今回は従来添付文書で使用されてきた「急性腎不全」という用語が最新の知見に基づき「急性腎障害」に変更されることとなったためご紹介します。
なお、この内容は先月の医薬品・医療機器等安全性情報 No.341に掲載されています。
概要
これまで,急激な腎機能低下を伴う病態を示す用語として,添付文書では「急性腎不全」が使用されてきましたが、「急性腎不全」の疾患定義については,必ずしもガイドライン等で明確にはされていませんでした。
近年,「急性腎不全」を含みかつ明確に定義できる疾患概念として「急性腎障害」が使用されるようになってきており、国内外でのガイドラインにおいて,「急性腎不全」という用語に代わり,「急性腎障害」という用語が使用されてきています。
これにあわせて、添付文書内の「急性腎不全」の用語を「急性腎障害」へ変更することとされました。
急性腎障害の定義
国際的腎臓病ガイドライン機構(KDIGO)は「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」において以下の定義1 ~ 3の一つを満たせば急性腎障害(AKI)と診断する、としています。
1.48時間以内にSCr値が≧0.3 mg/dL上昇
2.SCr値がそれ以前7日以内に判っていたか予想される基礎値より≧1.5倍の増加
3.尿量が6時間にわたって<0.5mL/kg/時に減少
また、詳細は省きますが、SCrと尿量減少の程度により、病期を1〜3に分類しています。
薬剤師の対応
今後添付文書の用語として、急性腎不全は急性腎障害に改訂されることとなります。
この用語の改訂に伴い、副作用を伝える際に説明する内容が大きく変わるわけではないので薬剤師には直接関係がないかもしれませんが、この用語の変更の流れは把握しておいたほうがよいかと思います。
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