今回は2016年冬分の新薬承認品目のなか、薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。
国内初の「便秘型」過敏性腸症候群を効能とする「リンゼス錠」やヤーズの新しい用法である製剤の「ヤーズフレックス錠」などが特に認識しておいたほうがよい薬剤かと思います。
①ジメンシー配合錠(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩)
「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能とするダクルインザ(ダクラタスビル)とスンベプラ(アスナプレビル)に新規成分のベクラブビル塩酸塩を加えた配合剤です。
「Simple」と「Potency(潜在能力・秘められた力)」を組み合わせて「Ximency」と命名されています。併用禁忌の薬剤が非常に多いため注意が必要です。
②リンゼス錠0.25mg(リナクロチド)
国内初の「便秘型」過敏性腸症候群を効能とする薬剤です。一般名の Linaclotide と接尾辞の zess より命名されています。
用法は1日1回、食前とされています。また、「重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること」とされています。
③ヤーズフレックス配合錠(ドロスピレノン/エチニルエストラジオールベータデクス)
子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困難症を効能とする国内初の用法(最大124日周期法)で用いるヤーズと同じ成分ですべて実薬錠28錠を1シートに包装した製剤です。(ヤーズは実薬錠24錠とプラセボ錠4錠が1シートに包装されています)
従来の一般的な処方である「28 日周期処方」の場合は,休薬により月1 回の周期的な消退出血が認められますが、子宮内膜症及び月経困難症の主な自覚症状である疼痛の程度は月経(消退出血)時に高いことが知られています。
そのため、より長期間の連続投与が可能な薬剤の開発が進められて、最長 120 日まで連続投与が可能となった本剤は、休薬による消退出血の頻度を低減することが可能となることに加え、出血発現時に休薬期間を設けることで,出血/点状出血の管理を容易にし,その頻度を軽減できると期待されています。
1日1錠を経口投与する.24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する.25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合,又は,連続投与が120日に達した場合は,4日間休薬する.
休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず,連続投与を開始する.以後同様に連続投与と休薬を繰り返す.
④オテズラ錠(アプレミラスト)
局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬を効能とする薬剤です。投与初期に以下のように非常に細かく漸増する必要があり、スターターパックの包装を使用する薬剤です。
1日目 朝 10mg
2日目 朝 10mg / 夕 10mg
3日目 朝 10mg / 夕 20mg
4日目 朝 20mg / 夕 20mg
5日目 朝 20mg / 夕 30mg
6日目以降 朝 30mg / 夕 30mg
⑤ベムリディ錠(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)
「B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制」を効能とするテノゼット(テノホビル)のプロドラッグ製剤です。
テノゼットと比べ腎機能障害や骨密度の低下などの副作用が少ない可能性が期待されています。Melody of Victory に由来して命名されています。
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