2015年7月分 DSUのまとめ・解説

DSU7月
今回は2015年7月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。なお、効能・効果追加情報に関しては前回の記事である「効能・効果追加情報【平成27年6〜7月分】」をご覧ください。

効能・効果追加情報【平成27年6〜7月分】
今回は平成27年6〜7月分の効能・効果が追加となった薬剤のうち、薬局薬剤師に関係がある薬剤をまとめました。一部の薬剤は調剤することはほとんどないと思われますが、知識として知っておくとよいと思ったものも記載しています。 効能・効果追加品目【平...
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【2015年7月】DSU掲載品目

①トラマドール塩酸塩(トラマール、トラムセット)【重大な副作用追加】

呼吸抑制が重大な副作用として追加となりました。観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うことと記載されましたが、症状に関しては記載されていません。

そのため、患者に対して指導する際は類薬のモルヒネなどをを参考とするのがよいかと思います。MSコンチンなどのモルヒネの添付文書では呼吸抑制として「息切れ,呼吸緩慢,不規則な呼吸,呼吸異常等」が記載されています。患者に対しては、呼吸回数が減る、不規則な呼吸や異常な呼吸となる際はすぐ受診するように説明するのがよいかと思います。

②アナグリプチン(スイニー)【重大な副作用追加】

腸閉塞が重大な副作用として追加となりました。症状としては、「高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」と記載されました。

なお、この症状のうち、持続する腹痛、嘔吐というのは急性膵炎の症状である「持続的な激しい腹痛、嘔吐」と類似するため、腸閉塞の初期症状を説明することで、急性膵炎の初期症状を説明することにもなります。

なお、スイニーは現時点では添付文書上に急性膵炎の記載はありませんが、個人的には全てのDPP4阻害薬で注意が必要と考えています。

③ブデソニド吸入剤(パルミコート)【その他の注意追加】

従来より重要な基本的注意に、吸入ステロイド剤の投与により小児の成長遅延をきたすおそれがあるため、長期にわたり投与する場合には身長等の経過の観察を十分に行うことの記載がありましたが、今回、その他の注意に下記の内容の海外で実施された試験の結果が記載されました。

海外で実施された二重盲検試験において、ブデソニド群(本剤1日400μg)ならびにプラセボ群にランダムに割り付けられた軽~中程度の喘息罹患児(5-13歳)の平均身長を評価したところ、投与開始2年後の時点ではブデソニド群の平均身長がプラセボ群に比べて低かった(プラセボ群と比較した平均身長差:-1.3cm)。また、その後の長期観察を行った疫学調査においても、成人期(女性18歳以上、男性20歳以上)の平均身長に同様の差が認められた(プラセボ群と比較した成人期の平均身長差:-1.2cm、95%信頼区間:-1.9,-0.5)。

この記載から、従来は吸入ステロイドによる成長率の低下は一時的なものであるとも言われていましたが、最終身長に影響する可能性があることがわかります。95%信頼区間をみると大きくても1.9cmとなるので、この1-2cmを大きいととるかどうかは患者により異なると思います。

気になるという患者に対しては、症状改善後に積極的に減量・中止する方法やステロイド以外の薬剤を使用する方法が考えられるので、医師に相談するよう説明するのが良いかと思います。

④ベリチーム【適用上の注意追加】

適用上の注意に服用時の注意点が追加されました。具体的には腸溶性顆粒のため、砕いたりかんだりしないことと、口腔粘膜刺激性があるため直ちに飲み下し、口内に残らないように注意することが追記されました。そのため、今後は服薬指導の際にこの2点を伝える必要があります。

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