グーフィスの服薬指導

グーフィスの服薬指導
今回は2018年4月に発売された新しい作用機序の慢性便秘症の薬剤であるグーフィス(エロビキシバット)の服薬指導をまとめました。

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グーフィスの特徴(エロビキシバット)

慢性便秘症を効能とする世界初の胆汁酸トランスポーター阻害剤です。

回腸における胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制し、大腸内の胆汁酸量を増加させます。

大腸に流入した胆汁酸により、水分分泌と大腸運動促進の2つの作用で排便効果を促すとされ、自然な排便を促すことが期待されています。

特に添付文書に記載があるわけではありませんが、位置づけとしては、第一選択薬ではなく他の便秘治療薬で効果不十分な場合に使用する薬剤となります。

投与方法は1回2錠(10mg)を1日1回食前経口投与であり、用量の適宜増減(最高用量 15㎎/日)が可能とされています。

グーフィス(エロビキシバット)の概要

服薬指導難度

効能

慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

包装・規格

グーフィス錠5mg:100錠(PTP)、500錠(PTP)

用法・用量

通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
本剤投与中は腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので、症状に応じて減量、休薬又は中止を考慮し、本剤を漫然と継続投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。

名前の由来

Good (優れた)とFeces (便)の組み合わせから命名されています。

指導せん

「グーフィス錠5mgを服用される患者さんへ」というタイトルの「冊子タイプ」の指導せんと「綴りタイプ」の指導せんがあります。

どちらの指導せんにも「腹痛や下痢があらわれることがあります。異常がみられたら速やかに医師・薬剤師に連絡(綴りタイプは「連絡」でなく「相談」という記載)してください」といった記載があります。

個人的には、この記載は程度の言及がないのと「速やかに」という文言があるため、やや過剰な印象があります。

冊子タイプにはこれに加えて、「軽度の腹痛が起こることがあります。大半は、その後に消失・軽減することが多い」、「長期に腹痛が改善しない場合、激しい腹痛時には医師・薬剤師に相談して下さい」といった腹痛に関する内容が記載されています。

「綴りタイプ」であれば腹痛や下痢が現れたら程度にかかわらず速やかに相談するような記載であるため使いにくく、冊子タイプであれば、下痢に関しては「綴りタイプ」とほぼ同様の記載ですが、腹痛に関しては「続く場合やひどい場合は相談」といった記載であるため、使う場合は冊子タイプのほうが良い気がします(そもそも記載内容が統一されていないことが問題点ですが)。

グーフィスの服薬指導で確認すること

①用法が食前であることの確認【用法】

用法が「食前」であるため、食後や寝る前で処方がきたら疑義照会対象となります。

「食後」でなく「食前」の理由

「食後」でなく「食前」の理由はグーフィスの薬理作用に由来しています。

グーフィスは回腸における胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制し、大腸内の胆汁酸量を増加させることにより作用を示します。

胆汁酸は食事をすることにより多く分泌されるため、その前の食前のタイミングにグーフィスを服用しておいたほうがより効果的と考えられています。

「食事なし」と「食前」のAUC比較

「食事なし」の場合のAUCは「食前」と比べて3〜4倍に増加してしまいます。

ただし、グーフィスは回腸末端の胆汁酸トランスポーターへ直接作用し、体内への吸収はわずかであることや、食事の有無で胆汁酸の出具合も異なるため、このAUCがそのまま効果に反映するわけではないかと思います。

日本人慢性便秘患者60名を対象に、クロスオーバー法で、本剤単回経口投与後の食事摂取の有無による薬物動態への影響を評価した。食前投与時のCmax及びAUC0-∞は、食事非摂取時の約20~30%であった。

②食事を抜くことが多いかの確認

食事非摂取時はAUCが増大するため、該当の用法で食事を抜くことが多い場合は、食事を抜かない服用時点への変更を疑義照会したほうがよいかと思います。

例えば「朝食前」で処方がされた際に、朝食を抜くことが多いが昼食と夕食は必ず食べることを聴取した場合は、患者に昼と夕どちらが飲みやすいかを確認したうえで、疑義照会します。

グーフィスの服薬指導で伝えること

①食前を守ることの説明【用法】

前述してますが、食後や食事なしの場合は期待される効果が変わる可能性があるので、食前を守ることを説明します。 

なお、飲み忘れた場合は食後ではなく、次の食前に飲むように指導せんに記載されています。

②下痢・腹痛の説明【副作用】

主な副作用は腹痛120例(19.0%)、下痢99例(15.7%)であるため説明します。

指導せんの記載がやや過剰なため、どの程度で受診するように伝えるかが難しいところかと思います。

冊子タイプの指導せんに従うのであれば、腹痛に関しては続く場合やひどい場合には受診するように伝え、下痢に関しては程度には言及せずに、すぐ連絡するように伝える対応となるかと思います。

一応、すぐ連絡するように伝える場合は、「減量などする場合があるので」と一言加えたほうがよいかと思います。

グーフィスの服薬指導薬歴例

S)便秘
O)食事抜くことない
A)食前を守ること説明。
腹痛続く場合やひどい場合は受診指示。下痢にまでなってしまう際は減量などする場合があるので、すぐ連絡するよう指示。
P)副作用確認

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