今回は重複投薬・相互作用等防止加算の対応 (禁忌と代替薬)をまとめました。4月の調剤報酬改定により、禁忌等で疑義照会し処方が変更になった際にもこれらの加算が算定できることとなりました。
これを期に調剤薬局において調剤する機会が多いのなかで特に注意が必要な禁忌(遭遇する機会が多い)と代替薬をまとめました。なお、「重複投薬・相互作用等防止加算の対応②(用量)」に関しては下記をご参照ください。
重複投薬・相互作用等防止加算の対応
服薬指導を行う際には処方された薬剤が下記のような禁忌に該当しないことを患者から聴取し、また、腎機能により減量が必要な薬剤は腎臓が悪いと言われたことがないかを確認し、該当する場合は疑義照会し変更となれば加算を算定します。
なお、禁忌に該当しない場合も該当しないことを薬歴に残すほうがよいでしょう。例(牛乳アレルギーなし、前立腺肥大・緑内障なし)等
①頻用薬の主な禁忌と代替薬例
あくまで下記の薬剤のうち遭遇する機会が多い禁忌を取り上げているにすぎず、禁忌が下記のものしかないという意味ではない点はご注意下さい。
禁忌によっては「既往」を含むものがあり、その場合は「今まで◯◯と言われたことは無いですか」といった話し方をしなければならない点に注意が必要です。
また、代替薬を提案する際は疑義照会前に提案したい代替薬の禁忌に患者が該当しないことを確認しておく必要があります。
薬剤名 | 主な禁忌 | 代替薬例 |
ザジテンDS | てんかん(既往含む) | ゼスラン細粒等 |
タンナルビン | 牛乳アレルギー | アドソルビン |
ラックビーR散 | 牛乳アレルギー | ビオフェルミンR散 |
ポララミン錠、ゼスラン錠、 セレスタミン錠、フスコデ |
緑内障・前立腺肥大 | アレグラ、アスベリン、 メジコン |
カフコデ | 緑内障・前立腺肥大・潰瘍・ 喘息(アスピリン喘息) *1・喘息発作中 |
アスベリン、メジコン |
オゼックス、バクシダール以外のキノロン | 小児 | オゼックス |
キノロン(ウイントマイロン以外) | 妊婦 | ジスロマック |
ナウゼリン | 妊婦 | プリンペラン |
エクセラーゼ・ベリチーム・タフマックE | ウシ、ブタタンパクアレルギー | つくしAM散 |
ペリアクチン散・シロップ | 新生児・喘息発作中 | ゼスラン細粒・シロップ等 |
ロペラミド小児用 | 6ヶ月未満・2歳未満(原則禁忌) | タンナルビン |
NSAIDs、カロナール | 潰瘍・喘息(アスピリン喘息)*1 | 別記事参照 |
アレグラ・クラリチン以外の抗ヒスタミン、カフコデ、ペロリック、 プリンペラン、メジコン、ロペミン等 |
運転*2 | アレグラ、アスベリン、 フェロベリン |
ベルソムラ | クラリス(併用禁忌) | クラリスをジスロマックに |
*1 NSAIDはスルガムなどの一部の薬剤を除き喘息自体が禁忌というわけではないですが、禁忌であるアスピリン喘息を否定するために喘息の有無を聴取します。(過去記事 NSAIDの服薬指導とアスピリン喘息参照)
*2 運転に関しては「眠気が出ることがあるので運転等は避けること」を伝えれば薬を渡すことは可能です。患者がどうしても運転したい場合は代替があれば疑義照会します。
②腎機能により減量が必要な頻用薬と代替例
以下は腎機能により減量が必要な薬剤です。投薬時に腎臓が悪いと言われたことがないかを確認します。該当する場合は血清クレアチニンの値がわかるかで対応が異なります。
血清クレアチニン値わかる場合はクレアチニンクリアランスに応じた減量を提案します。血清クレアチニンがわからない場合は代替薬の提案を検討します。(過去記事 腎機能により減量が必要な薬剤の患者対応参照)
薬剤名 | 代替薬 |
ザイザル、ジルテック | クラリチン |
タミフル | リレンザ・イナビル |
クラビット | ジェニナック(体重40kg以上の場合)*1 |
ガスターなどH2RA(プロテカジン以外) | PPI、プロテカジン |
バルトレックス | なし |
リリカ | なし |
アロプリノール | フェブリク |
*1 ジェニナックは細菌性腸炎や膀胱炎の適応がないため適応により代替不可の場合あり。
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