今回は2018年11月発売の「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」を効能とする選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤の新薬であるベオーバの服薬指導をまとめました。
なお、同じ作用機序の薬剤としてはベタニスが存在しています。
ベオーバの特徴とベタニスとの違い
ベオーバの特徴は禁忌、重要な基本的注意が少なく、ベタニスのような減量基準や「生殖可能な年齢の患者への投与はできる限り避けること」という警告もなく、「注意点が少ない」という点が大きな特徴だと思います。
ベタニスの添付文書と見比べてみると、ベオーバのほうが禁忌、重要な基本的注意が明らかに少なく良い薬剤という印象があります。
服薬指導もベタニスと比べて簡単です。

過活動膀胱の適応を有する抗コリン剤との併用は可能か?
類薬のベタニスではベシケアなどの過活動膀胱の適応を有する抗コリン剤との併用は、「重要な基本的注意」の項目に記載されていますが、ベオーバでは添付文書上記載がありません。
製薬会社に確認したところ、海外でデトルシトール(トルテロジン)との併用試験はされているようで、安全性も問題なかったとのことで、製薬会社としては併用可能との認識のようでした。
ベオーバ(ビベグロン錠)の概要
服薬指導難度
効能
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
<効能・効果に関連する使用上の注意>
本剤を適用する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌などの下部尿路における新生物等)があることに留意し、尿検査等により除外診断を実施すること。なお、必要に応じて専門的な検査も考慮すること。
包装・規格
ベオーバ錠50mg
PTP包装:100錠(10錠×10)、140錠(14錠×10)
用法・用量
通常、成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。
名前の由来
「Beta 3 agonist for the patient with Overactive bladder」の語句のうち「Beta」と「Overactive」から抜き出しBeOvaと命名されています。
指導せん
べオーバの服薬指導で確認すること
①食事を抜くことが多いかの確認【用法】
添付文書上の用法が食後であり、食事非摂取時はAUCが増大するため(後述)、該当の用法で食事を抜くことが多い場合は、食事を抜かない服用時点への変更を疑義照会したほうがよいかと思います。
例えば「朝食後」で処方がされた際に、朝食を抜くことが多いが昼食と夕食は必ず食べることを聴取した場合は、患者に昼と夕どちらが飲みやすいかを確認したうえで、疑義照会します。
ベオーバの服薬指導で伝えること
①食後を守ること【用法】
添付文書上の用法が食後であり、空腹時投与の場合にはAUCが増大するため食後を守ることを説明します。
空腹時投与の場合はCmaxが1.73倍、AUCが1.40倍となります。
<食事の影響>
空腹時に投与したときのCmax及びAUCinfは、食後投与したときに比べ、それぞれ1.73及び1.40倍であったが、tmax及びt1/2に影響は認められなかった。
②尿閉の注意【重大な副作用】
ベオーバに限りませんが、過活動膀胱の薬剤は重大な副作用として尿閉の記載があるため説明しておいたほうがよいかと思います。
単に副作用として説明するよりも、作用の延長線上として「効きすぎて尿が出なくなる場合はすぐに受診してください」といった説明の仕方がよいかと思います。
ベオーバの服薬指導薬歴例
S)トイレが近い
O)食事を抜くことがない
A)食後を守るよう説明。効きすぎて尿が出なくなる場合はすぐ受診指示。
P)状態確認
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