2022年3月分 DSUのまとめ

2022年3月分 DSUのまとめ

2022年3月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はそれほど種類はありませんが、タケキャブで少し気になる改訂がありました。

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①タケキャブ(ボノプラザン)

相互作用の項目に「本剤は弱いCYP3A4阻害作用を有する」という文言が追記され、併用注意に「CYP3A4で代謝される薬剤(ミダゾラム等)」が追記されました。

ミダゾラムを併用した場合に、ミダゾラムのAUC1.9倍増加することが報告されています。

ミダゾラム に限らず、CYP3A4で代謝される薬剤は併用注意であり、タケキャブのCYP3A4に対する弱い阻害作用により、 CYP3A4で代謝される薬剤の代謝が阻害され作用を増強する可能性があるとされています。

タケキャブが CYP3A4に対する弱い阻害作用を有することは認識しておいたほうがよい

この改訂はあまり話題になっていない印象ですが、 タケキャブが CYP3A4に対する弱い阻害作用 を有することは認識しておいたほうがよいかと思います。

とういのも、「相手薬剤側の添付文書上の相互作用の記載」が「CYP3Aを中程度阻害する薬剤」とか「 CYP3Aを強力に阻害する薬剤」、といった記載の場合はタケキャブは該当しないはずですが、単に「CYP3A4を阻害する薬剤」といった記載の場合は今後はタケキャブも該当する可能性がででくるということです。

タケキャブ側の添付文書」ではCYP3A4で代謝される薬剤はすべて併用注意に該当するかと思いますが、タケキャブ側の添付文書では用量制限などの記載はないので、相手薬剤側の記載に従った対応をすればよいかと思います。

例えば、セララのように「CYP3A4阻害薬と併用する場合には、本剤の投与量は1日1回25mgを超えないこと」という記載の場合はタケキャブも該当すると考えられます。

一方、トビエースのように「強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬を投与中の患者では、1日投与量はフェソテロジンフマル酸塩として4mgとし、8mgへの増量は行わないものとする」 という記載の場合はタケキャブは該当しないと考えられます。

なお、CYP3Aの相互作用は「併用注意」の項目だけみていると見落とします。上記のような具体的な用量制限については併用注意の項目でなく「用法及び用量に関連する注意」の項目に記載がある場合が多いので注意が必要です。

②乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」

ワクチン被接種者から非接種者へのワクチンウイルスの水平伝播が報告されていることが追記されました。

<その他の注意>
ワクチン被接種者から非接種者へのワクチンウイルスの水平伝播が報告されている。

これは本剤接種を受けた人で稀にワクチンウイルスによる水痘様発疹や帯状疱疹が認められ、発疹患部に接触した際などに、本剤を接種されていない人にワクチンウイルスが感染する可能性があり、海外類薬の添付文書ではすでに注意喚起されてましたが、国内においても少ないながら同様の症例が報告されているため追記されたようです。

なお、「発疹患部に接触した際など」となっていますが、製薬会社に確認したところ、この「など」の部分に空気感染などの他の感染経路も含むようです。

接種後に感染させる可能性があるワクチン

今回改訂された乾燥弱毒生水痘ワクチン以外にも、下記などの製剤では接種後の感染の可能性が添付文書上に記載されています。(このうち、おたふくかぜ生ワクチンは今回の水痘ワクチンと同じ時期に追記改訂されています)

<おたふくかぜ生ワクチン「第一三共」>
海外において、本剤とは異なるムンプスウイルス株を含む生ワクチン(注射剤)接種後に、ワクチン被接種者から非接種者へのムンプスワクチンウイルスの水平伝播が報告されている。

<ロタテック内用液>
ワクチン接種を受けた者と接触した際には手洗い等を実施し注意すること(例:おむつ交換後の手洗い等)。

外国臨床試験では、初回接種後に本剤接種者の8.9%で糞便中へのワクチンウイルスの排出が認められた。これらは、ほとんどが接種1週間以内に認められた。1例(0.3%)のみ3回接種後にワクチンウイルスの排出が認められた。

初回接種後1週間以内にワクチンウイルスの排出を伴う軽度の胃腸炎症状が認められる可能性がある。

<ロタリックス内用液>
ワクチン接種を受けた者と接触した際には手洗い等を実施し注意すること(例:おむつ交換後の手洗い等)。ワクチン由来ウイルスの糞便中への排泄が、本剤接種後約7日をピークに平均で10日間認められている。

また、本剤の水平伝播を検討した海外臨床試験で、本剤未接種者の糞便中にワクチン由来株が検出されている。

薬剤師として認識しておくべきこと

一部のワクチンでは接種後に感染源となる可能性があることを認識しておかないと患者から質問された際に誤った回答をしてしまう可能性があります。

患者から「予防接種で他者に感染させることがないか?」などと質問された際に、「ない」と即答しがちですが、上記のような一部のワクチンでは感染源となる可能性があります。

また、少し話がそれますが帯状疱疹患者に、 「他者に感染させることがないか?」などと質問された際に、これも「ない」と即答しがちですが、水ぼうそうにかかったことのない人や抵抗力の低下している人は、水ぼうそうとしてうつる場合があります。

なお、この場合の感染は「接触感染」と思われがちですが、 接触感染以外にも「空気感染」することもあります。

これらのことも、認識しておかないと誤った説明をしてしまいがちなので、注意が必要かと思います。

DSU等の解説
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