マヴィレットの服薬指導

マヴィレットの服薬指導
今回は2017年11月に発売されたC型慢性肝炎の治療剤であるマヴィレット配合錠(グレカプレビル・ピブレンタスビル配合剤)の服薬指導をまとめました。

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マヴィレット((グレカプレビル・ピブレンタスビル)の特徴

セログループ 1 (ジェノタイプ 1 )又はセログループ 2 (ジェノタイプ 2 )のC型慢性肝炎に対しては、本邦初となる最短 8 週間治療が可能であることが大きな特徴となります。

また、重要な基本的注意の項目も少なく説明する項目が少ないため、そういった意味でも使いやすい薬剤かと思います。

マヴィレット配合錠(グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル配合剤)の概要

服薬指導難度

効能

C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善

包装・規格

マヴィレット配合錠:42錠[ 3 錠(PTP)×14]

用法・用量

○セログループ 1 (ジェノタイプ 1 )又はセログループ 2 (ジェノタイプ 2 )のC型慢性肝炎の場合

通常,成人には 1 回 3 錠(グレカプレビルとして300mg及びピブレンタスビルとして120mg)を 1日1 回,食後に経口投与する.
投与期間は 8 週間とする.なお,C型慢性肝炎に対する前治療歴に応じて投与期間は12週間とすることができる.

○セログループ 1 (ジェノタイプ 1 )又はセログループ 2 (ジェノタイプ 2 )のC型代償性肝硬変の場合
○セログループ 1 (ジェノタイプ 1 )又はセログループ 2 (ジェノタイプ 2 )のいずれにも該当しないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変の場合

通常,成人には 1 回 3 錠(グレカプレビルとして300mg及びピブレンタスビルとして120mg)を 1 日 1 回,食後に経口投与する.投与期間は12週間とする.

名前の由来

「Multi Active VIRologic Enhancing Treatment 」のそれぞれの頭文字に由来します。

指導せん

服薬サポートキットとしていくつかの資材がありますが、服薬指導に使うのは「マヴィレットによる治療を受ける患者さんへ」という冊子タイプの指導せんと、飲み忘れ対策の「マヴィレット治療日誌」の2点かと思います。

飲み忘れの対応も記載されています。

インターネットでのダウンロードはできないようなので、取り寄せておく必要があります。

マヴィレットの服薬指導で確認すること

①「治療期間」、「セログループ」、「肝炎か肝硬変か」の確認

治療期間が「セログループ」や「肝炎か肝硬変か」で異なるため、「治療期間」、「セログループ」、「肝炎か肝硬変か」を確認し治療期間が適正であることを確認します。

8週治療が可能となるのは「セログループ 1 (ジェノタイプ 1 )又はセログループ 2 (ジェノタイプ 2 )」のC型慢性「肝炎」の場合のみとなります。

「肝硬変」である場合やセログループ 1 (ジェノタイプ 1 )又はセログループ 2 (ジェノタイプ 2 )のいずれにも該当しない場合は12 週となります。

指導用冊子の8ページには治療期間の確認用のフローチャートが記載されているのでこれを使うのもよいかと思います。

②リピトール、リファンピシン、レイアタッツの併用の有無【併用禁忌】

リピトール(アトルバスタチン),リファンピシン、レイアタッツ(アタザナビル)が併用禁忌であるため確認します。

リピトールの代替薬

併用禁忌の薬剤のなかでも遭遇頻度が高いものはリピトールです。

他のスタチンはすべて併用注意であり、メバロチン、クレストール、リポバスはAUCが2倍程度、リバロ、ローコールはデータなしとなります。

以上より代替薬としては、リピトール同様のストロングスタチンであるクレストールかリバロの2択となりますが、データなしのスタチンは代替として提案しにくいため、個人的にはクレストールをAUCが2倍になることを見越した用量で使用するのがよいかと思います。

③ジゴキシン・プラザキサ・スタチンの併用の有無【併用注意(これらの薬剤のAUC増加)】

マヴィレットの併用によりジゴキシン・プラザキサ・スタチンのAUCが下記のように上昇します。

・ジゴキシン1.48倍
・プラザキサ2.38倍
・メバロチン2.30倍
・クレストール2.15倍
・リポバス2.32倍

薬剤師の対応

マヴィレット服用中に新たにこれらが追加となる場合は比較的対応はシンプルであり、これらの薬剤の開始用量を減量するかを疑義照会し確認します。

反対にすでにこれらを服用しており、新たに他病院からマヴィレットが追加となる場合は対応が難しくなります。

選択肢は下記の3通りかと思います。

1.マヴィレット処方医に疑義照会

プラザキサの場合はマヴィレット側が変わる可能性があるのでマヴィレット処方医に疑義照会が必要かと思います。

2.併用薬処方医に情報提供と対応の確認

AUCが2倍程度のスタチンの場合はマヴィレットの治療が優先される印象があるので、スタチン処方医側に連絡し、AUCの増加程度、マヴィレットの治療期間を伝えて対応を確認するのがよいかと思います。

対応としては「副作用がでたら受診してもらう」、「減量するので受診してもらう」、「受診は不要たが減量するので半量にして服用してもらう(2錠→1錠、1錠→半錠など)」などが考えられるので、割線があるかなど確認したうえで疑義照会します。

<疑義照会例>
「そちらにおかかりの〇〇さんでお伝えとご確認させて頂きたいことがありまして。
今回、他病院でC型肝炎の治療が始まりマヴィレットという薬が開始となりました。

この薬は現在そちらで飲まれているメバロチンと併用禁忌ではないのですが、併用注意となっておりメバロチンのAUCをおよそ2倍にしてしまう報告があります。

筋肉痛などの副作用が出たら受診してもらう対応や〇〇さんの手持ちのメバロチンは割線があり、半分に割って飲んでもらうような対応も可能ですがいかが致しましょうか?
(疑義照会前に患者自身で割ることができるかも患者に確認しておく)
なお、マヴィレットの服用期間は8週間の予定です。」

3.患者に対して副作用を再度注意喚起

疑義照会をした上で副作用も再度注意喚起する場合と疑義照会はせずに副作用の再度注意喚起だけ行う場合の2通りの対応があります。

④テグレトール・ネオーラル・カレトラの併用の有無【併用注意(マヴィレットのAUC変動)】

併用によりマヴィレット側のAUCが下記のように変動します。

・カルバマゼピン0.34
・シクロスポリン5.08
・ロピナビル・リトナビル4.38

すでにこれらを服用しており、新たに他病院からマヴィレットが追加となる場合はAUCの変動度合いを伝えてマヴィレットのままにするか、治療を変えるか確認します。

マヴィレット服用中に新たにこれらが追加となる場合はこれらの処方医側に疑義照会します。この際はマヴィレットがいつ終わるかも併せて伝えます。

⑤セント・ジョーンズ・ワートの併用の有無【併用注意】

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)は併用注意であるため健康食品の有無を確認します。

これは併用により血漿中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあることが理由となってます。

マヴィレットの服薬指導で伝えること

①食後を守ること

空腹時と比べ、食後(脂肪食)によりおよそ2倍前後AUCが増加します。そのため、食後を守ることを説明します。

②飲み忘れの注意

飲み忘れないように注意が必要な薬剤であるので、極力飲み忘れないようにする必要があることを説明します。

「マヴィレット治療日誌」を渡して使用するよう説明するのがよいかと思います。

飲み忘れた場合の対応

指導用冊子には飲み忘れた際は服用予定時間から18時間経過していない場合はすぐに服用し、次の服用は通常通りの時間に服用するよう記載されてきます。

18時間以上経過していた場合は服用しないように記載されてきます。

③副作用の説明【指導用冊子】

指導用冊子に「そう痒、頭痛、倦怠感、悪心」の記載があるため説明します。

マヴィレットの服薬指導薬歴例

S)C型肝炎。肝硬変ではない。治療期間は8週。セログループ1

O)併用薬なし、サプリメントの併用なし
A)食後を守ること、治療日誌を渡して飲み忘れないこと説明。飲み忘れた場合の対応説明。
そう痒、頭痛、倦怠感、悪心説明。
P)飲み忘れ確認

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