今回は「ケトプロフェンテープ(非温感)」と「ケトプロフェンテープ(温感)」の過誤注意についてまとめました。とても重要なのですべての薬剤師が把握しておく必要があります。
モーラステープの一般名は「ケトプロフェンテープ(非温感)」であり、従来では「温感」製剤が存在しなかったため過誤に注意する必要がありませんでした。
ところが、もともと非温感であったケトプロフェンテープ「ラクール」が昨年の秋ごろに添加物に温感成分であるノニル酸ワニリルアミドを加え、「温感製剤」となったため、今後は(非温感)と(温感)の過誤に注意が必要となります。
以前に下記記事でまとめた「ロキソプロフェンNaテープ」同様に温感から非温感への代替調剤ができないため注意が必要です。
ケトプロフェンテープ(非温感)」と「ケトプロフェンテープ(温感)」の商品名
腹立たしいことに商品名や添付文書中に「温感」と記載がなく、商品名だけでは判断できないため過誤を誘発する商品名と言えます。
●【般】ケトプロフェンテープ(非温感):モーラステープ、ケトプロフェンテープ「日医工」など
●【般】ケトプロフェンテープ(温感):ケトプロフェンテープ「ラクール」
添付文書の記載からの温感の判別方法
添付文書の添加物として記載されている「ノニル酸ワニリルアミド」がカプサイシンの誘導体であるため、これが温感の成分となっています。
また、適用上の注意の項目には「入浴の30分以上前にはがす」など、温シップの注意事項が記載されています。
このあたりの記載から温感と判断できるかと思います。
想定される過誤
非温感の処方を、わざわざ温感と間違うケースはあまりないかと思われるため、最も想定されるミスは温感の処方を非温感と誤ってしまうケースかと考えられます。
下記の2通りが想定されます。
1.温感の商品名処方を非温感で代替してしまう
2.温感の一般名処方を非温感として調剤してしまう
1.温感の商品名処方を非温感で代替してしまう
このケースが最も気付きにくいかと思います。
ケトプロフェンテープ「ラクール」の商品名処方を、温感と気づかずに自店舗に在庫がある非温感のジェネリック製剤と代替してしまうケースです。
レセコンでは代替候補として、出てきてしまう場合が多いかと思いますが、ジェネリック同士の「温感」から「非温感」(またはその逆)への代替調剤は制度上できません。
2.温感の一般名処方を非温感として調剤してしまう
【般】ケトプロフェンテープ(温感)の一般名処方を誤って非温感であるロキソニンテープや非温感のジェネリックで調剤してしまうケースです。
過誤防止対策
過誤防止対策としては、下記の2点となります。
・ケトプロフェンテープのジェネリック製剤の商品名処方を代替調剤する場合は、処方されている商品名が「温感」なのか「非温感」なのか、どちらに該当するのかを確認すること。「温感」から「非温感」(またはその逆)への代替調剤は不可。
・ケトプロフェンテープの一般名処方の場合は、処方された一般名の記載が「非温感」か「温感」かを確認すること。
最後に
最後に重要なことは「自分の店舗にはこないだろうと思わないこと」です。
私が発信している過誤注意情報の多くは自分の店舗で実際に遭遇した事例ではなく、過誤を起こすことが想定されそうな内容をまとめているので、私自身も「実際に処方で出ることはないだろうな」と思うこともありますが、そう思っていても実際は割と遭遇し、「でないと思っていたけど、出たね~」ということが割とあります。
冒頭で過去記事として触れたロキソプロフェンNaテープの温感製剤も記事作成時点では処方がありませんでしたが、記事作成2年後に処方が出ましたし、麻薬の一般名処方もこないだろうと思っていたら【般】オキシコドン徐放錠(乱用防止製剤)の処方が来たり、やはり覚えておく必要があります。
一回見ても忘れてしまう場合は、この手の内容は薬剤名称類似ミスのまとめに追記している(この内容も後日追記します)ので、年に2~3回程度は目を通しておくことをお勧めします。
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