今回は2017年6月分のDSUのなかから、薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回はメジャーな薬剤の内容に関してはそれほど重要な改訂はありませんでした。処方頻度は多くはないと思われる中では、リピトールのグラジナとの併用注意に関しては把握しておいてもよいかと思います。
①バイアスピリン(アスピリン)【併用注意】
併用注意にフルカム(ピロキシカム)が追記となりました。イブプロフェン同様にアスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱する可能性があります。
長期に併用する場合は用法をずらしたり、他のNSAIDsにするなどを考慮したほうがよいかもしれません。なお、ピロキシカム側の添付文書には以前よりアスピリンの記載があります。
「イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム〔臨床症状・措置方法:本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。〕」
②リピトール(アトルバスタチン)【併用注意】
併用注意にC型慢性肝炎治療薬であるグラジナ(グラゾプレビル)が追加となりました。併用によりリピトールのAUCが3倍となる報告があるので疑義照会対象と考えたほうがよいかと思います。
実際にはグラジナはエレルサ(エルバスビル)との併用で用いられますが、この場合はリピトールのAUC が1.94倍との報告があります。そのため、疑義照会の際は併用時のリピトールのAUC上昇は2~3倍程度と少し幅を持たせて情報提供するのが良いかと思います。
「グラゾプレビル〔臨床症状・措置方法:グラゾプレビルとの併用により本剤の血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:5.66倍、AUC0-∞:3.00倍)との報告がある。 機序:グラゾプレビルによる腸管の CYP3A及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害が考えられている。〕」
代替としては
クレストール、ローコール、リポバスも併用注意のため、代替薬としては併用注意に該当しないリバロやメバロチンが良いかと思います。これらは併用時でもAUCがほとんど変わらず「申請資料概要」でも用量調整の必要がないと記載されています。
なお、クレストールに関してはグラジナ単独でクレストールのAUCが1.59(Cmax 4.25)、グラジナとエレルサ併用で クレストールのAUC 2.3倍(Cmax 5.5倍)に増加との報告があるので、およそ2倍程度という認識でよいかと思います。
ローコールとリポバスは相互作用に関する試験は実施していないようですが、相互作用の機序としては血中濃度が上昇する可能性があり併用注意となっているようです。
スタチンと肝機能障害
なお、そもそもほとんどのスタチンが肝機能障害のある場合は肝臓の状態によっては禁忌に該当します。禁忌に該当してしまう場合は肝機能障害の禁忌がないメバロチンが代替となるかと考えています。
③ティーエスワンのジェネリック
従来はティーエスワンのジェネリック製剤の多くのものは先発品にある効能のうち「結腸・直腸癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌」が含まれておりませんでしたが、今回の改訂で先発品と同じ効能となりました。
④「急性腎不全」の用語変更
以前、医薬品・医療機器等安全性情報でも紹介されました「急性腎不全」から「急性腎障害」への用語変更について以下の通知がされました。
添付文書の「使用上の注意」に使用されている「急性腎不全」の用語を、機会を捉えて「急性腎障害」に変更することをご連絡いたします。この用語変更のみの改訂対応の場合は、個別にDSUに掲載いたしませんので、この連絡により情報提供したことといたします。
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