新薬承認情報【2018年春】

新薬承認情報【2018年春】
今回は2018年春の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

今回は新しいMAO-B阻害剤が販売されたことが相互作用の面から重要かと思います。MAO-B阻害剤は併用禁忌が非常に多く、エフピー以外に新たにMAO-B阻害薬が発売されたことを認識しておかないと併用禁忌を見落としてしまう可能性があるため注意が必要です。

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①アジレクト錠(ラサギリン)

パーキンソン病を効能とする本邦2剤目の(MAO-B)阻害剤です。

既承認のエフピー(セレギリン)と異なり、アンフェタミン骨格を有さないため覚せい剤原料に該当しないとされています。

MAO-B阻害薬はほとんどすべての抗うつ薬が併用禁忌になるなど非常に併用禁忌が多いため、エフピー以外に新たにMAO-B阻害薬が発売されたことを認識しておかないと併用禁忌を見落としてしまうため注意が必要です。

特に相手薬側の添付文書は遅れて改訂されるため、当面相手薬側の併用禁忌の記載が「モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 セレギリン塩酸塩(エフピー)」といった記載となるため、アジレクト併用時にアジレクトの添付文書を確認しないと見落としてしまうという過誤が想定されます。

そのため、必ずアジレクト側の添付文書も確認する必要があります。

エフピーからアジレクトに切り替えの際の注意

MAO-B阻害薬の併用禁忌は切り替えの際に日にちをおく必要があり、特に見落としがちな例としてエフピーからアジレクトに切り替えがあげられます。

同効薬なので間隔を置かず切り替えてしまう過誤が想定されますが、14日間の間隔が必要であるため注意が必要です。

②オルケディア錠(エボカルセト)

「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」を効能とする本邦2剤目のカルシウム受容体作動薬です。

既存薬のレグパラ(シナカルセト)では上部消化管障害の副作用やメジコンのAUCを11倍上昇させるなど強いCYP2D6 阻害作用を有するため 、三環系抗うつ薬やブチロフェノン系抗精神病薬等の血中濃度を上昇させる可能性がありこの点が問題となっていました。

オルケディアはレグパラと比べ、CYP 分子種に対して強い阻害作用を示さなかったことや上部消化管に対する副作用を軽減できる可能性が期待されています。

名前は「オーケストラのように PTH、P、Ca の調和を取りながらコントロール可能にする 、経口の(Oral)の透析(Dialysis)患者への薬剤」から名付けられています。

③スージャヌ配合錠(イプラグリフロジン/シタグリプチン)

スーグラ(イプラグリフロジン)とジャヌビア(シタグリプチン)の合剤です。

原則として以下の場合に使用を検討することとされています。

・既にシタグリプチン50mg 1 日 1 回及びイプラグリフロジン50mg 1 日 1 回を併用し状態が安定している場合
・シタグリプチン50mg 1 日 1 回の単剤治療により効果不十分な場合
・イプラグリフロジン50mg 1 日 1 回の単剤治療により効果不十分な場合

④ラパリムスゲル(シロリムス)

「結節性硬化症(TSC)に伴う皮膚病変」を効能とする世界初の医薬品です。なお、錠剤はすでに2014年にリンパ脈管筋腫症の効能で販売されています。

TSCは国内患者数15,000人前後とされる難病であり、遺伝子の異常により過剰な細胞増殖などが引き起こされ全身に過誤腫などが形成されます。

なかでも皮膚病変はTSCの90%以上に認められるとされています。

⑤シベクトロ錠(テジゾリド)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を適応菌種とする既存薬のザイボックス(リネゾリド)同様のオキサゾリジノン系抗菌剤で錠剤と注射剤の2剤形販売されます。

適応症は「深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」です。

⑥オゼンピック皮下注(セマグルチド)

2型糖尿病を効能とする週1回投与のGLP-1アナログ製剤です。

週1回投与のGLP-1アナログ製剤はトルリシティ、ビデュリオンにつぎ3剤目です。

胃腸障害低減のため漸増の投与方法となっており、週1回0.25mgから開始し、4週間投与した後、週1回0.5mgに増量する用法となっています。

名称の由来は特にないようです。

⑦シングリックス筋注用(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン)

帯状疱疹の予防を目的とした世界で初めての生ワクチンとは異なるサブユニットワクチン(免疫獲得に必要な抗原のみを含むワクチン)です。

⑧ドボベットゲル【剤形追加】

ドボベット軟膏の新剤形としてゲル製剤が販売されます。

尋常性乾癬の好発部位の一つとされる頭部の有毛部位等へ塗布しやすい剤形により、利便性の向上とアドヒアランスの改善が期待されます。

ゲル製剤の存在を認識していないと、ドボベットゲルの処方が来た際に誤って軟膏製剤を調剤してしまう過誤が想定されるため注意が必要です。

新薬DSU等の解説
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