今回は2017年3月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回は半夏瀉心湯の口内炎に使う場合の「口にふくんでゆっくり服用」という使い方や、メトロニダゾール製剤の中枢神経障害の具体的な症状の追記が主な内容となります。
①アタラックスなど(ヒドロキシジン)【重大な副作用】
重大な副作用に「急性汎発性発疹性膿疱症」が追加となりました。
急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
添付文書には具体的な症状の記載がなく、また、患者向医薬品ガイドや薬のしおりも改訂が遅れているようで現時点では反映されていないようです。そのため、症状は重篤副作用疾患別対応マニュアルなどを参考とするのがよいかと思います。
「高熱(38℃以上)」、「皮ふの広い範囲が赤くなる」、「赤くなった皮ふ上に小さな白いブツブツが出る」、「全身がだるい」、「食欲がない」など
②タケプロン(ランソプラゾール)【重大な副作用(類薬)】
類薬での重大な副作用の項目に「視力障害」が追加となりました。これは従来より「その他の注意」に記載があった内容が類薬での重大な副作用の項目に移動したかたちになります。
「類薬(オメプラゾール)で以下の副作用が報告されている。視力障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」
③ゾフラン(オンダンセトロン)【用法及び用量に関連する使用上の注意・併用注意】
これまで「適用上の注意」の項に記載されていた投与のタイミングと投与期間の目安に関する内容が「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項に移動しました。
「抗悪性腫瘍剤を投与する場合、その1~2時間前に投与する」
「癌化学療法の各クールにおいて、本剤の投与期間は3~5日間を目安とする」
また併用注意にSSRIなどのセロトニン作用薬が追加となりました。
「セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、MAO 阻害剤等)
〔臨床症状・措置方法:セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。
機序・危険因子:セロトニン作用が増強するおそれがある。〕」
④半夏瀉心湯(顆粒剤、細粒剤)【適用上の注意】
「適用上の注意」 に口内炎に使う場合は「口にふくんでゆっくり服用することができる。」との記載が追記となりました。
これにより、口内炎に使用する場合は医師より口に含んでから飲み込むよう指示されている場合があるため、留意しておく必要があります。
なお、製薬会社に確認したところ、口に含む時間に関しては15〜30秒くらいのことが多いとのことでした。あくまで口頭での回答となりますが参考なればと思います。
「服用時:口内炎に対して本剤を使用する場合は、口にふくんでゆっくり服用することができる。」
⑤フラジール、ボノピオンパックなど(メトロニダゾール)【重要な基本的注意】
重要な基本的注意の中枢神経障害に関する項目が改訂となりました。
従来は「中枢神経障害があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察し,構語障害,小脳失調等の症状の発現に十分注意すること」との記載でしたが、今回の改訂で下記のように初期症状が記載されました。
「中枢神経障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、ふらつき、歩行障害、意識障害、構語障害、四肢のしびれ等の初期症状の発現に注意すること。
また、これらの初期症状があらわれ、メトロニダゾールによる脳症が疑われた場合には、メトロニダゾールの投与を中止すること」
患者に説明する場合は万一、ふらつき、うまく歩きにくい、うまく考えがまとまらない、しゃべりにくいなどでる場合はすぐ受診するように説明します。
⑥ザイザル(レボセチリジン)【過量投与】
過量投与の症状に「激越、落ち着きのなさ(特に小児では)」が追記となりました。
本剤の過量投与により傾眠傾向があらわれることがある。特に小児では激越、落ち着きのなさがあらわれることがある。
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