マクサルトの服薬指導

マクサルトの服薬指導
今回は片頭痛治療薬のマクサルトの服薬指導をまとめました。RPD錠と普通錠が発売されており、RPD錠は水なしでの服用ができます。

マクサルトは禁忌が多いため服薬指導の際に確認することが多くまた、服薬タイミングや運転に関する注意、胸痛の副作用など服薬指導の際に伝えることも比較的多い薬剤です。

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マクサルトの概要

服薬指導難度

効能

片頭痛

用法・用量

1回10mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
なお、効果が不十分な場合には、追加投与することができるが、前回の投与から2時間以上あけること。
ただし、1日の総投与量を20mg以内とする。

名前の由来

マクサルトは高い到達点への挑戦を意味するMax Altitudeより名付けられています。

マクサルトの服薬指導で確認すること

① 心筋梗塞、虚血性心疾患の有無

心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者では重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがあるので禁忌とされています。

②脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往の有無

血管収縮作用により脳血管障害や一過性脳虚血発作があらわれることがあるので禁忌となります。脳血管障害というと、一見してなんの疾患かわかりにくいてすが、インタビューフォームには「脳血管障害(脳梗塞、脳卒中)」といった表現があるため脳梗塞、脳卒中は禁忌と考えられます。

③末梢血管障害を有する患者

末梢血管障害を有する患者の症状を悪化させる可能性が考えられるので禁忌とされています。これも具体的にどの疾患が該当するか非常にわかりにくい表現となっています。個人的には末梢動脈疾患(PAD)などはこれに該当すると考えています。病名を患者から聴取するのが難しい疾患のため、併用薬から疑うのが現実的かもしれません。

④コントロールされていない高血圧症の患者

血管収縮作用により一過性の血圧上昇を引き起こすことがあるので、コントロールされていない高血圧症の患者には禁忌となっています。これも非常に曖昧な表現の禁忌であり、具体的な血圧の値は明記されていません。

外国ではスクリーニング時の血圧が145/95mmHgを超える患者は臨床試験の対象から除外した、とあるのでこの値を参考とするのがよいかもしれません。この値を明らかに超える場合は疑義照会したほうがよいかもしれません。

また、服薬指導の際に服用後に血圧が急に上昇するようなことがあれば受診するよう説明しておくとよいかと思います。なお、コントロールされている高血圧は慎重投与となっています。

⑤肝機能・腎機能障害の有無【 重度の肝機能障害・血液透析禁忌】

マクサルトは主に肝臓で代謝されるので、中等度の肝機能障害患者で血中濃度が上昇した報告があり慎重投与となっています。重度の肝機能障害を有する患者では血中濃度が更に上昇するおそれがあるため禁忌となります。

血液透析中の患者では、マクサルトの排泄遅延とAUCの増加が報告されているため禁忌と設定されています。

⑥併用薬にエルゴタミン含有製剤、他の5-HT1B/1D受容体作動薬、MAO阻害剤、プロプラノロールの有無【併用禁忌】

上記の薬剤からマクサルトに切り替える場合はエルゴタミン含有製剤、他の5-HT1B/1D受容体作動薬は24時間以上の間隔、MAO阻害剤は2週間、プロプラノロールは普通錠で24時間、徐放製剤では48時間おく必要があります。特にプロプラノロールは片頭痛でも使われる薬剤のため注意が必要です。

マクサルトの服薬指導で伝えること

① RPD錠は水無しで服用する場合は唾液で飲み込むこと【重要な基本的注意】

RPD錠は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込むこととされています。

②胸痛、胸部圧迫感の注意

胸痛、胸部圧迫感がみられる場合はすぐ受診するよう説明します。

③運転などの注意

眠気、めまいをおこすことがあるので、服用中は自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう説明します。

④追加投与の説明

全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与をしないで受診するよう説明します。このような場合は脳血管障害等の器質的疾患に起因する頭痛や片頭痛以外の機能的頭痛である可能性が考えられるので、再検査の上、頭痛の原因を確認するため設定されています。

効果が不十分な場合には、追加投与することができるが、前回の投与から2時間以上あけることまた、1日の総投与量を20mg以内とすることを説明します。

⑤他科受診の注意

併用禁忌のものがあるので他の病院にかかる際は、マクサルトを使用する可能性があることを伝えるよう説明します。

⑥服用タイミングの説明

痛みが始まったらすぐに服用すると高い効果が得られること、また前兆の段階では効果が無い為使用しないことを説明します。

マクサルトの薬歴例

S)頭痛
O)心・脳疾患無し、肝・腎機能障害なし高血圧なし併用なし
A)
RPD錠説明。服用タイミングの説明。全く効果が認められない場合は、追加投与をしないで受診するよう説明。
胸痛、胸部圧迫感がみられる場合はすぐ受診するよう説明。眠気、めまいをおこすことがあるので、服用中は自動車の運転等さけるよう説明。他の病院にかかる際は、マクサルトを使用する可能性があることを伝えるよう説明
P)効果確認

薬剤別服薬指導
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