
今回は整腸剤の薬剤名称類似ミスについてまとめました。
整腸剤は「商品名処方」の場合は比較的名称の区別がつきやすい製剤が多いですが、「一般名処方」では同一菌種の含有量の違いで製剤が異なり、かつ「商品名に%やmgの記載がない」ため認識していないと過誤を起こしやすい製剤となっています。
整腸剤は現在は牛乳アレルギーが禁忌の製剤は存在しないため、実際に過誤を起こし服用してしまった場合のリスクは小さくなっていますが、それが過誤を起こしてもいいということにはならないので名称の違いを認識しておく必要があります。
・厚生労働省の一般名処方マスタに収録されている一般名は名称を赤色にしています。
・後発医薬品が存在しない薬剤など、一般名処方マスタにない薬剤は名称を青色にしています。この場合は製薬会社やレセコン会社が提供している一般名を記載しているため、一般名処方マスタに収録されているものと比べてレセコンにより一般名が異なってくる可能性が高くなります。
なお、今回の内容は、下記の「薬剤名称ミスのまとめ」に後日追記予定となります。
一般名処方で過誤リスクが高い整腸剤
①「【般】耐性乳酸菌散0.6%」と「【般】耐性乳酸菌散1%」と「【般】耐性乳酸菌散1.8%」
●【般】耐性乳酸菌散0.6%:ビオフェルミンR散
●【般】耐性乳酸菌散1%:ラックビーR散
●【般】耐性乳酸菌散1.8%:レベニン散
耐性乳酸菌散は%違いで別製剤が存在しているので、自薬局で採用があるものだけしか認識していないと一般名処方で他の濃度の処方が来た際に誤って自店の耐性乳酸菌散製剤を調剤してしまう過誤が想定されます。
②「【般】耐性乳酸菌錠6mg」と「【般】耐性乳酸菌錠18mg」
●【般】耐性乳酸菌錠6mg:ビオフェルミンR錠
●【般】耐性乳酸菌錠18mg:レベニン錠
調剤頻度が多いのは6mg製剤のビオフェルミンR錠かと思いますが、18mg製剤としてレベニン錠が存在しています。認識していないと「【般】耐性乳酸菌錠18mg」の処方時に誤ってビオフェルミンR錠を調剤してしまう過誤が想定されます。
③「【般】ビフィズス菌散1%」と「【般】ビフィズス菌散1.2%」と「【般】ビフィズス菌散2%」
●【般】ビフィズス菌散1%:ラックビー微粒N
●【般】ビフィズス菌散1.2%:ビオフェルミン散剤
●【般】ビフィズス菌散2%:ビフィスゲン散
調剤頻度が多いのは1%製剤であるラックビー微粒Nですが、%違いで別製剤が存在するので注意が必要です。
④【般】「ビフィズス菌錠10mg」と「ビフィズス菌錠12mg」
●【般】「ビフィズス菌錠10mg」:ラックビー錠
●【般】「ビフィズス菌錠12mg」:ビオフェルミン錠剤
商品名にmg数の記載がなく、含有量が違うという認識が薄く見落としがちであり注意が必要です。
⑤「【般】糖化菌・ラクトミン配合散」と「【般】ビフィズス菌・ラクトミン配合散」
●【般】糖化菌・ラクトミン配合散:ビオフェルミン配合散
●【般】ビフィズス菌・ラクトミン配合散:ビオスミン配合散、レベニンS配合散
一般名の後半部分の「ラクトミン配合散」の部分が共通しているため、両者を認識しておらず、単にラクトミン含有の2種配合剤という認識でいると過誤を起こす可能性があります。
商品名処方で過誤リスクが高い整腸剤
整腸剤は多くのものが一般名処方での過誤リスクが高い製剤ですが、一部では商品名が類似しており過誤リスクが高い製剤が存在します。
①「ビオフェルミン配合散」と「ビオフェルミン散剤」
●糖化菌・ラクトミン配合散:ビオフェルミン配合散
●ビフィズス菌散1.2%:ビオフェルミン散剤
ビオフェルミン散剤はビオフェルミン錠剤の剤型追加として2022年12月に発売されました。
従来からある「糖化菌+ラクトミン」が成分であるビオフェルミン配合散との過誤が起こることが容易に想像されます。
存在を認識していないと、「ビオフェルミン散剤」の処方の際に、従来から存在し自店舗に在庫のある「ビオフェルミン配合散」で調剤してしまうという過誤が起こります。
②「レベニンS配合散」と「レベニン散」
●【般】ビフィズス菌・ラクトミン配合散:ビオスミン配合散、レベニンS配合散
●【般】耐性乳酸菌散1.8%:レベニン散
ビオフェルミンの場合は「R」の文字が付くと耐性製剤であるため、レベニンも「S」の文字が付いている方が耐性かと思われがちですが、レベニンは「S」が付かないほうが耐性製剤であるため注意が必要です。
抗生剤+レベニン散の処方の際に「レベニンS配合散」で調剤してしまう過誤などが想定されます。
なお、「S」の文字は非耐性乳酸菌を明示するための「STANDARD」の頭文字「S」に基づいています。
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