今回はスタチン系薬剤であるリピトール(アトルバスタチン)の服薬指導をまとめました。
リピトールはリバロ、クレストール同様にコレステロール低下作用の大きいストロングスタチンです。
服薬指導では肝臓の副作用を説明する必要があることやCYP3A4で代謝されるためクラリスロマイシンやグレープフルーツが併用注意となっていることが特徴です。
リピトールの概要
服薬指導難度
効能
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
用法・用量
高コレステロール血症
10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。
家族性高コレステロール血症
10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。
名前の由来
脂質 Lipid から命名されています。
指導せん
なぜ1枚にまとめないかは不思議ですが、横紋筋融解症の指導せんと肝障害の副作用の二種類の指導せんがあります。
内容的には指導せんが無くともそれほど困るものではありませんが、定期的に副作用が出ていないか確認するときのために用意しておくとよいかもしれません。
リピトールの服薬指導で確認すること
①肝機能障害の有無【禁忌】
肝代謝能が低下していると考えられる急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸などが禁忌となるため、肝臓が悪いと言われていないかを確認します。
②妊娠・授乳の有無【禁忌】
妊娠や授乳は禁忌となるため妊娠の有無を確認します。
③併用薬の有無【併用禁忌】
C型慢性肝炎の治療薬であるテラビック(テラプレビル)が併用禁忌、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる場合はフィブラート系薬剤が原則併用禁忌となります。
これらの併用薬がないことを確認します。
④併用薬の有無【併用注意】
ネオーラル(シクロスポリン)やクラリスロマシンは併用注意となります。
シクロスポリン
シクロスポリンに関してはリピトールのAUCが8.7倍になる報告があるため、疑義紹介が必須かと思います。
代替としてはスタチンの中で影響が少ないローコール(それでもAUC3倍)か、スタチン以外を使用するか、といった選択肢となるかと思います。
クラリスロマシン
リピトールのAUCが添付文書上は1.8倍ですが、論文によっては4.5倍とするものもあります。代替としてジスロマックが存在するので疑義紹介して提案しても良いかと思います。
リピトールの服薬指導で伝えること
①劇症肝炎の説明
添付文書には黄疸の記載がありませんが、指導せんには黄疸も記載されています。吐き気、倦怠感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)際は医師に連絡し受診するように説明します。
劇症肝炎等の肝炎があらわれることがあるので、悪心・嘔吐、倦怠感等の症状があらわれた場合には本剤を中止し、医師等に連絡するよう患者に指導すること
②グレープフルーツを避けること【併用注意】
添付文書上はグレープフルーツのジュースですが、果実も含めて避けるように説明します。
また、時間をおけば飲んでもいいと考える患者も少なくないため、時間をおいても影響がでるので避けることを説明します。
グレープフルーツジュース1.2L/日との併用により、本剤のAUC0-72hが約2.5倍に上昇したとの報告がある。
③横紋筋融解症の説明【重大な副作用】
添付文書上には尿の色の記載がありませんが、指導せんには尿色赤褐色の記載があります。
筋肉の痛み・手足に力が入らない・尿色赤褐色など出る際はすぐ受診するように説明します。
リピトールの服薬指導薬歴例
S)コレステロールが高くて。
O)併用なし、妊娠授乳なし肝臓悪いと言われたことなし
A)万一、筋肉痛、手足に力が入らない、尿色赤褐色、吐き気、だるさ、肌や白目が黄色いなど出る際は医師に連絡し受診指示。
グレープフルーツ避けるように説明。
P)副作用確認
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