アプルウェイの服薬指導

アプルウェイの服薬指導
今回は2014年5月に発売され、今年の6月に販売開始より1年が経過し投与制限が解除されたSGLT2阻害剤であるアプルウェイの服薬指導をまとめました。

アプルウェイなどのSGLT2阻害剤は添付文書上では重要な基本的注意の項目数が多く、どの項目を説明すればよいかわかりづらい薬剤です。そのため、服薬指導の際に指導せんを利用することをお勧めします。

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アプルウエイの概要

服薬指導難度

効能

2型糖尿病

用法・用量

20mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。

名前の由来

アプルウェイ(トホグリフロジン)は、リンゴの樹皮から抽出された物質であるフロリジンを起源としていることからApple(りんご)way(道、方法)と名付けられています。

指導せん

アプルェイは指導せんが存在します。導せんを利用することで副作用として低血糖・尿路及び性器感染・脱水について患者に説明することができます。特に尿路及び性器感染に関しては添付文書上に具体的な症状の記載がないことからも指導せんの利用はとても有用です。

なお、アプルウェイの指導せんは会員登録をしないとインターネット上からは印刷・閲覧ができないため、必要な場合は会員登録するか、電話で注文する必要があります。一応、モノクロではありますが、インタビューフォームの末尾には指導せんの内容が記載されているので、急ぎで閲覧したい場合はインタビューフォームを参照すると良いと思います。

アプルウェイの効果

アプルウェイ単独投与時のHbA1cの変化量

アプルウェイ単独投与の効果に関しては、アプルウェイ単独投与で2つの臨床試験が行われており、投与前からのHbA1c(NGSP)の変化量(%)を検討しています。アプルウェイ20mgでは片方の試験では24週投与で-1.0、もう片方の試験では24週時で-0.69、52週時で-0.67という結果でした。

これらの結果から、半年でHbA1cが1近く低下する効果が期待できそうです。

アプルウェイの併用投与時のHbA1cの変化量

アプルウェイの併用に関する効果では、経口血糖降下薬1剤の治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、アプルウェイ20mgを併用する試験が行なわれています。

経口血糖降下薬の種類はそれぞれスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害薬で併用が検討されています。

24週時及び52週時におけるHbA1c(NGSP)の変化量(%)は併用される経口血糖降下薬の種類により、多少異なりますが概ね-0.7から0.8前後の変化となっています。

前述してますが、あくまで経口血糖降下薬1剤とアプルウェイの2剤併用での結果であり、3剤併用などの結果ではないことは注意が必要です。また、インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬との併用に関しては検討されておらず、添付文書上も有効性及び安全性は検討されていないと記載されています。

アプルウェイの服薬指導で確認すること

① 排尿困難や尿閉・無尿・乏尿の有無

排尿困難や尿閉・無尿・乏尿の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮することとされています。

排尿困難、腎後性の乏尿、尿閉のような下部尿路疾患を有する患者や、腎前性の乏尿のような腎血流量が減少していると考えられる患者では、その症状が悪化したり、残尿による尿路感染症や水腎症等の悪影響を及ぼすおそれがあることから設定されています。

また、無尿、腎性の乏尿の患者では、症状を呈している間は本剤の効果が期待できない可能性があることから設定されています。

②腎機能障害の有無

重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため、投与しないこと。また、中等度の腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断することとされています。【効能又は効果に関連する使用上の注意】

これは重度の腎機能障害のある患者又は透析を要する程度の末期腎不全患者では、本剤の効果が期待できないと考えられるため設定されています。

中等度腎機能障害患者に関しては国内の臨床試験において、中等度腎機能障害患者(30≦eGFR<60mL/min/1.73m2)のHbA1cの減少幅が-0.24と腎機能正常患者の減少幅である-0.68と比べて小さかったことから設定されています。

③インスリン、SU薬又は速効型インスリン分泌促の併用の有無

併用している場合は減量されているかどうか確認します。グリメピリド、グリベンクラミド、グリクラジドに関してはSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation中に具体的な用量が記されています。

SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation と服薬指導
2014年6月13日 に日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は、SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation を発表しました。発表から一年が経過していますが今回はこの内容から薬局薬剤師の服薬指導に...

アプルウェイの服薬指導で伝えること

① 尿路感染及び性器感染の副作用【重要な基本的注意】

尿路感染(腎盂腎炎を含む)及び性器感染を起こすことがあるので、これらの症状を説明します。

具体的な症状に関しては添付文書には記載がないため、指導せんを利用するのがよいと思います。発熱、わき腹や腰の痛み、排尿痛、陰部の痒みや違和感を感じる場合は受診するよう説明します。

②多尿・頻尿・脱水・適度な水分補給の注意

多尿・頻尿がみられることがあることを説明します。また、脱水に注意が必要なことを説明し、脱水を予防するためにこまめに水分を摂取すること及び脱水症状が見られる際は受診することを説明します。また、脱水が血栓症のリスクとなることも説明しておくと良いと思います。

脱水が疑われる症状としては添付文書の重大な副作用の項目には口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状が記載されています。一方、アプルウェイの指導せんにはのどの乾き、めまい・ふらつき、倦怠感・脱力感、皮膚粘膜の乾燥、食欲が落ちた、と記載がありますが、特に多尿に関する記載はありません。

③過度の体重減少に注意すること

承認時の臨床試験(合計1,060例)では、副作用として体重減少が6例(0.6%)報告されており、そのうち4例が体重減少にて投与を中止していることから設定されています。

過度に体重が減少する場合は医師に相談するよう説明します。なお、この項目は指導せんには記載がないため伝え忘れないように注意が必要です。

④高所作業、自動車の運転等の注意

低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意することを説明します。

⑤休薬の基準

添付文書には記載がありませんが、SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationでは休薬に関する内容が記載されています。発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬することを指導します。

⑥薬疹に関する注意

この内容も添付文書には記載がありませんが、SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationでは薬疹に関する内容が記載されています。本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合にはすぐ受診するように説明します。

⑦低血糖に関する注意【重大な副作用】

糖尿病用薬共通の注意事項です。低血糖に関する説明を行い、ブドウ糖を渡して発現時は服用するように説明します。アプルウェイの指導せんに低血糖の記載もあるためこれを用いて説明します。

⑧ケトアシドーシスの説明【重要な基本的注意】(2015年9月更新)

2015年9月の添付文書改訂に伴い追加された項目です。改訂に関する詳しい内容・解説は「2015年10月分DSUのまとめ・解説」をご参照下さい。

2015年10月分 DSUのまとめ・解説
今回は2015年10月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。今回はSGLT2阻害薬のケトアシドーシスの副作用追加が重要な改訂となります。 なお、イクセロン・リバスタッチ、アーチスト、トレシーバ、イグ...

ケトアシドーシスの症状として悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等について説明するとともに、症状が認められた場合は直ちに受診するよう指導することと記載されています。現時点では指導せんにこの内容は記載されていないので、漏らさず説明するよう注意が必要です。

アプルウェイの服薬指導薬歴例

S)血糖が高く追加となりました。
O)腎機能異常なし・併用なし(SU剤、インスリンの併用の有無を確認)
A)低血糖に関して指導せんを渡して説明。発現時にはブドウ糖10gを噛み砕いて飲み込むよう指導。低血糖状況は次回受診時に医師に伝えるように指示。運転など注意するよう説明。

多尿・頻尿がみられることがあることを説明。脱水傾向となるため適度な水分を摂取するよう説明、脱水症状は血栓などのリスクにもなること説明。口渇、多尿、頻尿、血圧低下、めまい、脱力感など出る場合は受診指示。

発熱、わき腹や腰の痛み、排尿痛、陰部の痒みや違和感を感じる場合は受診するよう説明。過度に体重が減少する場合は医師に相談するよう説明。発熱・下痢・嘔吐などがあるときや食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には休薬すること説明。万一、蕁麻疹、発疹などの肌の異常が出る場合はすぐ受診するよう指示。

万一、吐き気、腹痛、異常な口の乾き、だるさ、呼吸が苦しくなる、意識がもうろうとするなど出る際は直ちに受診するよう指示。
P)副作用確認

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