
2025 年1月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回は調剤頻度は多くないかと思いますが、店舗で扱いがあるようであればクロルマジノンやメドロキシプロゲステロンの髄膜腫についての内容は把握しておく必要があるかと思います。
①SGLT2 阻害剤【重要な基本的注意】
「重要な基本的注意」の項に、投与中止後の尿中グルコース排泄及びケトアシドーシスの遷延に関する注意が追記されました。
<重要な基本的注意>
本剤を含むSGLT2 阻害剤の投与中止後、血漿中半減期から予想されるより長く尿中グルコース排泄及びケトアシドーシスが持続した症例が報告されているため、必要に応じて尿糖を測定するなど観察を十分に行うこと。
②エンタイビオ皮下注ペン・シリンジ(ベドリズマブ)【重大な副作用】
「重大な副作用」に「間質性肺疾患」が追記となりました。
<重大な副作用>
間質性肺疾患(頻度不明)
間質性肺疾患(間質性肺炎、好酸球性肺炎等)が報告されているので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部 X 線、胸部 CT、血清マーカー等の検査を実施すること。
間質性肺疾患が疑われた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
③クロルマジノン酢酸エステル(プロスタール、ルトラールなど)【重要な基本的注意】
「重要な基本的注意」に「髄膜腫についての注意」が追記されました。
<重要な基本的注意>
クロルマジノン酢酸エステルの投与後に髄膜腫が報告されている。
本剤投与中は、頭痛、運動麻痺、視力視野障害、脳神経麻痺、けいれん発作、認知機能の変化等の髄膜腫を示唆する症状に注意し、必要に応じて画像検査を実施すること。
髄膜腫と診断された場合は本剤の投与中止を検討すること。投与中止後に髄膜腫が縮小した症例が報告されている。
今回の改訂により、今後は服薬指導の際に頭痛、筋肉の異常、視力異常などが現れた場合には受診するよう伝える必要があるかと思います。なお、具体的な症状については患者向医薬品ガイドに記載されています。
<患者向医薬品ガイド>
・この薬の使用後に髄膜腫があらわれることがあります。
頭痛、運動まひ(運動や感覚の機能が低下するなど)、視力視野障害(文字や形がみえにくい、視野の異常など)、脳神経まひ(上手くしゃべれないなど)、けいれん発作(顔や手足の筋肉がぴくつく、意識の低下、手足の筋肉が硬直しガクガクと震えるなど)、認知機能の変化(いつもできていたことがうまくできないなど)などの症状があらわれた場合には、ただちに医師に連絡してください。画像検査が行われることがあります。
④メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(ヒスロン、プロベラなど)【重要な基本的注意】
クロルマジノン同様に「重要な基本的注意」に髄膜腫についての注意が追記されました。
<重要な基本的注意>
メドロキシプロゲステロン酢酸エステルの投与後に髄膜腫が報告されている。
本剤投与中は、頭痛、運動麻痺、視力視野障害、脳神経麻痺、けいれん発作、認知機能の変化等の髄膜腫を示唆する症状に注意し、必要に応じて画像検査を実施すること。
髄膜腫と診断された場合は本剤の投与中止を検討すること。投与中止後に髄膜腫が縮小した症例が報告されている。
⑤【重要な基本的注意】
・ゾコーバ(エンシトレルビル)
・ラゲブリオ(モルヌピラビル)
ゾコーバやラゲブリオはもともと妊娠が禁忌であり、指導せんなどでも妊娠する可能性のある女性への投与に関する注意事項が記載され、注意喚起されていた印象ですが、本剤投与後に妊娠していることが判明した事例の報告が続いていることから、「重要な基本的注意」に下記が追記されました。
<重要な基本的注意>
妊娠する可能性のある女性への投与に際しては、本剤投与の必要性を十分に検討すること。また、投与が必要な場合には、次の注意事項に留意すること。
本剤投与開始前に十分な問診により患者が妊娠していないこと及び妊娠している可能性がないことを確認すること。
次の事項について、本剤投与開始前に患者に説明すること。
・妊娠中に本剤を服用した場合、胎児に影響を及ぼす可能性があること。
・本剤服用中に妊娠が判明した又は疑われる場合は、直ちに服用を中止すること。
・本剤服用中及び最終服用後 2 週間における妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに医師、薬剤師等に相談すること。
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