セロクエルの服薬指導

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今回は統合失調症治療薬のセロクエルの服薬指導をまとめました。高血糖、低血糖、悪性症候群、起立性低血圧の注意、血栓症など伝える副作用項目がかなり多い薬剤です。

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セロクエルの基本情報

服薬指導難度
【成分】クエチアピン
【効能・効果】統合失調症

【臨床試験での頻度の高い副作用】
不眠(19.3%)、神経過敏(17.8%)、傾眠(14.2%)、倦怠感(10.8%)、不安(10.6%)

【市販後調査での頻度の高い副作用】
傾眠(4.3%)、高血糖(3.3%)、便秘(1.9%)、肝機能障害(1.6%)、倦怠感(1.3%)

【指導せん】
セロクエルは指導する項目が多いにもかかわらず指導せんが存在しません。そのため患者向医薬品ガイドを服薬指導に使うと有用かもしれません。患者向医薬品ガイドはPMDAの医療用医薬品の添付文書情報ページでの添付文書画面からダウンロードすることができます。

セロクエルの服薬指導で確認すること

① 糖尿病・糖尿病の既往の有無【禁忌】

禁忌には既往も含むため、問い掛け方に注意が必要です。単に「糖尿病をお持ちではないですか」と聞いてしまうと既往を聞きもらしてしまうため「現在糖尿病であったり、過去に糖尿病と言われたことはないですか」といったような既往も確認できる問いかけをする必要があります。

②寝たきり・肥満など血栓リスクの有無

リスクありの場合は服薬指導で血栓症の副作用を説明する必要があります。(後述)

③併用にアドレナリンの有無(外用含む)【禁忌】

見落としがちですがボスミン液などの外用薬も併用禁忌のため注意が必要です。

セロクエルの服薬指導で伝えること

① 血糖値上昇の注意【警告・重要な基本的注意】

血糖値が上昇することがあることを説明し、口渇、多飲、多尿が見られる場合は検査など必要のためすぐ連絡し受診するよう説明します。

②低血糖の注意【重要な基本的注意】

脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意し症状がでるようであればすぐ連絡し受診するよう説明します。

③体重増加の注意【重要な基本的注意】

体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等検討されるので相談するように説明します。

④起立性低血圧の注意【重要な基本的注意】

治療開始初期に起立性低血圧を起こすことがあるので、立ちくらみ、めまい等の低血圧症状があらわれた場合には減量等検討されるので相談するように説明します。

⑤運転など避けるよう注意【重要な基本的注意】

眠気・集中力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意を促します。

⑥肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症の注意(不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者)【重要な基本的注意】

抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されており、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意することと記載があるため該当する患者には血栓症の注意を促します。

症状として息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、すぐに受診するように説明します。

⑦悪性症候群に関する注意【重大な副作用】

無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止しすぐ受診するように説明します。

実際には簡易な言葉で説明するため、「動きが少なく意識がうすれる、筋肉のこわばり・ふるえ、飲み込みにくい、脈が早くなる、汗が出るなどが見られ発熱がある場合」は連絡し、すぐ受診するように説明します。

⑧頻度の高い副作用

不眠、神経過敏、不安などが頻度の高い副作用として記載があります。
実際は不安、興奮など症状の悪化が見られる場合は受診するように説明します。

セロクエルの服薬指導薬歴例

S)セロクエル初めてです。
O)併用なし(外用も含むアドレナリンの併用がないことを確認)
糖尿病既往を含みなし
寝たきりなど血栓リスクなし

A)
血糖値の上昇でる場合あり口渇、多飲、多尿でる場合はすぐ受診指示。異常な空腹感、冷や汗、手の震えなどの低血糖症状でる場合は糖分補給し受診指示。

眠気、ふらつきでうるので運転など避けるよう説明。立ちくらみ注意説明、続いたりひどい場合は相談するよう指示。不安、興奮など症状の悪化見られる場合は受診指示。

万一、動きが少なく意識がうすれる、筋肉のこわばり・ふるえ、飲み込みにくい、脈が早くなる、汗が出るなどが見られ発熱がある場合は連絡し、すぐ受診指示。

P)副作用確認

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