今回は服薬指導時に「重大な副作用の項目をどの程度説明するのか」、という個人的な考えをまとめました。
処方された薬剤すべての重大な副作用を説明することがベストなのは間違いありませんが、現実的には極めて困難でしょう。
それにもかかわらず重大な副作用が発現した際に薬剤師がその副作用に関して説明していない場合は最悪、訴えられる可能性もあるという薬剤師にとってある種のジレンマのようなものだと感じています。
重大な副作用の服薬指導に対する考え方
各薬剤の多岐にわたる重大な副作用のうち、どれを説明しどれをしないかを個々の薬剤師が考えて服薬指導を行うこととなりますが、私は少なくとも下記の3点は初回服薬指導の際に説明するようにしています。
1.重要な基本的注意に「説明すること」や「注意すること」などに記載があるもの
2.薬剤に特徴的(有名)な重大な副作用
3.アナフィラキシーと薬疹の説明
以下で具体的に説明します。
①重要な基本的注意に「説明すること」や「注意すること」などに記載があるもの
重大な副作用のうち、「重要な基本的注意」の項目で「説明すること」「注意すること」と記載されている場合は服薬指導の際に伝える必要があります。
ガスモチンの「肝障害」やエディロールの「高カルシウム血症」、DPP4阻害薬の「膵炎」などが該当します。
②薬剤に特徴的な重大な副作用
スタチン系薬剤の「横紋筋融解症」やACEIやARBの「血管浮腫」、リザベンの「膀胱炎様症状」、抗精神病薬の「悪性症候群」、バルトレックスの「意識障害」など薬剤に代表的(有名)な副作用は説明する必要があると考えられます。
③アナフィラキシーと薬疹の説明
私は初めて使う薬の場合は「初めての薬なので万一、蕁麻疹や発疹、呼吸が苦しくなるなど合わない場合はすぐ受診してください」などと説明します。
これは、多くの薬の重大な副作用に記載のあるアナフィラキシーの症状や薬疹の一部の症状を説明をしているつもりです。
なお、ジスロマック、セレコックスなどのようにSJSやTENの説明が必要な薬剤は「肌や粘膜のただれ」といった文言を追加しています。
上記以外の重大な副作用についての扱い
上述した以外の重大な副作用に関してはどうするかという点は難しいものがあります。
対応としては「初回以降に順次説明していく」、「各薬剤の患者向け医薬品ガイドの重大な副作用の項目を配布する」など様々考えられますが、実際には説明していない場合が多いかもしれません。
その場合でも、少なくとも患者が何かしらの症状を訴えた際に服用薬の「重大な副作用に該当しないかどうか」は確認する必要があります。
訴えた症状が、重大な副作用の症状に該当し、患者が医師に症状を伝えていない場合は「いつから症状がでているか」、「該当する重大な副作用の他の症状の有無」を確認します。
(例:尿の赤褐色で横紋筋融解症を疑う場合に、いつから症状が出ているかとともに、筋肉痛や手足に力が入らない等の症状の有無を確認する)
次にこれらを踏まえて医師に連絡し、受診が必要かもしくは経過観察でよいか等の指示を仰ぐような対応となるかと思います。
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