今回は2016年5月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
【2016年5月】DSU掲載品目
①メネシット、マドパー等(レボドパ含有製剤)【重大な副作用】
重大な副作用に閉塞隅角緑内障が追加となりました。
「急激な眼圧上昇を伴う閉塞隅角緑内障を起こすことがあるので、霧視、眼痛、充血、頭痛、嘔気等が認められた場合には、投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。」
薬剤師としての対応
レボドパ製剤はもともと禁忌に閉塞隅角緑内障があります。そのため、少なくとも初回服薬指導の際は上記の重大な副作用は副作用として説明するよりも、禁忌の確認の延長として説明する対応がよいかと思います。
初回服薬指導の際には緑内障の有無を確認し、緑内障でない場合には、潜在的な閉塞隅角緑内障の場合も考慮して、「万一強い眼の痛みが出る場合はそのような体質であることもあるので直ぐに眼科に受診するように」等と説明します。
なお、緑内障の有無を確認した際に緑内障に該当する場合は、レボドパ処方側に疑義紹介するのではなく、眼科に閉塞隅角緑内障でないかを確認するような対応となるかと思います(レボドパの代替が難しいため)。
②リクシアナ(エドキサバン)【重大な副作用】
重大な副作用に肝機能障害、黄疸が追加となりました。
「AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」
③イグザレルト(リバーロキサバン)【重大な副作用】
重大な副作用に血小板減少が追加となりました。
「血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」
薬剤師としての対応
添付文書には血小板減少症の具体的な症状は記載されておりません。イグザレルトの患者向医薬品ガイドには「鼻血、歯ぐきの出血、あおあざができる、皮下出血、 出血が止まりにくい」と記載されているためこれを参考とするとよいかと思います。
ただ、これらの症状はそもそも従来よりイグザレルトの【重要な基本的注意】に「鼻出血,皮下出血,歯肉出血,血尿,喀血,吐血及び血便等,異常な出血の徴候が認められた場合には,医師に連絡するよう指導すること」と記載されている内容と重複しています。
そのため、特に今回の改訂で薬剤師として指導するものが増えるということはないと思います。
④エクア、ジャヌビアグラクティブ【重大な副作用】
重大な副作用に類天疱瘡が追加となりました。
「類天疱瘡があらわれることがあるので、水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し投与を中止するなど適切な処置を行うこと。」
類天疱瘡では血液中に皮膚の表皮と真皮の境となる基底膜部に対する自己抗体ができ、その結果、表皮と真皮の接着が悪くなり水疱を作ると考えられています。
薬剤師としての対応
初回投与時に注意を促すとしたら「初めての薬なので万一、蕁麻疹や水ぶくれ、呼吸が苦しくなるなど合わない場合はすぐ受診してください」などとアナフィラキシーの注意に追加するように説明するのがよいかと考えています。(初回投与の薬は薬の種類に関わらず蕁麻疹や呼吸困難が現れたらすぐ受診するよう説明しているため)
⑤二フレック(塩化ナトリウム・塩化カリウム・炭酸水素ナトリウム・無水硫酸ナトリウム)【重要な基本的注意】
その他の副作用に意識障害が追加となり、【重要な基本的注意】に「排便に伴う腸管内圧の変動により、めまい、ふらつき、一過性の血圧低下等が発現することがあるので、十分に観察しながら投与すること。」と記載されました。
これは類薬(マグコロールP)において、「重要な基本的注意」に同様の記載がされており、二フレックにおける「意識障害」の副作用も類薬(マグコロールP)と同様の機序にて発現する可能性があると考えられるため設定されました。
⑥ルナベル・アンジュ・ヤーズ等のエチニルエストラジオール含有製剤・イグザレルト【併用禁忌】
C型慢性肝炎の薬であるヴィキラックス(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)が併用禁忌に追加となりました。これらの薬で服薬指導の際に併用薬として肝臓の薬を聴取した場合はこの薬剤でないことを確認する必要があります。
なお、ヴィキラックス側の添付文書には以前よりこれらの薬剤の併用禁忌の記載がありました。ヴィキラックス側の添付文書に遅れて併用禁忌が記載され両薬剤の併用禁忌が統一されたことになります。
この例に限りませんが、相互作用の確認の場合に新しい薬の添付文書には併用禁忌の記載がありますが、古い方の薬剤の添付文書には記載が遅れている場合がしばしばあります。
これは記載の統一がされるまでは片方の添付文書だけ見ていると併用禁忌を見落としてしまうということです。記載の統一がされるまで、古い薬の記載が数年遅れる場合もあるので少なくとも新薬販売後の数年間は新薬側の添付文書も確認する必要がある点には注意が必要です。
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