今回は2016年12月に承認され、発売準備中の新薬であるリンゼス錠0.25mg(リナクロチド)の服薬指導をまとめました。
グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストであり、国内初の「便秘型」過敏性腸症候群を効能とする薬剤です。通常用量は1回2錠となります。
リンゼスの概要
服薬指導難度
効能
便秘型過敏性腸症候群
用法・用量
通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与する。なお、症状により0.25mgに減量する。
名前の由来
一般名のLinaclotideと接尾辞のzessより命名されています。
指導せん
「リンゼス錠を服用される患者さんへ」という指導冊子が存在します。
便秘型過敏性腸症候群の病態や食生活・生活習慣の見直しに関する内容の記載があり、病態の説明をする場合には有用ですが、「服薬指導」に関しては、食前に飲むことや下痢や腹痛の副作用などの記載がある程度なので、特にこの指導冊子を用意しておく必要はないかと思います。
分包(一包化)の安定性
25℃、75%RH(暗所)、無包装で1日後に類縁物質で規格を逸脱する顕著な増加を認めているため、分包は不適と考えたほうがよいかと思います。
リンゼスの服薬指導で確認すること
①用法の確認
用法が「食前」であるため、食後で処方がきたら疑義照会対象となります。
この用法は国内第I相反復投与試験で下痢の発現率が高い傾向があったこと(食前投与期61.1%〈11/18 例〉、食後投与期85.0%〈17/20 例〉)とIBS患者の症状が食事により増悪することもあり、食前投与によりそれに伴う症状や不安感を軽減できる可能性があることから「食前」と設定されています。
〈承認審査資料より〉
国内第 I 相反復投与試験(CL-0012 試験)では食前投与と比較して食後投与では下痢の発現率が高かった。また、IBS-C 患者においては、食事の摂取により、腹痛・腹部不快感が増悪することも考えられるため、本薬を食前に投与することにより、腹部症状の増悪やそれに伴う不安感を軽減できる可能性があると考えた。
以上より、国内第 II 相試験(CL-0021試験)及び第 III 相試験(CL-0031 試験)では、1 日 1 回朝食前投与と設定し、有効性が検証され、安全性に特段の問題は認められなかった。
リンゼスの服薬指導で伝えること
①下痢の副作用【重大な副作用】
重度の下痢があらわれるおそれがあるため、ひどい下痢が出る場合は医師に連絡または受診するように説明します。
〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。〈重大な副作用〉
重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、異常が認められた場合には本剤を減量又は中止するなど、適切な処置を行うこと。
②食前服用の説明
用法が食前であり、食前の方が下痢の副作用が少ない可能性があるため、服用を忘れないように説明します。
リンゼスの服薬指導薬歴例
S)便秘
O)併用なし
A)ひどい下痢になる場合は減量などする場合あるため医師に連絡するよう説明。食前説明。
P)副作用確認
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