今回は2018年5月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回は従来抗精神病薬などと併用禁忌であったアドレナリン製剤が、「アドレナリン製剤をアナフィラキシーの救急治療に使用する場合」は併用禁忌から除外されることとなったことが主な内容となります。
①ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬【併用禁忌】
従来はアドレナリンであれば用途を問わず併用禁忌であったのが、今回の改訂で「アナフィラキシーの救急治療に使用する場合」は併用禁忌から除外されました。
これにより、今後は抗精神病薬服用患者にエピペンが処方された場合に併用禁忌に該当することなく使用可能となります。
<併用禁忌>
「アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)」
なお、耳鼻科などから処方されることがあるアドレナリン製剤であるボスミン外用液に関してはアナフィラキシーの救急治療の用途ではないので従来通り、抗精神病薬やα遮断薬などと併用禁忌となります。
②エピペン(アドレナリン)
従来では併用禁忌であった下記薬剤が併用注意に変更となりました。
<併用注意>
「抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)、α遮断薬」
③ボスミン外用液(アドレナリン)【併用禁忌】
併用禁忌に「多元受容体標的化抗精神病薬(セロクエル等)ドパミン受容体部分作動薬(エビリファイ)」が追記となりました。
なお、相手薬側の添付文書にはすでに記載されています。
④マリゼブ、オングリザ、ザファテック(オマリグリプチン、サキサグリプチン、トレラグリプチン)【重大な副作用】
重大な副作用に類天疱瘡が追加となりました。
「類天疱瘡があらわれることがあるので、水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。」
⑤レキサルティ錠(ブレクスピプラゾール)【重要な基本的注意】
「重要な基本的注意」に病的賭博に関する記載が追記となりました。
「原疾患による可能性もあるが、本剤投与後に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれたとの報告がある。
衝動制御障害の症状について、あらかじめ患者及び家族等に十分に説明を行い、症状があらわれた場合には、医師に相談するよう指導すること。
また、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。」
⑥リピトール(アトルバスタチン)【併用禁忌】
併用禁忌にマヴィレット(グレカプレビル・ピブレンタスビル)が追記となりました。
なお、マヴィレット側の添付文書にはすでに記載されています。
⑦ゼチーア(エゼミチブ)【重要な基本的注意】
フィブラート系薬剤との併用に関する注意喚起について,従来では「有効性及び安全性が十分に確認されておらず,併用しないことが望ましい」とされていましたが、今回の改訂で「使用経験が限られている.併用する場合は,胆石症などの副作用の発現に注意すること」に変更となりました。
⑧サーティカン、アフィニトール (エベロリムス)【併用注意】
併用注意にヴィキラックス(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)が追記となりました。併用禁忌ではなく、併用注意ですがAUCが27倍に上昇するため疑義照会対象となります。
なお、ヴィキラックス側の添付文書にはすでに記載されています。
〔臨床症状・措置方法:本剤のAUCが27倍、Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告がある。
やむを得ない場合を除き併用は避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤の血中濃度をモニタリングするなど患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。機序・危険因子:リトナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。〕」
⑨各種抗生剤【効能又は効果に関連する使用上の注意】
各種抗生剤に下記が追記となります。
「咽頭・喉頭炎 (注)、扁桃炎 (注)、急性気管支炎 (注)、感染性腸炎 (注)、副鼻腔炎 (注)への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。」
(注)承認を有する製剤のみ
〈参考〉厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
URL http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000166612.pdf
⑩エンブレル皮下注 25mg ペン 【用法・用量に関連する使用上の注意】
従来のエンブレル皮下注 50mg ペンに加えて、エンブレル皮下注 25mg ペンの剤形追加に伴い、週 2 回投与が可能となるため、週 2 回投与の際の投与間隔に関する注意事項が追記されました。
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
本剤を週に 2 回投与する場合は、投与間隔を 3〜4 日間隔とすること。
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