2016年7月分 DSUのまとめ・解説

DSU7月
今回は2016年7月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。比較的処方頻度が多い薬剤のナウゼリンの併用注意(CYP3A4阻害剤)が追加されました。

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【2016年7月】DSU掲載品目

①ボルタレン等(ジクロフェナク経口剤、坐剤、注腸軟膏剤)【重大な副作用】

重大な副作用に消化管の狭窄・閉塞が追加となりました。

「消化管の狭窄・閉塞(消化管の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがある」

ロキソニンの添付文書と異なり添付文書上に具体的な症状の記載がありません。そのため、具体的な症状はロキソニンの添付文書を参考にするとよいかと思います。

小腸・大腸の狭窄・閉塞(ロキソニンより) 
「小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと」

②べピオゲル(過酸化ベンゾイル)【重要な基本的注意】

重要な基本的注意が一部改訂となりました。

「本剤の使用中に皮膚剥脱(鱗屑・落屑)、紅斑、刺激感、腫脹等があらわれることがある。

紅斑や腫脹が顔面全体や頚部にまで及ぶ症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の使用を中止するなど適切な処置を行うこと」

これは市販後において紅斑や腫脹が顔面全体や頚部にまで及ぶ症例も報告されたことから改訂されました。

べピオゲルは従来より刺激感や紅斑などの皮膚症状がひどい場合は受診するように伝える必要があったため、薬剤師の対応としては「腫れ」という一言を付け加えるくらいで従来とほとんど変わりません。

皮膚刺激感や赤み、「腫れ」などの皮膚症状がひどい場合は受診するように指導します。

③デュアック配合(ゲルクリンダマイシンリン酸エステル水和物・過酸化ベンゾイル)【重要な基本的注意】

重要な基本的注意が一部改訂となりました。

「本剤の使用中に皮膚剥脱、紅斑、刺激感、腫脹等があらわれることがある。

紅斑や腫脹が顔面全体や頚部にまで及ぶ症例、水疱、びらん等があらわれ、重症化した症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の使用を中止するなど適切な処置を行うこと」

ほとんどペピオゲルとおなじ改訂内容ですが、水疱やびらんなどの文言が記載されている点が異なっています。

④エリキュース錠(アピキサバン)【重大な副作用】

重大な副作用に肝機能障害が追加となりました。

「AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」

⑤ヴィキラックス配合錠(オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル)【重要な基本的注意・及び重大な副作用】

重要な基本的注意及び重大な副作用が追加となりました。

「本剤投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン、BUN等)を行うこと。特に、腎機能が低下している患者、Ca拮抗剤を併用している患者では、急激に腎機能が悪化することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと」

「急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと」

添付文書上は特に具体的な症状の記載がないため、患者向医薬品ガイドを参考にし、「からだがだるい、むくみ、尿量が減る」などが出る際は受診するように指導するのがよいかと思います。

⑥ソバルディ錠・ハーボニー配合錠(ソホスブビル配合製剤)

重大な副作用に「高血圧」と「脳血管障害」が追加となりました。

高血圧:高血圧があらわれることがあり、収縮期血圧180mmHg以上又は拡張期血圧110mmHg以上に至った例も報告されているので、投与中は血圧の推移等に十分注意すること。異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと」

「脳血管障害:脳梗塞、脳出血等の脳血管障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと」

⑦ナウゼリン等(ドンペリドン)【併用注意】

併用注意にCYP3A4阻害剤が追加となりました。

CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、エリスロマイシン等)
〔臨床症状・措置方法:本剤の血中濃度が上昇する。また、エリスロマイシンとの併用においては、QT延長が報告されている」

CYP3A4阻害剤という大きなくくりのため、どの薬剤まで注意すればよいかわかりにくい記載となりますが、記載のあるイトリゾール、エリスロシン以外にも類薬のジフルカンやクラリスなどは含まれると考えられます。

薬剤師の対応としては少なくともエリスロマイシンを併用する際はQT延長の副作用を伝える必要があります。エリスロマイシン以外のものに関しては、QT延長の副作用を説明すべきか判断に迷いますが、説明しておくほうが無難かもしれません。

QT延長の副作用の症状

QT延長の副作用は添付文書上には具体的な症状の記載がないため心室性頻拍,QT延長が副作用として知られているアベロックス等の添付文書または、患者向医薬品ガイドを参考とするのがよいかと思います。

アベロックスの患者向医薬品ガイドでは心室性頻拍として「脈が速くなる、動悸(どうき)、息切れ、気を失う、意識がなくなる、胸部異和感、胸の痛み」、 QT延長として「 気を失う、動悸(どうき)」という記載がされています。

そのため、患者に対しては「動悸や脈が早くなるなどの脈の異常、胸の痛みや違和感」など認められる場合は直ぐに受診するよう説明するのがよいかと思います。

DSU等の解説
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