パルモディアの服薬指導

パルモディアの服薬指導
今回は2018年6月に発売されたフィブラート系の新薬であるパルモディア錠(ペマフィブラート)の服薬指導をまとめました。

パルモディアは投与前の腎機能検査が必要であったり、 クレアチニンクリアランスが40mL/min未満で禁忌になってしまうため、ベザフィブラートと比べると制限が強い印象がある薬剤です。

また、相互作用の面からも、シクロスポリンが併用禁忌であったり、クラリスロマイシンやクロピドグレルが併用注意であるなど使いにくい印象があります。

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パルモディア錠(ペマフィブラート)の特徴

1.クレストールなどと同様にシクロスポリンが併用禁忌
2.クラリスロマイシンやクロピドグレルが併用注意(パルモディアのAUCがおよそ2倍程度)
3.投与前に腎機能検査が必要
4.TG 低下率についてリピディルの160mgと比べた場合は同等(非劣性)だが、リピディルの106.6mgと比べると優れる。

TG 低下率についてパルモディアの0.2mg/日及び 0.4mg/日、ともにリピディルの106.6mg(1 日 1 回)と比べると、優越性が認められたため、優れることが期待できますが、リピディルの160mgと比べた場合は認められているのは優越性ではなく非劣性であるため、同程度という認識になるかと思います。

パルモディア錠(0.2mg/日及び 0.4mg/日、1 日 2 回)の空腹時血清 TG 低下率について、フェノフィブラート錠 106.6mg(1 日 1 回)に対する優越性及び微粉化フェノフィブラートカプセル 200mg(1 日 1 回)に対する非劣性が認められ、HDL-C の増加が示された。

(微粉化フェノフィブラートカプセル製剤200mg=リピディル160mgと同等)

パルモディア錠(ペマフィブラート)の概要

服薬指導難度

効能

高脂血症(家族性を含む)

<効能又は効果に関連する使用上の注意>
LDL-コレステロールのみが高い高脂血症に対し、第一選択薬とはしないこと。

規格・包装

パルモディア錠0.1mg PTP:100錠 プラスチックボトル:500錠

用法・用量

通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までとする。

名前の由来

「選択的 PPARα モジュレーター(Selective Peroxisome Proliferator-activated receptor-α modulator:SPPARMα)」として作用を発現することよりPARMODIA と命名されています。

指導せん

「パルモディア錠を服用される患者さんへ」という、綴りタイプの指導せんがあります。

記載内容として有用なものは横紋筋融解症の症状くらいなので、「横紋筋融解症の説明用の指導せん」と考えたほうがよいです。

頻繁に処方がでるようであれば、取り寄せておくとよいかと思います。

パルモディアの服薬指導で確認すること

①腎機能検査の有無【用法用量に関連する使用上の注意】

「投与にあたっては患者の腎機能を検査し」という記載があるため、実施していないようであれば疑義照会対象となります。

採血自体はコレステロールや中性脂肪を測定するために行うので、その際に腎機能検査まで(血清クレアチニン値)しているかは検査結果の用紙をみないと判断できないかと思います。そのため、実際の対応としては検査結果をみせてもらうような対応となるかと思います。

なお、リピディルの添付文書にも「投与にあたっては患者の腎機能を検査し」と同じ記載がありますが、リピディルの製薬会社は、「この記載は投与前に腎機能検査をしなければならないというわけではない」との回答でしたが、パルモディアの製薬会社は「投与前に腎機能検査が必要」との回答でした。

急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し、1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は低用量から投与を開始するか、投与間隔を延長して使用すること。

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②腎機能障害の有無【禁忌・用法用量に関連する使用上の注意】2020年1月改訂

中等度以上の腎機能障害が禁忌となります。血清クレアチニン値を持参していればクレアチニンクリアランスやeGFRを算出します。

この「中等度以上の腎機能障害」とは添付文書には目安として「クレアチニン値が2.5mg/dL以上」と記載されているので誤解されがちですが、製薬会社に確認したところクレアチニンクリアランスやeGFRが中等度以上の腎機能障害も禁忌に該当するとのことでした。

そのため、クレアチニンクリアランスが50未満やeGFRが60未満であれば疑義照会する必要があります。

2020年1月に腎障害の禁忌項目が改訂となり、従来の「中等度以上の腎機能障害のある患者(目安として血清クレアチニン値が 2.5mg/dL 以上)」から「血清クレアチニン値が 2.5mg/dL 以上又はクレアチニンクリアランスが 40mL/min 未満の腎機能障害のある患者」に変更となり、クレアチニンクリアランスの具体的な値が明記されました。

従来の「中等度以上の腎機能障害」では少なくともクレアチニンクリアランスが50を切ってた場合は疑義照会対象と考えられましたが、今回の改訂で40と明記されるようになったため、実際には禁忌がやや緩和されたと捉えられます。

なお、付文書には「血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は減量又は投与間隔の延長等を行うこと」とありますが、この血清クレアチニン値であれば、多くの場合クレアチニンクリアランスが40を切るので禁忌に該当してしまうかと思います。

<禁忌>
血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上又はクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎機能障害のある患者

〔用法・用量に関連する使用上の注意〕
急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し、1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は低用量から投与を開始するか、投与間隔を延長して使用すること

③肝機能障害の有無【禁忌・用法・用量に関連する使用上の注意】

重篤な肝障害、Child-Pugh分類B又はCの肝硬変、胆道閉塞が禁忌であるため確認します。これは肝障害を悪化させるおそれがあることと、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがあることが理由となっています。なお、胆道閉塞の有無は後述の胆石の有無の確認と併せて確認するのがよいかと思います。

また、肝障害のある患者(Child-Pugh分類Aの肝硬変のある患者など)又は肝障害の既往歴のある患者に投与する場合には、必要に応じて本剤の減量を考慮することとされています。

減量する場合は、割線があるので「1錠分2」のような処方になるかと思います。

肝障害のある患者とは

肝機能正常者と比べ、AUCが脂肪肝患者では1.2倍、軽度の肝硬変患者群(Child-Pugh分類A)では2.1倍となります。

製薬会社に確認したところ、脂肪肝やALTなどの肝機能検査値が高い場合が「肝障害のある患者」に該当するかは医師の判断によるとのことでした。

〔用法・用量に関連する使用上の注意〕
肝障害のある患者(Child-Pugh分類Aの肝硬変のある患者など)又は肝障害の既往歴のある患者に投与する場合には、必要に応じて本剤の減量を考慮すること。

④胆石・胆道閉塞の有無【禁忌】

胆石や胆道閉塞が禁忌であるため確認します。

⑤妊娠の有無【禁忌】

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人は禁忌であるため確認します。

⑥シクロスポリン、リファンピシンの併用の有無【併用禁忌】

シクロスポリン、リファンピシンは併用禁忌となります。

⑦クラリスロマイシン、プラビックス、ジフルカンの併用の有無【併用注意】

併用禁忌ではなく併用注意ですが、クラリスロマイシンやプラビックス(クロピドグレル)、ジフルカン(フルコナゾール)の併用によりパルモディアのAUCがおよそ2倍程度になるため疑義照会対象となります。

クラリスロマイシンであれば、ジスロマック(アジスロマイシン)に変更するのがよいかと思います。

プラビックス(クロピドグレル)であれば、パルモディアの減量や他のフィブラートへ変更を検討するのがよいかと思います。

⑧スタチン系薬剤の併用の有無【重要な基本的注意2018年10月改訂

従来では腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者にスタチン系薬剤とフィブラート系薬剤を併用するのは原則禁忌、原則併用禁忌でしたが、2018年10月の改訂で「原則禁忌」から「重要な基本的注意」に注意喚起が移行となり、「原則併用禁忌」から「併用注意」に移行となりました。

原則禁忌から外れたものの、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合であり、やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止することとされています。

該当する場合は、従来の原則禁忌のように、ルーチンでの疑義照会はいらないかと思いますが、医師によっては腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる場合は併用を避ける医師もいるかと思います(腎機能検査値に異常が認められる場合はクレアチニンクリアランスの禁忌に該当する例のほうが多いかもしれませんが)。

<重要な基本的注意>
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に,本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には,治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること.急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい.

やむを得ず併用する場合には,本剤を少量から投与開始するとともに,定期的に腎機能検査等を実施し,自覚症状(筋肉痛,脱力感)の発現,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること.

パルモディアの服薬指導で伝えること

①横紋筋融解症の説明【重大な副作用】

添付文書上には尿の色の記載がありませんが、指導せんには尿色赤褐色の記載があります。

全身の脱力感、手足のこわばり、手足のしびれ、筋肉の痛み、尿色赤褐色など出る際はすぐ医師に連絡して受診するように説明します。

②肝障害の副作用説明【重要な基本的注意】

肝機能に影響を及ぼすことがあるため、肝機能障害の説明をします。

添付文書には具体的な症状の記載がないためガスモチンなど肝機能障害に注意が必要とされる薬剤の添付文書を参考にするのがよいかと思います。

倦怠感、食欲不振、尿濃染、眼球結膜黄染等の症状が出る場合はすぐに受診するよう説明します。

本剤は肝機能及び肝機能検査値に影響を及ぼすことがあるので、投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。

パルモディアの服薬指導薬歴例

S)中性脂肪が高い
O)併用なし、腎機能検査あり悪いと言われてない、肝臓悪いと言われたことない、胆石・胆道閉塞なし、妊娠なし
A)全身の脱力感、手足のこわばり、手足のしびれ、筋肉の痛み、尿色赤褐色、倦怠感、食欲不振、尿濃染、黄疸など出る際はすぐ医師に連絡して受診するように説明します。
P)副作用確認

新薬薬剤別服薬指導
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