コロネル・ポリフルの服薬指導

コロネル・ポリフルの服薬指導
今回はコロネル・ポリフルの服薬指導をまとめました。

あまり認知されていませんが、中等度の腎障害から禁忌となるため、服薬指導の際に腎機能障害の有無を確認する必要があります。

また、錠剤だけでなく細粒も、服用後に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性があるので、十分量(コップ1杯程度)の水とともに服用させる必要があります。

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コロネル・ポリフルの概要

服薬指導難度

効能

過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状

用法・用量

通常、成人にはポリカルボフィルカルシウムとして1日量1.5~3.0g(錠:3~6錠、細粒:1.8~3.6g)を3回に分けて、食後に水とともに経口投与する。

名前の由来

コロネルは大腸(Colon)にはたらき、便秘と下痢の釣り合いをとる(Equilibrate)という意味から、コロネルColonel)と命名されています。

ポリフルは一般名であるポリカルボフィルカルシウムからポリフルと命名されています。

コロネル・ポリフルのカルシウム含有量

ポリカルボフィルカルシウム1.0g中にカルシウムとして約200mg含有されています。

コロネル・ポリフルの服薬指導で確認すること

①高カルシウム血症の有無【禁忌】

高カルシウム血症を助長するおそれがあり禁忌となるため、カルシウムの値が高いと言われていないか確認します。

これは動物実験(ラット、経口)においてポリカルボフィルカルシウムの投与により乳酸カルシウム投与時と同程度にカルシウムが吸収されることが確認されているため設定されています。

②結石(腎結石)の有無【禁忌】

腎結石が禁忌となるため結石の有無を確認します。

これはカルシウム剤と同様に腎結石症の悪化、腎の石灰化並びに尿管結石を誘発するおそれがあるため設定されています。

なお、製薬会社に確認したところ、腎結石以外の尿管結石や膀胱結石は禁忌ではないようです。

③腎機能障害の有無【禁忌】

腎不全(軽度及び透析中を除く)が禁忌であるため、腎臓が悪いと言われたことがないか確認します。

「腎不全」と記載があるため、一見するとクレアチニンクリアランス30未満の重度腎障害をイメージしがちですが、実際はインタビューフォームに下記の記載があり、中等度の腎障害から禁忌に該当するため注意が必要です。

そのため、腎臓が悪いと言われている場合は血清クレアチニンと体重を聴取しクレアチニンクリアランスを計算します。50未満であれば禁忌となるため、疑義照会対象となります。

軽度腎不全のめやすとしては、第Ⅰ期(Seldin分類:腎予備能減少期:腎機能は50%以上で、排泄機能は維持され、血中溶質の蓄積は生じない)の症例が該当すると考えられるので、第Ⅱ期から第Ⅳ期については透析中の患者を除いて禁忌である。

なお、コロネルの製薬会社に確認したところ、この上記の「腎機能」の指標に関しては「クレアチニンクリアランス」とのことでした。

透析中の場合

透析中の患者は禁忌ではなく慎重投与となっています。

これは透析患者は、高リン血症を起こす可能性があり、その予防及び治療を目的としてカルシウム剤が投与されており、カルシウムの血中濃度チェックが行われることから、カルシウムの過剰は防止できると考えられることが理由となっています。

④胃のpHを上げる薬剤の有無【併用注意】

本剤は酸性条件下でカルシウムが脱離して薬効を発揮するため、PPIやH2RA、制酸剤などの胃内pH上昇作用によりカルシウムの脱離が抑制され、効果が減弱する可能性があるため確認します。

ポリカルボフィルカルシウムのカルシウム脱離にはpH依存性がみられ、pH4.1では95%、pH5.1では74%、pH6.1では24%のカルシウム脱離が確認されています。

制酸剤の場合

制酸剤服用後、胃内pHが4以上を示す時間は投与後のおよそ10分であることから、先に制酸剤を服用し1時間程度経過すれば、ポリカルボフィルカルシウムの併用は問題ないと考えられています。

ポリカルボフィルカルシウムは酸分泌が最も盛んな食後に投与することが、最も有効であると考えられるため、食後からずらしにくいので、可能であれば制酸剤を食前(ポリカルボフィルカルシウム服用までに1時間おける間隔)に服用するのがよいかと思います。

H2RAの場合

H2RA内服後の胃内pHの経時変化の測定結果によると深夜から朝食前の胃内pHは高くなる傾向をしめしたものの、朝食後から日中、夕食後にかけては胃内のpHが4以上になることは少ないため、H2RAもポリカルボフィルカルシウムも食後同時服用で問題ないと考えられています。

PPIの場合

PPIに関しては作用が持続的であり、服用により1日を通してpH4を越えるため、ポリカルボフィルカルシウムの作用は減弱する可能性が高いと考えられています。

⑤カルシウム剤の併用の有無

ポリカルボフィルカルシウム1.0g中にカルシウムとして約200mg含有しているため、3錠(1.5g)でカルシウムが約300mg、6錠(3.0g)で約600mgとなります。

動物実験においてポリカルボフィルカルシウムの投与により乳酸カルシウム投与時と同程度にカルシウムが吸収されることが確認されているため、乳酸カルシウムのカルシウム含有量と比較します。

乳酸カルシウムは1gにカルシウムとして130mg含有するため、ポリカルボフィルカルシウム6錠(3g)は乳酸カルシウムとして、およそ4.6gに相当する量となります。

これはポリカルボフィルカルシウムのカルシウムが全て脱離した場合の計算であるため、胃内の酸性度が弱まっている場合は少なくなると考えられますが、少ない量ではないのでカルシウム剤と併用する場合は少なくとも高カルシウム血症の説明をしたほうがよいかと思います。 

コロネル・ポリフルの服薬指導で伝えること

①コップ1杯程度の多めの水で服用すること【用法及び用量に関連する使用上の注意】

服用の際に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性があるため、コップ1杯程度の多めの水で服用することを説明します。

錠剤だけの注意かと思われがちですが、細粒でも同様の記載となっています。

これは外国でコロネル錠より大きいポリカルボフィルカルシウム錠(FiberCon®※;長径:約19mm、短径:約8mm)を喉に詰まらせ死亡した症例が1例報告されていることから、設定されています。

服用時:本剤は、服用後に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性があるので、十分量(コップ1杯程度)の水とともに服用させること

②食後を守ること

本剤はカルシウムが脱離して十分な薬効を発揮することから、酸分泌が最も盛んな食後に投与することが、最も有効であると考えられるため、食後を守ることを説明します。

③高カルシウム血症の説明(カルシウムなどの併用がある場合)

カルシウムなどの併用がある場合は高カルシウム血症の説明をしたほうがよいかもしれません。症状に関してはコロネル・ポリフルの添付文書には記載が無いためエディロールなどを参考にするのがよいかと思います。

けん怠感、いらいら感、嘔気、口渇感、食欲減退、意識レベルの低下等認められた場合は受診するよう説明します。

なお、「意識レベルの低下」は実際に患者に説明する場合は「ボーっとする」などと表現するのがよいかと思います

コロネル・ポリフルの服薬指導薬歴例

S)過敏性腸症候群
O)併用なし、結石、高カルシウム血症なし、腎臓悪いといわれたことなし
A)コップ1杯程度の多めの水で服用すること、食後を守ること説明。

【カルシウムなどの併用がある場合】
けん怠感、いらいら感、嘔気、口渇感、食欲減退、意識レベルの低下出る場合は受診指示。

P)状態確認

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