今回は2016年4月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
ロキソニンやベタニスの重大な副作用の追加が主な内容となります。
【2016年4月】DSU掲載品目
①ロキソニン等( ロキソプロフェンナトリウム内服剤)【重大な副作用】
重大な副作用に小腸・大腸の狭窄・閉塞が追加となりました。
「小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと」
薬剤師の対応としてはロキソニン処方例の全てにこの副作用を説明するかはなかなか難しいところかと思います。
しかし、少なくともロキソニン服用中(ある程度長期で服用している事例が想定されます)に上記の症状を聴取した際はこの副作用を疑う必要はでてきます。
この際は、患者がこの症状を医師に相談済みかを確認し、伝えてないようであれば「いつから症状があるか」、「最後の排便はいつか」などを確認した上で処方医に連絡し再度受診が必要か経過観察でよいかなどをの指示を仰ぐといった対応が考えられます。
②ラシックス(フロセミド)【重大な副作用追加】
重大な副作用に間質性肺炎が追加となりました。
「咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。」
③ベタニス( ミラベグロン)【重大な副作用追加・【重要な基本的注意追加】
重要な基本的注意に「血圧の上昇があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血圧測定を行うこと。」と記載されました。また、重大な副作用に高血圧が追加となりました。
これは欧州において、投与後に高血圧クリーゼが発現した症例及び高血圧と脳心血管系イベントが併発した症例が報告されたことや国内においても国内外市販後における高血圧症例の集積状況を検討した結果から設定されています。
「血圧の上昇があらわれることがあり、収縮期血圧180mmHg以上又は拡張期血圧110mmHg以上に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。」
薬剤師の対応としては服薬指導の際に血圧が異常に上がるなどが認められた際は受診するように説明するなどの対応が考えられます。
なお、ベタニスの服薬指導に関しては下記の記事をご参照ください。
④セルセプト( ミコフェノール酸モフェチル)【原則禁忌削除→警告追加】
原則禁忌であった 「妊娠する可能性のある婦人」が削除となり、警告に以下の記載が追記されました。
「本剤はヒトにおいて催奇形性が報告されているので、妊娠する可能性のある婦人に投与する際は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与を開始すること。
また、本剤投与前から投与中止後6週間は、信頼できる確実な避妊法の実施を徹底させるとともに、問診、妊娠検査を行うなどにより、妊娠していないことを定期的に確認すること。」
⑤クリアミン( エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン)
併用禁忌に C型慢性肝炎・肝硬変の薬剤であるヴィキラックス配合錠( オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル)が追記となりました。
クリアミンは従来より、アゾール系抗真菌薬やHIVの薬剤などと同様に併用禁忌が非常に多い薬剤のひとつですが肝臓の薬で併用禁忌のものはありませんでした。
しかし今後はクリアミンの服薬指導の際に併用薬として肝臓の薬を聴取した場合はこの薬剤でないことをかを確認する必要があります。
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