用すること。
・副作用の既往等によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が困難な患者
・HMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が禁忌とされる患者<用法及び用量>
通常、成人にはベムペド酸として180mgを1日1回経口投与する。
<用法及び用量に関連する注意>
HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない場合を除き、HMG-CoA還元酵素阻害剤と併用すること。
ネクセトールの注意点
併用によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の血中濃度を上昇(1.5ー2倍程度)させることから横紋筋融解症等の副作用に注意する必要があります。
また、尿酸値の上昇がみられるとされているため、高尿酸血症の患者には少し使いにくい印象があります。
<重要な基本的注意>
・本剤はHMG-CoA還元酵素阻害剤の血中濃度を上昇させることから、横紋筋融解症等の副作用があらわれるおそれがある。
本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用する場合は、定期的にCKを測定するなど患者の状態を十分に観察すること。
また、これらの副作用の症状又は徴候があらわれた場合には速やかに医師に相談するよう患者に指導すること。
・本剤投与により尿酸値が上昇し、高尿酸血症又は高尿酸血症の悪化があらわれるおそれがあるため、血清尿酸値の測定等の観察を十分行うこと。
②ナルティークOD錠75 mg(リメゲパント)
片頭痛発作の急性期治療及び発症抑制を効能とする経口低分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP) 受容体拮抗薬あり、日本で初めて片頭痛発作の急性期治療及び発症抑制の両方の適応を有する薬剤です。
発症抑制の場合は隔日投与という珍しい服用方法です。また、OD錠ですが水なしで服用する必要があるため注意が必要です。
隔日投与の発症抑制で使用するのか、頓用使用の急性期治療で使用するのかは処方箋の記載で判別できるかと思いますが、隔日投与+頓用使用の同時処方(もしくは隔日投与の用法で発作時にも使用するよう医師に指示されているケース)もあるかもしれません。
ただし、「1日あたりの総投与量は75mgを超えないこと」とされているため隔日服用の服用日は追加で頓用使用することはできません。
製薬会社にも確認しましたが、隔日服用の服用日でない日に急性期治療の頓用分として服用することは可能であり、その場合は翌日に予定通り発症抑制の服用が可能ということでした。
<用法及び用量>
〈片頭痛発作の発症抑制〉
通常、成人にはリメゲパントとして75mgを隔日経口投与する。〈片頭痛発作の急性期治療〉
通常、成人にはリメゲパントとして1回75mgを片頭痛発作時に経口投与する。
<用法及び用量に関連する注意>
1日あたりの総投与量はリメゲパントとして75mgを超えないこと。
<適用上の注意 薬剤交付時の注意>
・本剤を水で服用した場合のデータは得られていないため、本剤は
舌の上又は舌下で唾液を浸潤させた後、水なしでの服用を推奨す
ること。
水なしで服用
水で服用した場合のデータは得られていないという理由から、水なしでの服用となります(水で服用したデータくらい検証しておいて欲しいところですが・・・)。
なお、水なしで服用する薬剤といえば、シクレスト舌下錠やミニリンメルトOD錠が思い当たりますが、これらの薬剤は一緒に飲むお薬がある場合は「最後に服用すること」とされていますが(指導せんに記載あり)、ナルテイークでは順番は特に定められておりません。
また、ナルティークはシクレストのように「服用後の〇分飲食を避ける」といった規定もありません。
③ワイキャンス外用液0.71%(カンタリジン)
国内で初めての「伝染性軟属腫」を効能とする治療薬です。
病院で使用する薬剤のため調剤する機会はないかと思いますが、従来の摘除法や液体窒素凍結療法以外に新たな水いぼ治療の選択肢ができることは薬剤師として認識しておいたほうがよいかと思います。
ワイキャンスは中性セリンプロテアーゼの活性化を介して、表皮のデスモソームを脆弱化し表皮構造を破壊することで塗布部位に水疱を形成します。水疱の形成により病巣皮膚が剥がれ落ち、その結果ウイルス感染組織が除去されると考えられています。
<用法及び用量>
通常、成人及び 2 歳以上の小児に、 3 週間に 1 回、患部に適量を塗布する。塗布 16 ~ 24 時間後に、石鹸を用いて水で洗い流す
④ネフィー点鼻液1mg/2mg(アドレナリン)
「蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)」を効能とする吸収促進を目的にドデシルマルトシド(DDM)を配合し、アドレナリンの鼻腔内投与でのバイオアベイラビリティを向上させた本邦初のアドレナリン点鼻液です。
鼻が詰まっている患者さんの場合でも、それ以外の患者さんと同様に体内に吸収されるとされています。
今後はエピペンの代わりに処方されるケースがでてくると思いますが、臨床データはまだ少ない点には留意が必要かと思います。エピペン同様に医師登録が必要なので、薬局が注文する際には卸による医師登録の確認後に納品されます。
また、現時点では保育士・教職員・救急救命士が患者さんに代わってネフィーを使用できるという見解は当局から通達されておりません。
形状は製薬会社は異なりますがイミグラン点鼻に似た形になっています。1 回の作動で全量を使い切る設計(片鼻ワンプッシュ)のため、実薬剤での試し噴霧や再使用はできません。
エピネフリンの「ネフ」からネフィーと命名されているようです。
<用法及び用量>
通常、体重30kg未満の患者には、アドレナリンとして1回1mgを、体重30kg以上の患者には、アドレナリンとして1回2mgを鼻腔内に投与する。
ネフィー点鼻の使用法の注意点
ネフィー点鼻の使用法の注意点として下記が挙げられます。
・ノズルは鼻孔内の内側や外側の壁に向けず、鼻の奥にまっすぐに向ける。
・噴霧中や噴霧後に鼻をすすってはいけない(鼻をすすると鼻の粘膜ではなく、胃など別のところから吸収されてしまう)
・自身で使用する際には、右手で使用する場合には右の鼻孔、左手で使用する場合には左の鼻孔に使用(ガイドブックのQ&Aに記載)。
⑤ゾフルーザ顆粒2%分包(バロキサビル マルボキシル)
新たな剤形として「ゾ フ ル ー ザ 顆粒2%分包」(1包0.5g中 10mg含有)が発売となり、これに伴い10kg 未満の小児用量も追加となりました。
ただし、10kg 未満の場合は下記の用量のため分包品を開封して調剤しなければなりません。
なお、開封後の使用期限を製薬会社に確認したところ72時間(3日間)までしか確認していないとのことでした。さすがに期間が短すぎて開封後に薬局で保管する分の使用期限を判断するには全く参考にならないので、製薬会社には今後より長い期間での検証が期待されます。
<用法・用量>
10kg 未満:顆粒 50mg/kg(バロキサビル マルボキシルとして1mg/kg)
また、以前から知られていた低年齢に対する低感受性株の出現についての内容が警告に記載されたことと、「特定の背景を有する患者に関する注意 小児等」の項目に乳児などでビタミンK製剤が投与されていることの確認が必要となったため乳児や20kg 未満の小児にはかなり使いにくい印象があります。
<警告>
抗ウイルス薬の投与が A 型又は B 型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことに加え、低年齢になるほど低感受性株の出現頻度が高くなる傾向が示されており、本剤の投与が拡大した場合に、低感受性株が地域社会に伝播拡大する可能性が否定できないことを踏まえ、体重20kg 未満の小児に対しては、他の抗インフルエンザウイルス薬の使用を考慮した上で、本剤の投与の必要性を特に慎重に検討すること。
<特定の背景を有する患者に関する注意 小児等>
新生児や乳児ではビタミンK欠乏をきたすおそれがあり、本剤投与により出血傾向が発現するおそれがあるため、本剤投与前に国内ガイドラインに基づきビタミンK製剤が投与されていることを確認すること。
ビタミンKの不足が予想される場合はビタミンK製剤をあらかじめ投与すること。また、患者の家族に対して、患者の状態を慎重に確認し、出血や意識障害等が認められた場合には医師に連絡するよう指導すること。

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