2024年1月分 DSUのまとめ

2024年1月分 DSUのまとめ

2024年1月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はセルトラリンの血小板減少やエクフィナの併用禁忌、タクロリムスの併用注意の一部追記などが重要な内容となります。

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①セルトラリン【重要な基本的注意】

従来では「その他の副作用」に記載されていた「血小板減少」が重大な副作用に移行となり、【重要な基本的注意】にも投与期間中は血液検査を行う旨が追記されました。

血液検査が必要となるので処方する側は少し使いにくくなるような印象があります。

<重要な基本的注意>
血小板減少があらわれることがあるので、投与期間中は血液検査を行うこと

<重大な副作用>
血小板減少 (頻度不明)

②ダイアモックス

重大な副作用に「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が追加となりました。

<重大な副作用>
急性呼吸窮迫症候群、肺水腫:
急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

③プレドニゾロン製剤、デキサメタゾン製剤など

「重要な基本的注意」の項及び「重大な副作用」の項に、リンパ系腫瘍を有する患者に投与した
場合の腫瘍崩壊症候群のリスクに関する注意喚起を追記されました。

なお、トリアムシノロン製剤及びベタメタゾン製剤については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積がないことから、現時点では改訂されていないようです。

<重要な基本的注意>
リンパ系腫瘍を有する患者に投与した場合に腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

<重大な副作用>
腫瘍崩壊症候群(頻度不明)
リンパ系腫瘍を有する患者に投与した場合、腫瘍崩壊症候群があらわれることがある。
異常が認められた場合には、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。

④エクフィナ錠(サフィナミド)【併用禁忌】

併用禁忌に下記薬剤が追記となりました。従来から記載されている相手薬剤側の添付文書の併用禁忌にあわせるの整合性を図るための改訂となります。(重要なものだけ抜粋してます)

●コールタイジン点鼻液(テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン)
●プリビナ液・点眼液(ナファゾリン)
●トラマゾリン点鼻液

通常、添付文書で併用禁忌に設定される薬剤は、添付文書の整合性を合わせるために片側で併用禁忌に設定されていた場合は、早ければ数カ月、遅くても1~2年で相手薬側にも追記されるのが一般的です。

しかし、MAO阻害薬とトラマゾリンなどの局所血管収縮剤の併用禁忌はMAO阻害薬側では長年に渡り記載がありませんでした。この「片側にしか併用禁忌が記載されていない期間」は片側だけの添付文書をみていると併用禁忌を見落としてしまうため注意が必要です。

MAO阻害薬側の現状の記載

前述してますが、MAO阻害薬側では長年にわたりアジレクト、エフピー、エクフィナいずれも併用禁忌欄に局所血管収縮剤点鼻・点眼は記載がありませんでしたが、2021年にアジレクトで、そして今回エクフィナでもようやく反映されました。

ただし、エフピーではいまだに記載されていないため、引き続き片側だけの添付文書をみていると見落としてしまうため注意が必要です。(エフピーではメチルフェニデート製剤の併用禁忌の記載もまだありません)

おそらくエフピーでも今後追記の改訂がされるはずです。

避妊が必要な期間も改訂された

「生殖能を有する者」に記載されている避妊が必要な期間が従来では「本剤投与中及び投与終了後一定期間」といった期間の目安が不明瞭だった記載が、下記のように具体的な期間が明記されました。

<生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後 5 日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

⑤モイゼルト軟膏【特定の背景を有する患者に関する注意 小児等】

 従来、「特定の背景を有する患者に関する注意  小児等」に記載されていた、「2 歳未満を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない」、といった記載が「生後 3 箇月未満を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない」、に変更となりました。

これは生後 3 箇月以上 2 歳未満(3 箇月~1 歳)の乳幼児アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内臨床試験の中間解析結果が得られたことから改訂されました。

⑥リンヴォック【生殖能を有する者】

「生殖能を有する者」に記載されている避妊が必要な期間が従来では「本剤投与中及び投与終了後一定期間」といった期間の目安が不明瞭だった記載が、下記のように具体的な期間が明記されました。

<生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1月経周期において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

⑦タクロリムス【特定の背景を有する患者に関する注意】

「特定の背景を有する患者に関する注意」(合併症・既往歴等のある患者)の項に「C型肝炎直接型抗ウイルス薬が投与される患者」が追記されました。

<C型肝炎直接型抗ウイルス薬が投与される患者>
C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、本剤の増量が必要となった症例が報告されており、C型肝炎直接型抗ウイルス薬による抗ウイルス治療に伴い、使用中の本剤の用量調節が必要になる可能性がある。

本剤を使用している患者にC型肝炎直接型抗ウイルス薬を開始する場合には、原則、処方医に連絡するとともに、 本剤血中濃度のモニタリングを頻回に行うなど患者の状態を十分に観察すること。

併用注意も一部改訂された

「併用注意」に従来から記載されている「CYP3A4で代謝される薬剤又は阻害作用を有する薬剤」の臨床症状・措置方法の項目に「不整脈」及び「併用開始後数日以内に本剤血中濃度が上昇し、副作用が発現した症例も報告されていることから、患者の状態を十分に観察する」旨が追記されました。

腎障害、不整脈等の副作用が発現することがある。
併用開始後数日以内に本剤血中濃度が上昇し、副作用が発現した症例も報告されていることから、患者の状態を十分に観察するとともに、本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ減量・休薬等の処置を行う。

特にCYP3Aを強力に阻害する薬剤が併用された場合はタクロリムスの製薬会社に併用時のAUCの変動率のデータがあるかを確認する対応も考慮されます。

少なくとも、指導せんなどを渡して記載の症状(とくに腎障害、不整脈は口頭でも伝える)などの副作用に注意し発現時は医師に連絡するよう説明したほうがよいでしょう。

なお、タクロリムスの指導せんは製薬会社により副作用の記載内容の充実度が大きく異なるので、記載内容の優れた「あゆみ」の指導せんが有用です。

DSU等の解説
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