外用薬の包装規格に関する過誤防止対策

包装規格に関する過誤防止対策
今回は外用薬の包装規格に関する取り違いの過誤を防止する目的で頻度が多いと想定されるミスを整理してまとめました。特に調剤の経験の浅い新卒の薬剤師の方などは参考になるかと思います。

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1.同一製剤の異なる包装規格との取り違い

同じ商品名でも複数の包装規格が販売されている場合が数多くあり、これらを取り違える可能性を想定しておく必要があります。

外用薬に関しては多くの製剤で複数の包装規格を持つことが多いため、内服よりも外用薬での取り違いのほうが頻度として多数を占めるかと思います。

代表的なものとしては5gと10gなど複数の包装規格を持つチューブ製剤の取り違えが挙げられます。外用薬に関しては基本的に複数の包装規格が存在するものという考えのもと調剤する姿勢が必要です。

また、処方箋の処方量として「1本」等と本数で処方され、かつg数の表記がない場合は必ず添付文書で複数の包装規格がないかを確認する必要があります。

例:ケナログ口腔用軟膏:2gと5g
  デキサルチン口腔用軟膏:2gと5g
  ロコイド:5gと10g
  強力ポステリザン軟膏:2gと30g
  ディフェリンゲル:15gと30g
  ヒルドイドソフト:25gと50g
  ヒルドイドローション:25gと50g
  ウレパールローション:20gと50g
  パスタロンローション:20gと50g

2.1本〇gなどと思い込みがちな包装規格

①1本10mLと思い込みがちな20mLのローション剤

ローション剤には1本が10mL、20mL、30mL、50mLなどの様々な包装規格がありますが、このうち20mLの製剤のものは大きさ的にも10mLと間違いやすい製剤となります。

特にダラシンTゲルやアクアチム軟膏・クリームは1本10gなのに対してこれらのローション製剤は1本20mLのため注意が必要です。

例:ダラシンTローション、アクアチムローション、ウレパールローション(20g)、パスタロンローション(20g)

②1本10gと思い込みがちな15gのゲル剤

1本15gの製剤は大きさ的にも10gと思い込み調剤してしまうケースが想定されます。

特に尋常性ざ瘡の薬剤はダラシンTゲルやデュアック配合ゲルは1本10gのために下記の1本15gの製剤を10gと思い込み調剤してしまうリスクがあります。

例:エピデュオゲル、ディフェリンゲル、ベピオゲル

③20gと25gチューブの取り違い

外用製剤にはクリームと軟膏などの剤形や規格(%)により包装規格が異なる製剤があります。

例:ヒルドイドクリーム20gとヒルドイドソフト軟膏25g
  パスタロンクリーム及びソフト軟膏10%製剤1本「20g」と20%製剤1本「25g」
  アセチロールクリーム及び軟膏10%製剤1本「20g」と20%製剤1本「25g」

④眼軟膏製剤の3g、3.5g、5gの取り違い

眼軟膏製剤には包装規格が1本3g、3.5g、5gの3種類存在しており、どれに該当するかは薬剤により異なっています。このうちほとんどの製剤は3.5gまたは5gでありネオメドロールEE軟膏だけ3gとなっています。

これらのg数を混同したミスが想定され、特に処方箋のg数自体が間違っており、見逃して調剤してしまう事例が多いため注意が必要です。

なお、プレドニン眼軟膏が1本5gなことに対して、ジェネリックである「酢酸プレドニゾロン眼軟膏T」は1本3.5gという異なる包装規格となっています。

1本3gの眼軟膏:ネオメドロールEE軟膏
1本3.5gの眼軟膏:エコリシン、サンテゾーン、タリビッド、酢酸プレドニゾロン0.25%眼軟膏T等
1本5gの眼軟膏:ゾビラックス、フラビタン、プレドニン、D・E・X等

⑤1本5mLと思い込みがちな2.5mLの点眼薬

多くの点眼薬は1本5mLですが、緑内障の1日1回の薬剤は1本2.5mLとなるため、調剤や監査の際は本数に注意が必要です。

なお、これは1日1回の用法の点眼薬は5mLだと1カ月で使い切れないため、衛生的に問題となることから2.5mLの形態となっていると考えられます。

プロスタグランジン製剤 ()内は配合剤
・キサラタン点眼液(ザラカム・ミケルナ)
・トラバタンズ点眼液(デュオトラバ配合点眼液)
・ルミガン点眼液
・タプロス点眼液(タプコム)

β遮断薬の「持続性」点眼液
・チモプトールXE、リズモンTG
・ミケランLA

1日1回の用法だが5mLの薬剤

ミロル点眼薬やミドリンM点眼液などは1日1回の用法で使う場合が多いですが、例外的に5mLの形態となっています。

過誤防止対策

これらの過誤の原因は注意が必要な包装に対して「つい勘違いして見落としてしまう」という「意識」による部分が大きいかと思います。

そのため、これらを防止する対策としては「注意が必要な包装規格であること」を明確に意識させる調剤もしくは監査投薬手順を踏むことが有用です。

10mLと思い込みがちな20mLのローション剤の例で考えてみます。

投薬の場合

例えば、ダラシンTローション、アクアチムローションの投薬の際に患者に対して「1本20mLなので80mL処方で4本分です」と1本のmLが明確に確認できるように本数確認を行うことを「調剤内規」で明記してしまう方法があります。

調剤の場合

これらでも防止できない場合は調剤頻度にもよりますが、該当の薬剤を調剤する場合は「ユニパック(1本の場合でも)に入れて監査にまわす」などの方法も考えられます。

服薬指導の考え方・教育過誤対策
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